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本当にフランス人は「週35時間」しか働かないのか。

よく「フランス人は働かない」とかいわれるけど、実際は本当にそうなのだろうか。

今朝いつものカフェに行ったら、日曜日の午前9時にも関わらず常連客のおばさんがいつものように真ん中の同じテーブル席に座って、そして別のお兄さんがやはりパソコン取り出して真剣に仕事していた。

たしかにフランスでは法律で5週間の有給休暇や週35時間労働が規定されているが、実際には残業する職種も多いし、管理職になると仕事が35時間以上になるのは結構普通だと思う。フリーランスの場合はどうだろうか、やはり仕事が終わらなければ週末も働かなければならないだろう。

私の場合はフランス企業3社と今の大学でCDI(管理職)契約でトータル16年くらい働いているが、残業したり家に仕事を持ち帰ることはとても多い。まあ、ファッション業界という若干ブラックな働き方をする業界の、ファッションデザイナーという特殊な職業ゆえの、普通よりちょっと多めの残業かもしれないが、基本残業代は出ないので、ファッションウィークの直前に働いた週末の分や、あまりにも酷く働いた場合には代休を取るなどして自分と会社が納得できる範囲で落としどころをつけることが多い。


ちなみにフランスの雇用形態のひとつ「CDI(セーデーイー)」は「Contrat de travail à Durée Indéterminée」の略で「無期限雇用契約」のこと。「管理職、管理職候補」のフランス語は「Cadre(カードル)」で、規定労働時間は週35時間だが、成果主義の労働契約なので残業代は基本付かない。

それに対して一度「非管理職」である「Non-Cadre(ノン・カードル)」の仕事に就いた場合は、勤続年数を重ねても管理職に変わることはほぼない。その分野の専門職として同じ仕事を定年まで続けられ、残業もほとんどなく、時間的には比較的余裕がある反面、昇級や昇給は限られている。

非管理職の人々はしゃかりきになる事も求められないし、たとえどんなに頑張っても昇級や昇給がないのなら法律どおりの働き方(年5週間の有給休暇や週35時間労働)をしようということなのだ。それが、外国人から見て「フランス人は働かない」と思われる要因のひとつであろう。


またフランスには、失業保険や生活保護などの社会保障や、その他ざまざまな助成制度が充実していて、最悪は頑張って働かなくてもなんとかなる仕組みがあるので、働いているように見えない、そして実際にあまり働いていないフランス人が多いのも事実だ。

ミュージシャンや劇団員や大道芸人、そして舞台芸術やテレビ、映画などに関わっている人たちは一定期間に定められた労働時間を働くと「intermittent du spectacle(アンテルミタン・デュ・スペクタクル)」として認められ、仕事がない時期に失業保険が支払われたり、有休休暇や年金も受け取れる。

画家や工芸家、アーティストも、MAISON DES ARTISTES(美術作家協会)に登録し、職業美術作家として健康保険・老齢年金など各種の社会保障費を納めるといざと言う時に社会保障を受けられるので、芸術家たちは美術作家協会に登録するために決められた最低ラインの収入を超えれば、そしてミュージシャンはアンテルミタンに認められるために決められた時間を最低限越えれば、それ以上はそこまで一生懸命に働かなくても良いと思っているフシがある。


フランス人には、お金を稼ぐよりも仕事はできるだけ最小限に、バカンスなどのプライベートを充実させる事に生き甲斐を感じている人たちが大多数だろう。それは時に残業もありの管理職の人たちも同じだ。仮に日本人である私が「仕事が趣味だ」などと言おうものなら、フランス人の同僚や友人たちからは呆れられ、「バカンス取りなさい。」「仕事ばかりやってないでボーイフレンドを作りなさい。」アドバイスされてしまう。

フランスは、7月14日の革命記念日を境に8月下旬まで街がほとんど機能しなくなってしまう。皆がバカンスに出てしまうからだ。それでも国は滅びずちゃんとまわっている。もしかしたら日本にも何か参考にできる部分はあるかもしれない。



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