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視覚以外の五感を使って書いてみる/作家の僕がやっている文章術007

具体的に書く簡単な方法

よく「具体的に書け」と言われます。

現場をカメラで実況するように、見えるように、映像的に書く。

そのためには描写力が必要になります。

しかしいっきに描写力を身につけるのは、難しいものです。

具体的に書くとは、読者により精緻にイメージをしてもらえる文章に仕上げることだと、言い換えることができるでしょう。

イメージを鮮明にする簡単な執筆法があります。

2つの法則を身につけるだけで文章を簡単に「具体化」できます。

それは

数字を明らかに書く
五感を明らかにして書く

この2つの法則を身につけるだけで文章を「具体化」できるのです。

<例文1>
「渋谷の交差点をたくさんの人が急ぎ足で渡っていく」

この文章を数字によって具体化してみましょう。

<例文2>
「渋谷の交差点を1000人を超える人たちが急ぎ足で渡っていく」

ここにさらに具体的な数字をプラスして書きます。

<例文3>
「渋谷の交差点を1000人を超える人たちが、急ぎ足に渡っていく。交差点を歩ける余裕は、わずか1分ほどの青信号の間だけだ」


さらに五感(視覚と聴覚)とを入れてみます。

<例文4>
「渋谷の交差点を1000人を超える人たちが、行く人来る人、まさに交差しながら互いにぶつかりもせず、ガヤガヤと賑やかに渡っていく。交差点を歩ける余裕は、わずか1分ほどの青信号の間だけだ」

例文4に書き上げるきっかけは「1000人を超える人たち」という具体的な数字でした。

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「たくさんの」では、はっきりしなかった人出の多さは「1000人を超える」と誰にも共有できる具体的な人数を示すことでイメージしやすくなったわけです。

そこにさらに1分と具体的な時間を書くことで、交差点を渡る人たちのせわしなさが表現されます。

五感(ここでは視覚と聴覚)を加えることで、具体的表現は、さらにはっきりと描き出せたわけです。

五感で書きやすいのは「視覚」です。

次に「聴覚」でしょうか。

他には「嗅覚」「触覚」「味覚」があります。

五感の収集は取材から

文章を書くために現場を調べることを取材と呼びます。

べつに、わざわざ遠くにまで出かけるばかりが取材ではありません。

日常生活の中で、聞こえる風の音が季節によって変わっていないか、あるいはたとえば秋であれば、どんな香りが街に漂ってるか。

それらを感じるだけで充分に取材をしているといえるのです。

この取材の時に「見る」だけではなく「聴く」「嗅ぐ」「触れる」「味わう」の五感を駆使して、現場を、あるいは対象をメモに記録することが大切です。

「嗅ぐ」「触れる」「味わう」までは現場や対象から拾えないとしても、「見る」に加えて「聴く」を徹底するだけでも文章は具体的に書けるようになります。

このお話は次回に続きます。

まとめ
具体的に描くためには数字を書く
五感を使って書くと、具体的な表現になる




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