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【企画メシ4期#2】数は洗練を産む。ただし思考の痕跡を残した時だけ。【観察の企画】

"才能やアイディアが天から降ってくるということはない。
これは考える技術です。"

持たざる者は、訓練あるのみ。
はい、いいからやります。

そう噛み締めた企画メシ第二講の講師は、「観察の練習」の著者、菅俊一さん。

※企画メシとは
https://kikakumeshi.jp/

観察の練習を読んで

講義前に読んだ菅さんの著書「観察の練習」は、日常の風景を観察することで、アイディアの種を獲得できるという趣旨で、観察の例がたくさん紹介されている。
普段自分が見たことがあるけれど、スルーしていたもののオンパレードで、新鮮で面白くて。(Cakesで試し読みが可能!)

例えば、GoogleMapって、時々「建物の中をつっきる」コースを提案してくる。それを見て「目の前にある建物は中を通らず避けて進む」という先入観に気づくことができる。(詳しくはこちら)

そうして挑んだ課題がこちら。

課題

私たちの身の回りには、たくさんの「無意識にふるまってしまうこと」があります。そのような、人間の習性を上手く活かすことで、例えば「注意看板」などよりも強力に(かつ心地よく)、注意を促し行動を誘うことができます。
(中略)日常で無意識にそう判断してしまう行為を観察することで、
無意識に(心地よく)人を誘った結果、何か問題を解決する方法を考えて下さい。

アフォーダンス、ということだと思う。
私がこの課題を見て思い出したのは、「セブンイレブンのタッチ会計の角度」だった。

身の回りを観察してみる

昨年、セブンイレブンの、電子会計をする際のタッチ端末の角度が変更になったことをご存知だろうか。

それまでは、ほぼ床に水平な角度でタッチしやすかったのに、
現在は、ほぼ床と垂直な形になっていて、タッチし辛いのだ。

これは、PASMOなどのカードの置き忘れや、前の人が置き忘れたまま
次の人が電子会計しようとして、前の人のカードで引き落としされてしまった、というトラブルが頻発したために、あえてこの絶対に置けない角度にしているそうだ。
(ちなみに、ある日酔っ払っている時に、これタッチしづらくなりましたね!
と店員さんにからんだら教えてくれた。バイトさんがそんな経緯まで知っているの、すごい!)

また、銀行のATMでお金をおろすときの「ガーッ」という音は、
本当は不要だが人間にお金をおろしている感じを納得させるためにあえて出している、という話も聞いたことがある。

さらに、GoogleMapの新機能では、「動物の後をついていけばよい」というUIが発表された。

これは、私のように、GoogleMapですらうまく読めずに端末を回転させてしまうタイプの人間にはすごく効果的なUIだと思った。

私の企画

さて、そんな事を思いながら私が出した企画は
 出勤が憂鬱だ、という問題を解決する企画として
 「改札オルゴール:改札のタッチ音で、皆が音楽を奏でれば楽しい!」
 というもの。
 ・問題がない(曖昧)
 ・風景化しそう
 ・改札とは個人別にメッセージが出る機能なので、改札体験をもっと考えたほうがいい
 というフィードバックを頂いた。
 
ありがたいことに、全員分の企画をレビューしてくれたが
私なりに大別すると、指摘は3つだ。
1.無意識に人を誘えていない(言葉に頼っている、前提が共有できていない等)
2.問いが誤っている(本当に解決したい点はそこじゃない、深堀れていない)
3.アプローチが弱い(ネガティブアプローチはストレスなのでNG,風景化しそう、伝えるべき情報が不足している等)

欲望ドリブンなデザインほど、ロジックに裏打ちされている

企画のレビューは講義の後半であり、前半は菅さんの考え方についてお伺いしていたのだが、このフィードバックと菅さんの考え方は一貫している。
(講義内容は、キャリアハックさんの記事参照)

デザインとは、無意識に人を誘うもの。
大切なことほど、欲望ドリブンに仕上げなければいけない。

例えば、人間は簡単に死なないよう、とても欲望ドリブンにデザインされている。栄養が足りなければ食べたくてしょうがなくなるし、傷つけば痛い。

ではそういうデザインをするためには、何を心がければいいのか。
まず、人が驚きを持つのは、見えているのに、見えていないとき。
そういう、驚きのタネを意識することが大事。
だから、日常の中で出くわす小さな違和感に、アイデアのタネは隠れているはずだ、とのことだった。

だからこそ、観察の練習が意味を成すのであるが、ここで大事なのが、ただ写真を取る/名前をメモするだけでなく、
どうして違和感を感じたのかを言語化して残しておくこと。

ロジックとして再現可能な状態で自分にストックしておくことが大事だと感じた。

いいからやれ

先入観がない人などいない。
観察の手法とは、先入観の操作なのだ。

私達の見る世界はどうしても偏っているからこそ、自分の先入観をロジカルに操作し、アイディアのストックをたくさん獲得する。そのためには、まずは数。数が洗練を産む。

そして、アイディアベースじゃなく、実際にやってみて、PDCAをどんどん回していくこと。実際にやってみると予想もしないことが起きる、と菅さんは言う。

じゃあ数をこなせば私も洗練されるのかな、と希望の言葉として受け止めていると
「ただし、なぜこう思ったのか、なぜ失敗したのかは記録しておかんなければならない。
思考の痕跡こそ、糧になる。」

そうなのだ。私はここをサボりがちで、ぱっと思いついたアイディアに固執して、
それに合わせて後おいで適当なロジックを埋めてしまうところがある。
なんでいいと思ったのか、を言語化する訓練を仕組み化する必要がある。

というわけで、最近はnoteとTwitterで、好きなものの好きな理由を更新するようにしている。(♡で気持ちを保つ仕組み)
また、菅さんの定期ツイートで「いいからやれ」というのがあり、それを見るたびにはい、やります!と己を鼓舞するようにしている。

最後までお読みいただきありがとうございます。
自分の振り返りのために、少しずつ講義メモを更新しています。
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#1 見えないけど、見える。景色を見せてくれる言葉。【言葉の企画】
#2 数は洗練を産む。ただし思考の痕跡を残した時だけ。【観察の企画】
#3 心がつい動いてしまう熱量に触れた日【観光の企画】
#4 あなたの好きなものを理解したい【編集の企画】
#5 人間には誤読の自由がある【コンテクストの企画】
#6 会社員こそ自分の色を出していく【テレビの企画】
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どの講師の方も素敵です!