マガジンのカバー画像

小説日本国憲法

72
運営しているクリエイター

記事一覧

小説日本国憲法/おわりに

先人の血と汗と涙の上に、町も人も在ります。 私たちは、文明と文化の街道を旅する者だと云え…

勝鬨美樹
2年前
8

小説日本国憲法4-10/朝鮮戦争と云うカミカゼ

筆者は、朝鮮戦争こそ戦後日本を救った最初の「神風」だったと考えている。 では如何ほどの衝…

勝鬨美樹
2年前
3

小説日本国憲法4-9/日本国憲法発令

枢密院を通過した新憲法草案は、幣原からバトンタッチした吉田茂第一次内閣に移された。GHQ/ホ…

勝鬨美樹
2年前
4

小説日本国憲法4-8/新橋を裂く凶弾

銃声がした。同時にガラスが壊れる大きな音がした。 隣の社長室からだった。 事務室の全員が…

勝鬨美樹
2年前
4

小説日本国憲法4-7/東京裁判

鳩山一郎大命拝受の翌日。5月3日金曜日。ボナー・フェラーズ大佐は宿舎になっていた帝国ホテル…

勝鬨美樹
2年前
1

小説日本国憲法4-6/総選挙#02

4月12日。総選挙終了後、すぐさま解散すべき幣原内閣が唐突に抵抗を示した。未だやり残してる…

勝鬨美樹
2年前
1

小説日本国憲法4-5/総選挙

この憲法改正草稿政府案の制作中の4月10日、第22回衆議院総選挙が実施された。戦後最初の総選挙である。 この選挙は2つの特筆すべきものがあった。一つは男女とも参加する普通選挙だったこと。もうひとつは制限連記制だったことである。 連記制は1選挙区につき2人以上の候補者の氏名を投票用紙に記載することだが、1選挙区の議員定数に達するまでの数の候補者の氏名を記載することを完全連記制と呼び、議員定数に達しない範囲での候補者の氏名を記載することを制限連記制と呼んでいる。第22回衆議院議

小説日本国憲法4-4/ひらがな口語体の憲法

「憲法改正案要項」を「政府案」として条文化する作業の中心は法制局だった。入江局長官を中心…

勝鬨美樹
2年前
1

小説日本国憲法4-3/しめやかな解散宣言

3月11日月曜日。第二十二回総選挙告示の日、特別チャーター機でワシントンDCへ向かったハッシ…

勝鬨美樹
2年前
1

小説日本国憲法4-2/新憲法の反応

3月7日。2月1日以来完全沈黙を守っていた毎日新聞が一面全部と二面全てを使って「憲法草案要綱…

勝鬨美樹
2年前
5

小説日本国憲法 4-1/新橋新生マーケット

1946年3月7日木曜日大安、新橋東口駅前新生マーケットの地鎮祭・起工式が開かれた。 その数…

勝鬨美樹
2年前

小説日本国憲法 3-15/東京裁判に向けて立

同日3月6日、米内光政が第一生命会館GHQを訪ねた。ボナー・フェラーズ准将の要請だった。米内…

勝鬨美樹
2年前

小説日本国憲法 3-14/日本国憲法要綱成立

3月5日、断続的に送られてくる「憲法草案」を検討する閣議は、その日午前9時から断続的に開か…

勝鬨美樹
2年前
1

小説日本国憲法 3-13/孤軍奮闘する佐藤達夫

3月4日月曜日、松本は佐藤/白洲及び外務省通訳官の小畑薫・長谷川元吉そして岩倉内閣書記官を伴ってGHQ 民政局を訪れた。6人は六階601号のホイットニーの執務室へ通された。ホイットニーとケーディス、ハッシー、ラウエルの4人が待ち構えていた。 開口一番、松本が通訳を介さないままカタカナ英語で居丈だけに「本日持参したものは、日本側草案が閣議決定を経ていない試案である」と言った。最初から喧嘩腰だった。風呂敷包みに入れてあった草案30部は佐藤からGHQ側の4人へ手渡された。 「