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KS3PJ:バイクでランニング出力測定

昨日は雨の中、中強度のペースアップ走をやってみた。7月中旬は本来汗だくのはずだが、ミスト雨のお陰で涼しく走れる。梅雨もランナーには有難いのだ。マラソンは全天候スポーツだから、雨だから「今日は休養日」などという腑抜けた事は許されない。


自転車乗りはワット数で実力を把握する

データーでトレーニングする私としては、自転車は出力ワット数で実力が分かって常に打ちのめされるが、マラソンはその指標が使えなくて不満だった。出力ワット数はランナーには不要の指標なのかもしれないが、絶対的脚力を明確に示すこの数値は、自転車乗りの客観的実力ステータスと言っても良い。足で走った時の心拍とピッチを使ってそれを固定した自転車で再現して、どれほどの出力強度なのかを知ろうというのが今回の試みだ。

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ピッチx心拍数で推定出力値を測定してみる

身体は正直なもので、運動すれば心拍数が上がる。心拍計で運動強度を測り、そこからトレーニング方針を立てていたのが2000年代。いま自転車乗りはワット数でトレーニング強度を管理する。

同じことはマラソンでも出来るが、ワット数、つまり運動エネルギーを直接測定するにはシューズにセンサーを埋め込むしかない。いわゆるスマートシューズだ。

アシックスはすでに試作品をカシオとの共同開発で、このモーショントラッカーを開発済みだ。発売は未定。それが発売されれば、自転車界がサイクルコンピューターで活況し始めた2000年代と同様に、マラソン界もデータ主義の時代に突入するだろう。

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シューズメーカーからすると、とにかく基礎データが欲しい。それで得られたビッグデーターとランニング記録を関連付けて、レース結果に導くトレーナー機能を持ったガジェットを、シューズメーカーがどんどん出してくるだろう。厚底シューズが主流になってきたので、センサーを埋め込むスペースは容易に確保できるのも好機だ。

そういう意味でマラソンと自転車を比べると、アマチュアレベルでは15年以上計測テクノロジーが遅れている。ゆえに感覚的、視覚的な有象無象のトレーニング理論やら、無数の「これがイチバン」的な不思議な動画がどかどかアップされて消費を刺激する。自転車ではそれは無い。フォームがどうあれ速いのが真理だからだ。その速さは動画なら直ぐに分かる。ピッチ(ケイデンス)xワット数+心拍数で選手間を画面上で比較するのが常だ。F1レーシングカーのテレメーターシステムと同じである。コアな自転車乗りなら、この3つの数字を見るだけで、その選手のパフォーマンスが分かる。

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昨日の雨のマラソンデーターから、全走行工程のピッチと心拍数の平均値を使ってローラー練で再現して出力をみる。

まずはウォーミングアップして、その後ギアを重くして心拍をどっと上げて、心拍数が下がってきたところから3分間、平均して出力が安定するようにして計測してみました。後で結果が見やすい様に心拍の上げ下げの部分は不要なのでサイコン側でカットした。3分間ピッチを176で維持し続けた結果は、

ピッチ176 x 心拍152 で 平均出力は154W

これが現在の私の推定ポテンシャルです。

心拍xケイデンスx出力

これはクラッシックな心拍トレーニングの応用です。出力計が一般的でなかった2000年代初頭の自転車界では、心拍で負荷を測って運動強度を決めていました。トレーニング強度を上げていくと、心拍数が下がってきて限界強度が上げられる。つまりLT:乳酸閾値が下がる訳です。

今後はトレーニング強度を上げて、LT値を下げていくので上記の平均出力値は上がっていくでしょう。それが今後の「定点観測」になりますから、今回はその最初となる基準値です。

余談ですが、ドーピングはこの限界強度を薬で動かせるので、プロの自転車界ではドーピングが常態化していました。新しい薬物を常に探し求め、禁止薬物になるとまた次を探すイタチごっこが繰り広げられ、ツール・ド・フランスのトップ選手が後にバレて自転車界から消えました。

スキルシマノで欧州をプロとして走っていた日本選手が、トレーナーから渡される禁止されていない薬物を使った時、いままでだとこれ以上は無理、という状態からも踏めることが出来たと語っています。体が発する危険サインを薬物で麻痺させるのです。ちょっと寒気がしますね。

私と同年代のマラソン上位経験者の友人は、高校時代で自己輸血の血液ドーピングは当たり前だったし禁止でもなかったので普通にやっていたと言っていました。アマチュアは事実上無制限で薬物は使えるので、闇の世界に手を染めると真っ黒になります。


出力が高い事の意味

先日、女子3000mトラックで日本新記録が出ました。田中希実(豊田自動織機TC)選手の8分41秒。この模様が動画でアップされていたのでフォームを見ながら「出力が高い事の意味」を考えてみます。

画面を眺めながら再生速度を0.5~0.25と遅くしてピッチを測ってみると、トップの田中選手はピッチが200以上とハイピッチ。後ろの黒人選手Helleneさんはコンパスが10~15㎝長いけど、競っている時はほぼ同じピッチ。フォームも全然違うのに速度が同じなので、対比が実に面白いです。

田中選手はトップ4人の中で前傾フォームが際立ってます。相当の筋力。

田中選手だけが蹴り足がお尻にまで行く。なのにハイピッチで蹴り出せる。そして踏める。これだけ前傾でもフォームが崩れずに前進し続けるには、相当の蹴り力だと思います。

それを支える腰から上がブレない。体幹トレーニングはもとより、上半身の強化も相当やっているのではと推測します。なかなか面白いビデオでした。


これまでのストーリー

厚底シューズの威力
トレーニング方針を「更新」
一日二毛作でアウトプット向上
ナンバ走りを実験する
心拍ドリフト、AT心拍数と呼吸数測定
過去の自分のデータを紐解く
体メンテナンスは欠かせない
肉体改造計画のスタート
体幹トレーニング考
達成率0.0054%の意味
日々のボディケア
体幹トレーニング考
ランナー諸君、チャリダーは次元が違うのだ
「還暦サブスリー」への挑戦② トレーニング方針
「還暦サブスリー」への挑戦① 宣言


付録

三河屋幾朗という生き方
Quoraで回答:閲覧数150万回の三河屋幾朗
ダブルインカムからシングルインカムへ:2012.11.23
ダブルインカムからシングルインカムへ2:2013.12.14
快感:社会の鎧を脱ぐ:2014.2.1
シュフ主夫ばんざい:2013.12.17
妻への感謝:2018.7.23
3時ラー なるもの:2012.11.1
英語は40歳を過ぎてから:2018.3.28
日本縦断16日間:2010.6
Mt.富士ヒルクライム:2008.6
全日本Mt.サイクリング・乗鞍:2008.8
自転車でのトレーニング
自転車へのこだわり


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