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【詩】死にたいと呟くあなたへ

寄り添い座る二人
日の光が反射して
キラキラと輝く海
心地いい波の音
行きを吐き出すように
あなたは呟く

死にたい

波の音の心地よさのせいか
私には
生きたい
と聞こえた

ああ あなたは生きたいのね
私はそんなことをポツリと言って
あなたは静かに泣く

私の声が聞こえるかしら
死にたいと呟いたあなたを
私は誇らしく思っているの

ねえ 聞こえる
あなたは涙を流しながら
遠い海の向こうを見つめる

こんなに綺麗な青く日の光が反射し
キラキラと輝く海
きっとあなたには墨汁のように
真っ黒に映っているのだろう

死にたいと呟くあなたへ
どうか 自分を誇りに思ってほしい
なぜなら
あなたは誰よりも人生を
味わい尽くしているのだから

あなたは
人生を丁寧に 丁寧に
咀嚼して
苦しみの実を
ガリリと噛んでしまったのね
口の中が苦しみでいっぱいに
なったのでしょう

そんな生き方の美しさ
あなたの流す涙の美しさ
苦悩に悶え深く刻まれた
眉間の皺の美しさ

そんな
あなたの美しさに気が付かず
生きろ
死ぬな
死ぬなんて考えるな
トゲのような言葉を
投げつる人々

あなたは生きています
誰よりも
じっくりと
丁寧に
ゆっくりと
深く
あなたは生きています

だから
幸せの実を噛み締めるまで
どうか生き続けて

苦しみを感じることのできる人は
誰よりも幸せを感じることのできる人

表面を撫でるように
生きるのは簡単なこと
そんな生き方では味わえない
人生の機微がある
それをあなたは味わっているのだから
誇りに思って
誰よりも幸せを味わって

死にたいと呟くあなたへ
どうか届いてほしい

死にたいと呟いていた私の
愛の詩


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