夜伽話4

夜伽話|愛に溶けていく

  朝目覚めたら
  何もなかった
 
  私の左半身に残っていた棘や
  周りに散乱していた欠片たち
 
  全てが消えて
  あっけらかんとした
  明るい空があった
 
  太陽は高らかに笑い
  影のない光が
  燦燦と降り注ぐ
 
  今迄まとっていた
  闇色の染みは消え
  波を揺るがすため息もない
 
  何もない
 
  何もない
  青い空
 
  あなたに全てを明け渡したら
  全てが消えた

夜伽話1


  過去も未来も
  笑いながら消えた

  今のあなたを感じるだけの
  私がいた
 
  愉快

  あなたといると
  ただ楽しくて
  溶けていく
  あらゆる人生のわだかまりが
  
  体を重ねるたびに
  荘厳なエネルギーで変容し
  還っていく
  ありのままの私へ

夜伽話2

  
  あなたの精神は果てしなく広く
  優しさは海溝よりも深い

  情熱は溶岩よりも熱く
  潔さは竹よりも真っ直ぐ
 
  ユーモアは
  木漏れ日よりもユラユラし

  眼差しは
  野生のエルクよりも透明
 
  自由さは
  疾風よりも早く

  愛は
  空気よりも軽い
 
  破壊性は
  反陽子爆弾よりも無に帰し

  健忘は
  痛快ともいえる赦し

  創造性は
  白頭鷲よりも悠々と

  美しさは
  朝露よりも七色に光る

    抱擁は
  海よりも柔らかく

  まぐあいは
  神話よりも壮大


  私はその中で
  自由自在に飛び泳ぎ
  汗にまみれ
  放心する
 
  あなたの重みに安心し
  どこまでも飛翔する

夜伽話3

  
  全てを手放した先に
  待っていたのは
  崇高なる
  神の国
 
  純粋無垢な自由よりも
  狡猾とも思える自由
 
  様々な側面を持つ
  あなたにピッタリと寄り添える
  いい加減さ

  あれほど俗で体液にまみれただけの
  一夜が明けると
  何もなかったのかと思えるほど
  一点の曇りもない
  完璧な夜伽話

 
  シーツに残る
  あなたと私の印が
  かろうじてあれは
  夢ではなかったのだと

  愛おしく思う

夜伽話4

(Photo: Antelope Canyon, Arizona ©MikaRin)



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