価値感のターニングポイント ~一田憲子さんの「ライター塾」~

まだ心がふわふわしている。

先週末、憧れの編集者・ライターの一田憲子さんによる「オンラインライター塾」に参加した。

一田さんに自分の文章を読んでもらって添削してもらう。しかも雑談まで。まさに、私にとって夢のようなひととき・・・。

この講座は、プロ・アマ問わず、とにかく「書く」ことに興味があればOK。
間に1時間の休憩は挟むものの、10~16時×2日間。
子供たちには「ママがお勉強したいのよ」と説明してOKをもらい、申し込み日の朝7時、時報と共にポチッと応募した。
(あ、夫にも説明はしましたけどね。)

実際の講座では、「事実を伝える」課題から「自分を出す」課題へと段階を踏みながら、20~30分で200~600wのライティングを行っていく。
「え、無理じゃない!?」と不安が頭をよぎりつつも、私は「制限時間でどこまでできるか」も自分に課すことにこだわることにした。そんな風に「書き上げてやる」という前提でトライしてみると、意外や意外、なんと提出できるものなのだ!
いや、もちろん、その内容に対して、一田さんからの指摘は山盛りだし、ちょっとでも逃げた部分は見逃してはもらえない。
でも、まずは形にできた。
がんばるにあたって必ず「逃げ場」を用意するのが定石だった私にとって、これが私の大きな収穫一つ目。
「腹を括ると、人間は何かをひねり出せる」。

そしてさらなる収穫だったのは、「インタビュー」を体験した2日目。
一田さんに、そして参加者同士で、短い時間でありながら根ほり葉ほりお話を聴いて、自分なりの視点で記事をまとめていく。
その聞き方、掘り下げ方が勉強になったのは間違いない。
でも、それ以上に心動かされたのは、
「自分、そして読者の心を揺さぶる瞬間を体感できたこと」。

「一田さんのおへそ(習慣)」というお題で、一度添削を受けた後リライトして以下の文章を提出した。

「一見回り道でも、 全ては書くことにつながっている。」

一田憲子さんのおへそは、「書く」ことそのものだ。
最も大切な習慣は「早起き」と語る一田さん。頭がクリアな午前中の執筆時間を確保するために、得意ではない早起きをする。体を確実に目覚めさせられるよう、早朝の半身浴も。
「書く」ことに全身全霊を傾けるべく、習慣全体をチューニングしていくのが一田流。
でも、私が最もハッとしたのは、「楽しく書き続けるには、自分が満たされていなくちゃ!」という一言。眠気が勝ってしまう夕食後は、ピアノや読書という余暇の時間に充てているそうだ。
一見「書く」ことに無関係のようだが、それは大切なチャージの時間。自分の経験値や引き出しも増え、結局は「よりよく書く」ことにつながる。

果たして私は、そんなひと時を大切にできているだろうか?執筆そのものを優先する結果、子供との時間を二の次にして母として満たされていない自分。趣味を後回しにするうちに自分の時間が足りないと爆発してしまう自分…。一田さんの言葉は、まるで「そんな後回しにしがちなことこそ大切にしていいんだよ」と言ってくれているように聞こえた。だってそれは、「よりよい仕事」にもつながっているから。

「なりたい自分像」へ一直線に進みたいがあまり、つい道草は無駄だと考えがちではないだろうか。だが、むしろその像に近づくために、自分で選んだひと休みや寄り道を積極的に選択してみてもいいのかも…一田さんのおへそは、そんなことに気づかせてくれた。

「とてもよくまとまってる。でも、あなたの本心はきっと、"満たされた時間そのものがほしい"んじゃなくて、"文章がうまくなりたい"というところにあるのでは?」
・・・まさに、おっしゃる通り。

そこで、改めて講座終了後に一田さんに提出したリライトが以下の文章だ。

「全ては書くことにつながっている。」

一田さんのおへそは、「書く」ことそのものだ。

頭がクリアな午前中に執筆時間を確保できるよう、朝5時起床。さらに半身浴で、体を確実に目覚めさせる。「ベストな状態で書く」べく、習慣全体をチューニングするのが一田流。

でも、私が最もハッとしたのは、「楽しく書き続けるには、自分が満たされていなくちゃ!」という一言。夕食後のピアノや読書という余暇の時間は、一見書くことに無関係に映る。でもそれは、大切なチャージの時間。自分の経験値や引き出しも増え、結局は「よりよく書く」ことにつながる。

スキルを磨くことで文章力を向上させようとしていた私にとって、これは目から鱗!書くこと優先で片手間に聞いていた娘たちのお喋りも、出かけるのを後回しにしていたあの美術館も、実は「豊かな文章」の源に…!?
妥協なく文章に向き合う一田さんから、まるで「後回しにしがちなことこそ、いい文章の隠し味になるのよ」とお墨付きをもらったみたい。なんてラッキー!
自分にも周りにも我慢を強いることが「ストイックに書くこと」だと思っていた。でも、これからは自分の興味や周りの人を堂々と大切にしよう。その向こうに「よりよい文章」もあるから。

「なりたい自分」を一直線に目指すあまり、つい道草は無駄だと考えがちではなかろうか。だが、むしろその像に近づくために、ひと休みや寄り道を積極的に選択してみてもいいのかも…一田さんのおへそは、そんなことに気づかせてくれた。

添削結果はまだ戻ってきていない。
けれど、この文章を書き上げることができた瞬間に、不思議なことに自分で涙を流してしまった。うまく書けたのかどうかはわからない。でも、自分の本音に気づけたから。そして、その本音を素直に文章にのせられたから。
「書く」ことで自分の気持ちを解放できた瞬間にはこんな喜びがあるなんて、今まで知らなかった。

また、参加者同士でインタビューし、私について書かれた文章を一田さんが添削してくださったとき。仕事へのアクセルを踏みたい私と、母としてブレーキをかけたい私の葛藤に気づいていた一田さんは、そのブレーキを「私ならではの優しさ」と表現してくれた。どこか後ろめたさを感じていた私だったが、「ライター・一田」の視点で意味を与えてもらうことで、一瞬にして救われた。これもまた、人目もはばからず泣いてしまった瞬間だった。

さらに、他の受講者に対して私がインタビューして書き上げた文章は、お相手がとても喜んでくださり、終了後にメールをくれた。「スマホに転送しました。明日からこれを見て、仕事がんばります!」と。これは本当に、本当に、嬉しいメッセージだった。


私は元々楽観的に考えることが苦手で、先のことばかり考えて立ち止まってしまう人間。だから実はライター塾に申し込むこと自体も、一瞬躊躇した。
「周りの人とレベルがかけ離れていたら恥ずかしい・・・」
「ダメ出しの嵐だったら、もうこれから仕事する自信も失うかも・・・」

でも、同じころ、写真家の中川正子さんは「コインの裏表の表だけを見るように、物事のワクワクに目を向けられる人」という文章を目にして、「私もワクワクだけを見る練習をしよう」と心に決めて応募したのだ。
ところが、受講してから改めてその文章を見返して気づいたことがある。この中川さんの姿勢は、一田さんの視点で言葉にされたものだった。私は正子さんのスタンスに憧れて応募したと思っていたけれど、実は背中を押してくれていたのは、他でもない一田さんだったのだ…。

やっぱり一田さんってすごい!ライターってすごい!!

ワクワクだけを見たからこそ、数々の喜びに出会えたし、感動も体感した。
一田さんともお知り合いになれたし、発見が溢れて、失う物なんて何一つなかった。

きっといつも、「行動」が勝つから。
これからも「ワクワク」をみよう。

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