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人の20代で得た知見から、自身がこれまでに得た知見を振り返ったはなし

わたしの20代はとっくに過ぎている。
自分の人生において答え合わせのつもりで〝20代で得た知見〟という本を読んだ。

わたしは人並みに20代の知見を得たであろうか?
その好奇心から美容院にて2時間で完読した。

時々無性に読書に没頭したい日がある。
読み終えると、エッセイの著者、小説の主人公と友だちになった気分だ。

この本は進められるがままに読んだので、これまで著者Fさんのことはなにも知らなかった。

読み終えたら一気に親近感が沸いてきた。

この夏行ってみたかった与論島を既に旅行しているところとか、感情に色をつける空想をするところとか、たまに何を言っているかわからない深いところとか。好きになった。
ポエムも詠む方みたいだ。

共通点があったり、共感することがあると、人はその人に自分の心の内を見せたくなる。
まぁ、このわたしの状況の場合はとても独りよがりなものだけど。

※以下ネタバレあり
こちらの本は、Fさん自身の体験談やFさんの知人の体験談から、20代で得た知見を書いた読み物だった。

印象に残った5つの文章から、自分の人生を見つめ直したいと思う。

そして生意気にも著者Mと気取って、自身の人生観を記したい。

1番刺さった文章
⭐︎156我々が言うべきただ一つの台詞より

努力すれば必死だと笑われる。なんにもしなければ無職だと後ろ指をさされる。恋人がいればそんな奴で大丈夫かと言われる。恋人がいなければ寂しくないのかと言われる。
……
結婚すると子供の予定はと訊かれる。
……
なにをしてもなにをやっても槍は飛んでくる。クソリプは飛んでくる。

ですので、我々が言うべき台詞はたった一つです。

うるせぇ。黙ってろ。
私は私の好きなように生きる。おまえもおまえの好きなように生きて死ね。

↑ずっと心の中でこう思って生きてきたので、笑えるほどスカッとしました。なんでみんなそんなに人のすることが気になるんだろう。
ほっとけ馬鹿野郎!!



⭐︎144ありえないハッピーエンドより、最高のメリーバッドエンドをより

意味は「人によっては最悪の結末に見えるが、人によっては最高に幸福な結末にも見える物語」。ハッピーエンドな人生を目指せればそれで良い。バッドエンドを目指したい人間など、そういない。が、私はメリーバッドエンドな人生であってもいいんじゃないかと思っている。本人が幸福でありさえすれば、それで良い。一握りの、分かる人にだけ分かれば、それでよいと思うことがあります。

↑著者はこの本の文末を「離婚は結婚より面白い。」
と締めくくっている。離婚を経験したのだろう。
分かる人にだけ分かってもらえたら。こう思えるまでには色んな心の修行と荒波を乗り越えなければいけない。だって世間は多様性といいつつも、みんな普通に囚われているから。
少し違うことをすれば後ろ指をさされる。だから人と違う道を選ぶのなら、これくらい大きく構えなければ潰されてしまう世の中だ。
犯罪など非道なことは勿論いけないことだ。
そうでないところで悔いのないように自分で選択して生きていくことは、最大の自分孝行だと思う。人がどう思おうと、選んだ本人が幸せになれたなら、メリーバッドエンドな人生もありじゃないか。



⭐︎138世界最古の小説、焚き火、我々が生きるたった一つの理由より

世界最古の小説は一説によれば「焚き火を囲んで誰かが誰かと競い合った、面白い話」とするものが有力です。
小説は元来、当然有形ではなく無形だった。
そしてその面白い話も、最初は「本当にあった話し」だったのでしょうが、それにも飽きた誰かが「本当にあったかどうか定かではない話」を語った。この時今の小説ができた。
……
「我々がやるべきことはただひとつだけで、焚き火を囲んで仲間と面白い話しを競い合うことではないか」と考えるのです。面白い話しをするため、面白い方向に飛び込む。面白い話しを聴いて、ひたすら笑う。そしてあぁ面白かったと言って、死ぬ。難しいことは、もういい。必要なことは、ただそれだけではないかとおもうのです。

↑シンプルに生きるってこれだと思う。
わたしは人の話を聴いて、普通に生きてきた人の話よりも、「この人やばっ!!笑笑」って人の話しの方が興味が湧いて、その人を好きになる。

以前職場で「人生は遊びであり、遊びを極めたい」と履歴書に書いてきた人がいた。
しかも性別欄には、見た目は完全に女性なのに男性の欄に丸をつけてきた。多様性の時代だからと丸く受け取ったが、ただの間違いだった。
初めは「舐めてるのか?」と思ったが採用となった。仕事というくくりで見れば、やはり「舐めてるのか?」と思う時もあったが、この焚き火の話しから見れば10000点な人生なんだろうなと思う。
羨ましく思う自分は、普通に囚われている証拠なのかもしれない。

著者も面白いを選択するために数々の仕事を辞め、困窮すれば公園の水を飲んで朝昼晩を過ごし、冬の寒さをしのぐためライターで両手を炙って寝たこともあったと記していた。

わたしには真似は出来ないかもしれないけど、そういう生き方は好きだ。


ー著者Mの回想録ー

わたしの人生も人とはちょっと違う。

幼少期の両親の離婚から始まり「なんでこんな家に産まれちゃったんだろう。」と思う家庭のいざこざがあった。消えたいと思う子ども時代を経て、

高校を中退し、18歳で結婚、華の20代は全てを子育てに費やした。だから、著者が得た知見とわたしの知見は全く遠いものとなる。

ちょっと違う人生は、普通を欲しがった。

ちょっと違う人生を選んだくせに、人からの目をとても気にした。だから一生懸命普通に追いつこうとした。

高校を中退し1年遊ぶと、このままではダメだと思い、通信制の高校に入り直し卒業した。
最後の1年は子どももいた。

自分が味わった辛さを子どもにさせてはいけない。自分のことは二の次だ。そう思って20代はがむしゃらに子育てをした。休みの日は家族で出かける。普通に習い事をさせて、毎日普通に家族で食卓を囲む。おばあちゃんがわたしにしてくれた四季折々の行事も行った。
それでいいと思ったし、それが幸せだった。

でも、いつの日か夫より子どもが大切になり、少しのことで口論になったり、育児への価値観の違いから夫への思いは冷めたものとなった。夫は不自由ないくらいに頑張って稼いでくれたが、家庭の問題にはノータッチだった。子どもの受験にも、家族の病気のことにも。
もっと話しがしたかった。夫を責めたけれど、わたしにも悪いところは沢山あった。
それでも子どものためだと、家族という普通にしがみつく。わたしは子どもたちを心から愛している。

やがて子どもたちが大きくなると、自分の人生について深く考えるようになった。

わたしは社会的にマイナス要素が多すぎる。

高校を中退した時に、叔父は「今は良くても学歴は一生ついてまわるものなんだぞ。」
そう言った。
ましてや10代で子どもを産んでいる。世間がなんで言うかなんて容易に想像できた。

「うるせぇ!」

そうは思ったけど、社会ってやっぱりそんなに甘くない。

どうすれば、このマイナスを0にまで持っていけるだろう。
わたしは兎も角、子どもたちが自分のせいで後ろ指をさされるのはもっと嫌だった。


わたしは働きながら猛勉強をして国家資格を2つ取った。
これは、普通を知っているから成し得た努力だ。だから普通は悪いことばかりではないと思っている。

そして、わたしは転んでもただでは起きない。
マイナスを、強みに変えた。


⭐︎172結婚するわけでもないのに付き合う意味より


私は好きな人と同じ時代を生きていることには必ず意味があると思う。
たとえその人を好きでいることが、どんなに難しくても。
もし待てども暮らせども、そこに何の意味も絞り取れず、自分まで嫌いになるくらいならば堂々と1人に戻ったらいいのです。

↑著者は離婚について言及しているわけではないが、この気持ちはわかる。

わたしは夫が嫌いになったことよりも、これ以上自分を嫌いになりたくなくて離婚をした。
負の感情を抱く自分がいやだった。このまま一生こんな感情なのかと思ったら耐えられなかった。
子どもたちは、年齢的には1人で生きれる歳になった。
家族を終わりにしちゃってごめんね。

5年前の大きな台風が離婚の決め手となった。もう思い出したくないから今は話さないけれど。


子どもたちへの罪悪感から泣くことはあったが、離婚届を出した日は清々しかった。
著者と同じように、婚姻届を出した日よりも嬉しかったのを覚えている。
元夫とは付き合ってから20年一緒にいた。


⭐︎148料理という恋文より

料理ができるって、人を幸福で殴り倒せるということです。
幸福の種類は多い方がよい。あってもよいものは、幾つあってもよいものです。人に振る舞ってよし。自分に振る舞ってよし。

↑離婚から3年間は、わたしはまたがむしゃらに子どもたちを育てた。ちゃんと自立出来るように。そして社会人となった。わたしの料理という恋文が届いていたら嬉しい。


20代で、わたしに圧倒的に足りないものは恋愛経験だ。わたしは元夫としかつきあったことがなかった。遊んだ経験もない。だからこの本を読んだ時、一夜限りの恋とか、セフレとか、一体どんな感じなんだろうと興味が出てしまった。
絶対性分にあわないからしない。覗きみたいだけだ。

それにわたしには料理の恋文をくれるパートナーが出来た。遠距離恋愛だが沢山話しを聞いてくれる。
人を好きになることを思いださせてくれた。

著者は遠距離恋愛についても書いていた。
成立させるには同じ目標をもつことと。
そう言えば、友人も同じようなことを言っていた。


以上がわたしが抜粋した好きな5つの文章になるが、これはわたしの思考と嗜好が偏る。
著者はもっと多方面から知見を語っている。是非ご自身に刺さる文章を見つけてほしい。

「この本良かったよ!」

と美容師の娘がシェアしてくれた本だ。最近は自己啓発本を読み漁っているみたいだ。わたしが以前読んだ小説も、本棚から引っ張り出して読んでいる。娘のベッドに置いてあるのを見ると愛おしく思った。

20代。悩むこともあるだろう、20代の経験は人生の土台となる。

足りない経験は30代でも40代でも50代でも、やる気さえあればいつだって埋めていけると思う。


若い時の苦労は買ってでもしろと昔の人はよく言ったものだ。
苦労すればしただけ、心臓には毛が生える。

そして遠慮することなく、好きなことをしたらいいと思う。

いつか、どっしり構えられる象になっている。


大丈夫。人生楽しもうぜ!



#20代で得た知見
#エッセイ
#回想録


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