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父と娘の珍介護道中(日記的エッセイ2010〜2022) 時々、母のこと、故郷のこと、自分のこと EP11

エピソード11
人生で再びクロスする機会はないかもしれないけど

2012-01-14


父に頼まれた用をいろいろと澄ませてケアハウスに戻ったら、ちょうどレストランでの体操の時間。
一通り体操が済み、「今日は一緒に小学唱歌を歌いましょう」という場面に遭遇した。参加者は男女4人ほど。

伴奏はなく、職員さんと一緒に「さんはい」でアカペラでみなさん元気に歌い出す。でも、キーがバラバラ。そりゃそうだ。
職員さんと女性の参加者は、それでもなんとかすぐすり合っていくのだけど、
父はやはり男性なので自分の心地よいキーはそれより低い(といっても、ウチの父は男声としては高い)。
何曲か歌ってたけど、どの曲でも父の超元気な声がちょうど3度下のままになっていて、絶妙なハーモニー(?)を作り出していた(笑)。

歌い終えてから「何か音の基準がないとね~」と父が言っていたけど、
まさにその通り! 
感じたことを真っすぐ言う父に、自分の姿を見た気がしました(笑)。
それはともかく、歌うというのは、体内に酸素を取り込むのにとてもいいらしい。息を吸う、は、まず吐くことから。歌っていうのは楽しく息を吐くわけだから、
健康にもいいわけだ。よーし、私もこれからもガンガン歌っていくぞ!

2012-01-30

昨日は検査のための付き添い。
その病院は、以前1年ほどお世話になった老健施設に隣接していて、
渡り廊下を通って行き来できるようになっている。
せっかくだからと、「もし、顔馴染みの職員さんがいらっしゃるようなら会って行く?」と父に聞いたら、
「そうしようか」というので、電話でいらっしゃることを確かめてから老健施設の事務所に向かった。

よく知った職員さん二人が「藤井さん、血色がよくてお元気そう」と迎えてくれて、父もうれしそうだった。
変わらない毎日の中で、お世話になった人などに久々に会って話をするのも、
ちょっとした気分転換になっていいかなと。
いや、私自身も、せっかく近くに来たのだから、久々にお世話になった人たちに会いたいと思った。

頻繁に入所者が入れ替わってしまうこういった施設では、
職員の方は普段うれしいことでも悲しいことでも平常心を保つように努力されているように見える。
今回は父が外部から訪ねてきたということで気が楽だったのか、
みなさんとても喜んでくださり、私も温かい気持ちになった。
もう人生で再びクロスする機会はないかもしれないなぁと思うと、
切なくてジワッときてしまい、困った。

2012-02-07

昨日は、ウィルス性腸炎と思われる症状で体調を崩していた父を病院に連れて行った。いろいろ調べて結局入院が決まる。
ところが、その病院には一床もベッドが余ってなくて、事務員さんが必死になって受け入れ先を探してくれた。
今、周辺はノロの患者さんが多くて、父はノロと決定したわけじゃなかったのだけど、やはり院内感染のリスクを避けるため、
個室じゃないと受け入れてくれないのだそう。

結果見つかったのだが、その段階で5時過ぎてたので、入院先にたどり着き、
さらなる検査や手続きが終わったのが9時前。
私ももうゲロゲロに疲れたけど、父も吐き気と不安と、検査、検査、点滴、点滴で疲れきったと思う。
幸い、病状はそれほど重くなく、先生は2週間ほどで退院できるのではないかとおっしゃっていた。

高齢者の場合、ノロなどのウィルス性腸炎は、誤嚥による肺炎につながったり、
持病を重くしたりして命取りになる。
ケアハウスのスタッフさんの判断で早い対処ができ、感謝です。


2012-02-24

アタシがちょっと弱音を吐いていたら、昔のバンド仲間から「元気になったらまたグルーヴしましょう」とカードの添えられたきれいなお花が届きました! 
なんとうれしい、そしてシャレた心遣い。

「土日だったらテープ起こし手伝うよ」と言ってくれたメンバーもいて、ああああああ、ホント、感激です。

支えてくれる人たちがいてくれると思っただけで、元気が出ますね。ありがとう!!!
いただいたパワーを胸に、今日も元気にインタビュー行ってきやす!

2012-02-28

体調を崩していた父の心配、予測のつかない展開における動揺、病院の付き添い、日の短い2月にかぎって取材アイテムてんこ盛り(もれなく〆切も)&自分自身も体調悪しという、ネガティブ系そろい踏みだったこの1ヶ月、
正直いろんなストレスがあって、「もうヤダー」と弱音を吐く場面も多々あり。
でも、父はよく頑張ってくれて、ようやく少し落ち着いて、明るく日常生活が送れる状態にこぎつけそうです。

と、同時に、疲れはあるものの、私も体調が戻りつつあるような気がします。
「病は気からなんだね。家族みんなが健康で笑顔でいられることがいちばんだね」と、今年85歳になる父が昨日申しておりましたが、まさにホント、その通りでございます。

2012-03-11

姪が、大学のプログラムで、今月末から1年間アメリカへ留学する。
10歳の頃にニュージーランドへ半年、高校生のときにフィンランドへ1年。成長のいろんな段階でいろんな文化が見られるって、本当に素晴らしいこと。

ということで、昨日は、孫の壮行会のため、父がお正月以来の大磯里帰り。
2月の頭から体調を崩し、入院退院、大腸検査などの数々と、
ずっとガタガタしっ放しで疲れも溜まっていて、
一時、壮行会の開催もあやぶまれたけど、
孫の門出を祝いたい気持ちで父も頑張ろうと思ってくれたようで、
家族全員揃ってとても楽しい時間を過ごすことができた。

姪は、「友達ができるか不安」なんて言ってたけど、
彼女の性格からしたら、そんなの杞憂に等しい。
とにかく結果を急がず、じっくりと自分なりにアメリカでの生活を楽しみ、
外からしっかりと日本を見つめて来てほしいなと思いました。

2012-03-15

朝からたまっていた洗濯を片づけて、港北ロピアまで1週間分の買い出しへ。
買ってきた新タマネギで友人から教わった「新タマネギご飯」に早速チャレンジしてみた。
炊飯器をセットしたあとは、東名ぶっ飛ばしーので父の療養先へ。
定期往診に立ち合って、しばらくおしゃべり。
具合の悪いところは尽きないのだが、少し笑顔も出てホッとする。
父との他愛のないおしゃべりは、私の心にとっても必要なのかも。

帰宅したら、炊飯器からいい匂いが立ち上っていた。
ウワーッ、のぞいてビックリ。2合のお米に対して2個投入したあの大量の新タマネギが、かげもかたちもなくなっているではないか。
つまり全部ジュワエキスになって出ちゃったわけね。
それがご飯にしみて、もう、メチャうまっ。

一応、作り方ね。2合のお米を洗ってザルに上げとく。
新タマネギ2個を薄切りに。お米にだいぶ少なめのお水を注ぎ、薄切りの新タマネギと、コンソメキューブを刻んだもの、オリーブオイル、塩、胡椒を適宜入れて、あとはスイッチを入れるだけ。
豆ご飯と並ぶ、春ならではの炊き込みご飯でございます。ぜひ、お試しあれ~。

お花はいつだって温かいパワーをくれますね。


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