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Naked Desire〜姫君たちの野望

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舞台は西暦2800年代。 世界は政治、経済、そして文化のグローバル化並びにボーダーレス化が進み、従来の「国境「国家」という概念が意味をなさなくなっていた。 欧州大陸にある、…
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2019年11月の記事一覧

Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−29

「ちくしょう……これじゃ、エルヴィラの方がまだマシだわ。私ってバカよねえ。本当に人を見る目がない。宮廷で生き残れるのか不安になってきたわよ! マルガレータ・ハンナ・オクタヴィア・マルゴット、あなたのために使った私の時間とエネルギー、今すぐ返して!」
エミリアは一気にまくし立てると、テーブルに突っ伏して号泣した。
「ごめん、ごめんよエミリア・パトリシア・クラリッサ・アリアンナ

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−28

「お気に召したなら、新品買ってきてあげようか? 使いかけを他人にあげるわけにはいかないしね。タオルも、色違いのものでよければ、それと同じタイプのものがいくつかあるから、あげようか?」
とアタシがいうと、彼女は手に持っているチューブとタオルを見た。
「いいんですか? お姉様」
「いいのいいの」
「ありがとうございます、お姉様。それでは、両方ともいただきますね」
というと、義妹

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−27

「ほら、洗面台はこっちだから、さっさと顔を洗いなさい。私もメイクを直すのを手伝ってあげるから」
アタシがエミリアに声をかけると、義妹は力なく頷いた。
「メイク落とし、あなたは普段なにを使っている?」というアタシの質問に対し
「ミルク……」と、力なく答えるエミリア。
「うんわかった。ミルクタイプね」と言いながら、アタシは自室の化粧棚をかき回す。
ええっと、そんなのどこにあった

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−26

以前から、エミリアのことをよく思っていなかった皇帝付き侍従の一人が、皇帝にエミリアがそばに控えていない時に「エミリア皇女に乱心の気あり」と、あることないことを吹き込んだのである。
だが彼女がかわいい皇帝夫妻は、その意見に耳を傾けないどころか、その侍従をきつく叱責した。その侍従は左遷され、その話はそれで終わり……のハズだった。
だがエミリアを快く思っていない連中は、それでめ

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第25回 心の壁ー25

「構うものですか。本当のことだもん」アタシは、コーヒーをすすりながら言った。
「お姉様はよくても、ほかの人間はそうは思いません。ちょっとした一言で何もかも喪った事例は、枚挙に暇がないでしょう」
気がつくと、エミリアの口調はさっきまでの丁寧調から、ややきつい言い回しになっている。まずい、いささか調子に乗りすぎたか。
「ご忠告、痛み入るわ」
「反省のポーズだけならば、そこらの

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−24

「お姉様に、どうしても見てもらいたいものがあります」
義妹はそう言いながら、黒色のクラッチバッグから、一冊のファイルを取り出し、それを私の前に差し出した。
彼女のいわれるまま、アタシはそのファイルに視線を向ける。
「ま、立ち話も何だからさ、座って話そ」と言いながら、アタシは彼女に、執務室のソファに座るよう促す。「コーヒーでいいよね?」
「はい、お姉様と同じもので」エミリアは

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁-23

〈お姉様、おはようございます〉
〈おはよう、エミリア〉
アタシがディスプレイ越しに挨拶したのは、エミリア・パトリシア・クラリッサ・アリアンナ・フォン・ゾンネンアウフガング=ホッフンヌング。私の妹である。
だが彼女は、実の妹ではない。旧スイスを地盤とする貴族・ローゼンミラー男爵家からやってきた養女である。
〈あの、お姉様……今晩の晩餐会について、なにかお耳に入っていますか?〉

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁-22

だが、この安定した治世も長くは続かなかった。アインハルト5世から数えて5人目のプレアガーツ家出身の皇帝クラウス=フォルクハルト3世は若年で即位した上病弱だったこともあり、政界ならびに宮廷での佞臣の跋扈を許した。
不幸なことに、この皇帝はあまり政治には興味を示さなかった上、このころから極右思想にかぶれた人たちが、急速に勢いを増すようになった。このころの市民は賢かったから、議

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