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EUが世界を先導する!?: 女性取締役の登用義務、充電規格統一

1.以前の投稿から: ヨーロッパの国際標準化戦略

以前の私の投稿(↓参照)の中で、ヨーロッパには、「国際標準化」戦略というものがあることについて述べました。

つまり、ヨーロッパは、何をするにも、まずはルールや規格を自分たちで決め、それを世界中に広げていこうとするのです。

そして、そのルールは、ヨーロッパ企業に有利になることを目指し、それが浸透した後、市場に入っていくという戦略になっています。


2.昨日の日経新聞 夕刊: EUの戦略が炸裂

昨日(6.8)の日経新聞 夕刊の一面は衝撃的でした。

EUがまたしても、国際標準化を狙ったとしか思えない記事が2件、目に飛び込んで来ました。

2-1)EU、上場企業に女性取締役の登用義務 全体の33%以上【日本経済新聞2022.6.8夕刊、6.9朝刊、電子版】

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この記事の内容は、欧州議会と加盟国でつくる理事会が、EUが域内の上場企業に、一定比率の女性を取締役に登用するよう義務づける法案に合意したというものです。

具体的には、社外取締役で40%以上か、すべての取締役で33%以上を少数派の性別にする必要があるということのようです。

基準が未達の企業は、その理由と対策を公表する必要があり、報告が不十分な場合は罰則の対象になるようです。

【コメント】

ジェンダー平等については、機関投資家の投資判断にも影響を及ぼしそうであり、その基準が世界的にこのEUの基準になっていく可能性は高いような気がします。

昨年6月の調査によると、東証1部の上場企業で、時価総額上位300社の取締役は、合計で3115人。

そのうち、女性は394人で12.6%とのこと。

そして、この300社のうち、女性取締役比率が33%以上の企業は、1位のローソン(42.9%)、2位の資生堂(37.5%)を含め、僅か9社(300社のうち3.0%)しかありません。

話は少し変わりますが、以前の投稿(↓参照)で、多様性のメリットについてお話ししました。

その中で、ジェンダー平等を含む多様性により、「新しい発想や変革のきっかけになる」「正解のない難しい課題への突破口」になると記載しました。

日本は、ジェンダー平等の実効をいち早く行わないと、ESGの観点で企業への投資が得られなくなるばかりか、企業の技術革新や難課題への対応が滞る可能性が極めて高いと考えられます。

いずれ、このEUの義務化は、外圧となって、日本にも大きく影響を及ぼすと思いますが、その前に、自助努力での変革が必要だと思いました。

【引用、参照website】
◆日経ビジネス website: 女性取締役比率、ローソン1位、資生堂2位も、日本の劣等生ぶり鮮明 (2021.8.4)


2-2)EU「USBーC」統一、iPhone対応不可避 供給網に影響も【日本経済新聞2022.6.8夕刊、6.9朝刊、電子版】

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この記事では、EUがスマートフォンやノートパソコンの充電機器の規格を統一することで大筋合意したということが記載されています。

EU内で販売される電子機器について充電機器の端子を「USBタイプC」とするよう義務付けるようである。

【コメント】

EU欧州委員会は、「端子の規格統一化は消費者の利便性向上や節約につながる」といっています。

一方、この規格統一化により、アメリカのアップル社は、ヨーロッパで販売するiphoneの充電器端子を変更する必要があるようです。

アップル社は、端子規格統一化について、「イノベーションが阻害される上、電子廃棄物の山ができる」と警告しているようですが、この規格化がEUだけではなく、全世界に影響を及ぼしていくようです。


3.さいごに

世界におけるEUの経済規模は、アメリカ、中国に次ぎ三番目の経済圏ですが、規格化については、世界への影響力が非常に大きいです。

今後、EUの規格化の動きを早く察知して対応するのはもちろんのこと、さらには、日本は、規格化を先に手掛けることが必要になってきそうです。

20か国以上の構成国からなるEUの規格化のスピードには、いつも驚かされます。

EUの動きは、まさしく「OODAループ」思考そのものだと思います。

「OODAループ」につきましては、私のマガジンを参考にして下さい。

EUには、如何にすれば、各分野で自分達がメリットを出すことができるかという明確なパーパスを持っており、そのパーパスに向かって、世界情勢とEUの現状を鋭く観察し、加盟国が結束してスピーディに判断を下していく。

日本政府もこのEUの戦略的動きを見習って欲しいと最近強く思います。


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