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ヨーロッパの国際標準化戦略が炸裂!原子力・天然ガスは「持続可能」???

1.原子力・天然ガスは「持続可能」とEUが判断

今日の日経電子版記事等に驚くべきニュースが飛び込んで来ました。

EUの欧州委員会が、「原子力」と「天然ガス」を地球温暖化対策に貢献するエネルギーと位置づける方針(持続可能と分類)のようです。

その上で関連事業への投資にEUとしてのお墨付きを与えるとのことです。

決定されれば、それが投資家の判断基準となり、世界のマネーの流れに大きな影響を与える可能性があるとのことです。

感覚的には、「原子力」や「天然ガス」が持続可能なエネルギーなのかと頭を捻る部分が多くありますが、それがヨーロッパの戦略らしいです。


2.ヨーロッパの「国際標準化」戦略

ヨーロッパには、「国際標準化」戦略というものがあるようです。

ヨーロッパは、何をするにも、まずはルールや規格を自分たちで決め、それを世界中に広げていこうとするとのこと。

そして、そのルールは、ヨーロッパ企業に有利になることを目指し、それが浸透した後、市場に入っていくという戦略らしい。

↓参考文献


3.EU主要国のエネルギー事情

別のwebsite(↓に添付)に記載されていた以下の図を見ると、ヨーロッパの戦略が一目瞭然になります。

スライド1

EU27カ国全体では、再生エネルギー、原子力、そして天然ガスで電源の81%を占めています。
ドイツでは、再生エネルギーが約40%、天然ガスが約15%である。現在、約30%を占める石炭火力発電を2038年までに廃止する方針があり、また、約15%を占める原子力を2022年までに全廃を目指している。
フランスでは、70%以上が原子力、20%以上が再生エネルギー、10%弱が天然ガスである。
イタリアでは、天然ガスが約50%、再生エネルギーが約40%である。原子力発電は既に全廃している。

❶〜❹のヨーロッパの状況を見ると、「原子力」や「天然ガス」を持続可能なエネルギーに位置付ける理由が、手に取るように分かります。

EU27カ国の利益にあるところを決めて、主要国が、それに合わせてルールを決めて、世界に広めて主導権を握ろうとしていうようである。

余談になりますが、COP26でイギリスのジョンソン首相が、日本や発展途上国に石炭エネルギーの全廃を求めたことも、グラフのイギリスの石炭依存度の低さから読み取れます。
→ イギリスの石炭依存は数%、日本は約30%。

そういう意味で、日本はエネルギーに関しても戦略的ではなく、国際ルールに翻弄されているようです。

↓ 引用文献


4.EUは、昨年、2035年にガソリン車販売禁止も打ち出している

これも記憶に新しいことだと思いますが、EUは、2035年にガソリン車の販売禁止を打ち出しました(↓の2021年7月14日の記事参照)。

これも、トヨタを筆頭とする日本車がガソリン車やハイブリッド車で世界を席巻していることに歯止めを掛けるルールのようです。

まさしく、ヨーロッパの国際標準化戦略の一つでしょう。さらに、中国も2035年ガソリン車全廃を打ち出しており、世界的な趨勢になっています。 →中国メーカーは、現在、電気自動車への変換戦略をとっており、国益に適うルールのようです。

この世界の電気自動車シフトに対して、これまで、電気自動車よりは、ハイブリッド車や水素自動車の開発を推進していたトヨタもついに昨年末、電気自動車シフトに踏み込んでいます(↓の記事参照)。


5.まとめ

❶原子力・天然ガスは「持続可能」とEUが方針を打ち出した。
❷これは、EUの世界標準化戦略の一つではないだろうか。
❸新たなルールを作ることで、ヨーロッパ企業に有利になることを目指している。
❹電気自動車についても、EUは2035年ガソリン車販売禁止を打ち出し、今や世界ルールになりつつある。
❺日本の企業は、こういった、ヨーロッパの世界標準化戦略をいち早くキャッチし、先手を打たないと、世界市場から淘汰されかねない。



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