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菅寿美 チェコ文学 オタ・パヴェル

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オタ・パヴェル著『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』の訳者・菅寿美さんが、読者のみなさんをチェコ文学、チェコ文化のもっともっと遠く深い場所まで連れて行ってくださいます! 本文… もっと読む
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記事一覧

31. ヴィエラの子供たち、ヤン・ペトル・イジー(名前)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者) さて、表題のヴィエラとはオタの妻…

30. チェコのおばーさん(名前)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者) チェコで最も著名な女性作家、ボジ…

28. マジパンの祭り(文化)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者) それは、年に一度のマジパンの…

27. 燻製ウナギ(食べ物)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者) 「燻製ウナギは最高にいいぞ。それ…

26. かぐわしきスリヴォヴィツエ(酒)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者) スリヴォヴィツェ(slivovice)は…

25. ムリーノメルかスホメルか(チェコ語)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者)   チェコ語は日本人にとって、最…

24. 深紅のグリオトカ(酒)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者) 「おやじは腰かけ、グリオトカの大きなグラスを注文した。それは、おやじがちょくちょく飲むことのできる、唯一のアルコールであった。おやじがそれを好んでいたのは、一つにはそれがおしゃぶり飴のように甘いからであり、そしてもう一つには、それが彼に、生まれ故郷であるブシュチェフラットの町の学校裏にあったサクランボ果樹園を思い起こさせるからだった」 (「プンプルデントリフ」より、p.132) グリオトカ(griotka)とはサクラ

23. 70センチメートル未満はつり上げ禁止!?(魚)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者) プラハを旅行したとき、書店で魚の…

22. ロフリークについて(食べ物)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者) ロフリーク(rohlík)はチェコで…

17  べヘロフカ、万歳(酒)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者) ベヘロフカ(becherovka)とは、18…

18 小説『マルケータ・ラザロヴァー』(文化)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者) 思いがけなく、川べりに、小説『マ…

19. クトナー・ホラ(文化)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者) クトナー・ホラ(Kutná hora)は…

20. チェコ人と海(文化)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者) ポーランドで、ようやく、海で釣り…

21. ハガツオってどんな魚?(魚)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者) さらにほぼ一時間南に向かっていたとき、ぼくらはハガツオを発見した。ものすごい数のカモメの群れだ。ぼくらが近づくと、水面が沸騰しているかのように激しく泡立っているのがわかった。その水と泡とが混ざり合ったところから空中へと、小さな銀の魚が、そしてハガツオの鋼の体が跳び出し、カモメが舞っていた。(「ハガツオ」より、p.124) 日本の初夏の味覚のひとつに、初ガツオがある。どの時期が最も美味なカツオであるかはさておき、カツオ