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17 べヘロフカ、万歳(酒)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者)


ベヘロフカ(becherovka)とは、1807年にヤン・ベヘル(Jan Becher)が父ヨゼフ・ベヘルの考案した胃疾患に効能のあるリキュールをもとに生み出した、200年の歴史を持つチェコのハーブ系リキュールである。日本の、あのずんぐりした茶色い瓶に赤キャップ、赤い箱におさまった薬用酒とどこか似た香りがする。ただし、見た目はいくぶんおしゃれだ。緑色に透き通った、背の高いガラス瓶におさまっている。

ベヘロフカの瓶

(ベヘロフカの瓶)

世界的に有名なチェコの温泉地、カルロヴィ・ヴァリ(Karlovy Vary)にて誕生したベヘロフカは、カルロヴィ・ヴァリの13番目の源泉とも呼ばれて愛されている。日本の薬用酒が健康増進目的で少量ずつ服用されるのに比べ、ベヘロフカは、あくまでアルコール飲料として楽しみつつ飲まれているようだ。

アルコール度数は38度と高めなので、生で飲むときには、ウォッカのように冷凍庫できんきんに冷やして飲むのがお勧めらしい。また、トニック水で割れば夏向きに、お湯割りにして少量のハチミツを加えれば、ホットベヘロフカとして楽しめる。

ベヘロフカには、定番のベヘロフカ・オリギナール(オリジナル)のほか、レモント(レモネード風味)、KV14(砂糖なし)、ベヘロフカ・コーディアル(甘口)、アイス・アンド・ファイヤー(最初ひんやり、あとでカーっと熱くなる?)があるそうだ。オリギナールは日本でも輸入品を購入できるので、興味のある方は、飲みすぎないように注意しつつ、お試しあれ。

ぼくらが持ってきたものはといえば、まず、三本のベヘロフカの瓶だ。ベヘロフカは、彼に言わせると、あらゆる用途に応えるらしい。温まるために、急流下りの景気づけに、袖の下に。(「のっぽのホンザ」より)

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