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27. 燻製ウナギ(食べ物)

菅寿美(『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』訳者)


「燻製ウナギは最高にいいぞ。それをおまえ、年がら年中食えるんだぜ」
(「おやじとウナギをもてなしたお話」より、p.27)
おやじは、かつて、こんなことを思い描いていた。一度にたくさんのウナギを手に入れたなら、肉屋のフランツィ・ヤノウフのところへ行って、白い花をつけているハリエンジュとスモモの枝にトショウの実を加えたもので、燻製にしてくれるよう頼むのだ。(「金のウナギ」より、p.176)

ヨーロッパでは、燻製ウナギ(uzený uhoř)は比較的ポピュラーな調理法のようだ。筒切りで、あるいは開いてから燻すらしい。日本でウナギを燻製ウナギにして食べる地域があるかどうかはわからないが、燻製ウナギを作って食べてみたという報告は多々見られる。今では生ウナギはなかなか手に入らないが、白焼きやかば焼きの形で市販されているものを熱燻製すると、おつな一品ができるそうだ。

その燻製ウナギの食べ方だが、まずは、そのまま食べられる。白焼きから燻製にしたものは、わさび醤油でいただくとおいしいらしい。また、ハーブやコショウ、赤ワインの漬け液に浸してから燻製すると、お酒がぐいぐいと進むあてが出来上がるらしい。ヨーロッパウナギの燻製は皮が固めなので、皮を剥いて食べるのがお勧めのようだ。脂が気になる場合には、小さめにカットしてキュウリやミョウガとあえて酢の物にしても良い。

ウナギが絶滅危惧されるようになった現在では、残念ながら、気軽に燻製ウナギの作成や賞味を望むべくもない。2020年現在、ウナギの完全養殖に向けて盛んに研究が行われている。今後ウナギの養殖が軌道に乗った暁には、極上の自家製燻製ウナギを作って食べてみたいものである。

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