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小さな旅

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マガジンを作るほどでもない小さな旅の記録
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#エッセイ

震災の後の厚真町@北海道徘徊記⑤

震災の後の厚真町@北海道徘徊記⑤

網走の展望台に上がったら、キタキツネがいた。

そんな大自然溢れる北海道を7ヶ月前、最大震度7の大地震が襲った。

北海道胆振東部地震。

少額を寄付した程度でその他何もしていないのは甚だうしろめたいが、せっかくなので網走からの帰りに厚真町を訪れた。

町に入ると、背の高い木々が倒れこみ、土砂崩れの後が目立つ。

エリアによっては、土砂崩れの範囲も広い。

とりわけ土砂崩れの被害が大きかった吉野地

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網走の夜@北海道徘徊記④

網走の夜@北海道徘徊記④

「あれはね、北海道の歴史だから」

初老の女性は、小さく云った。

ビール730円。

「そうですね。でも刑務所の博物館は割りかし人が来てましたけど、この辺は観光客もぜんぜん見ないですね。店も結構閉まってますし。流氷が終わっちゃったからですか?」

網走流氷観光の名物、砕氷船は数日前に終わったばかり。繁華街と聞いてきた商店街は閑古鳥が鳴いていた。宿で割引券付きのチラシをもらったが、そもそも空いて

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網走監獄@北海道徘徊記③

網走監獄@北海道徘徊記③

網走駅の裏側。刑務所とは逆サイドの山の上に『博物館網走監獄』はある。

大人1,000円(税別)。チケット購入時に「集計を取っています。どこから来ましたか?」と聞かれる。

受付を抜けると、を忠実に再現した門が現れる。

門番が忠実かはわからないが、実直そうだ。

まずは獄舎へ。重要文化財だそうだ。

なんか木造の小学校みたいな雰囲気。

ちなみに、5棟が放射線状に広がっている。上からはこんな感じ

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網走刑務所@北海道徘徊記②

網走刑務所@北海道徘徊記②

網走駅前を流れる網走川にかかる橋を渡ると、それはすぐあった。

勝手に刑務所は人里離れたところにあると思っていたから、松屋とか、ケンタッキーとか、パチンコ屋とかと並ぶように鎮座しているのは意外だった。とはいえ、小説や映画のイメージの刷り込みもあるのだろうが、刑務所がこんなにかっこいい必要があるのかと思うくらい、雰囲気は抜群。

日本最北端の刑務所というロケーションは、島流しのようなイメージで地の果

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はじめての帯広@北海道徘徊記①

はじめての帯広@北海道徘徊記①

「テメエ何してくれてんだ、この粗チン野郎がーー!!!」

急停車したロードスターから降りてきた”ザ・こけし”こと本間朋晃似の男が、赤ら顔を歪ませながら、道路の真ん中で叫んでいる。しかも、あろうことか、その視線は確実に私を捉えている。

「え、お、おれ??」

思わず、岡ちゃんから交代を告げられたカズばりに我が胸に指を立てて聞き返しそうになる。

目的地の宿の場所がわからなくて、直前の交差点でやや不

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