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ゲストハウス営業1年2カ月目までで気づいた4つのこと

 愛媛県上島町弓削島での「ゲストハウスみちしお」の営業も2年目に入ってから、すでに2カ月が経とうとしています。初年度は、予約サイトのクチコミ数0件からスタートです。初めてのゲストハウス運営で、ゲストのニーズは手探り。ゲストハウスに足りていない事物は多くありました。なのに、初年度だというのに、NPOなど非営利部門の活動のために、繁忙期にゲストハウスの休みを取ったりしていました。当然、売上は伸びません。
 ぼくの、自分でも感心する楽観主義と、繁忙期に尾道や瀬戸田など集客力の高い周辺エリアの宿泊施設が満室になるとウチにまで来てくれるという立地環境があって、なんとか今までやりくりすることができました。
 この開業から約1年と2カ月というタイミングで、今、「小規模な宿泊施設の運営ってこうだよね」と気づいたことを、思いつくままに4点、書いてみたいと思います。

1.集客力の高い観光エリア内か、その周辺への立地が有利
 すでに多店舗展開していて、高いブランド力や知名度を確立している運営者ではない、ぼくのような弱小事業者の場合、開業直後の集客には苦戦します。それでも、集客力の高い観光エリア内か、その周辺に立地していれば、集客力の高い観光エリア内の宿泊施設が満室になる繁忙期になると、顧客は流れて来てくれます。
 「ポツンと一軒家」的な立地環境では、よほど強力で差別化された集客コンテンツを宿に備えているか、効果的な広告施策を広範に展開するか、あるいは独占的な顧客層をあらかじめ持っていなければ、「ポツンと一軒家」を目的地(デスティネーション)としてブランディングしていく作業は、なかなかに時間のかかる工程であり、つまり財政的な余裕がなければむずかしいと思います。
 宿単体の魅力も、もちろん大切ですが、宿の立地環境が営業成績に及ぼす影響は、想像以上に大きいと感じました。

2.繁忙期に大きく稼ぐか、通年の稼動率を上げるか
 閑散期には、尾道のような集客力の高い観光エリアであっても、入込客数は大きく落ち込むそうです。観光エリアから外れる、ぼくの宿があるような場所に立地する宿泊施設では、客数の落ち込みは体感的にさらに大きくなります。
 事業年度単位で及第点の売上をつくるためには、次のどちらかの施策を取るしかありません。①施設の宿泊客数を大きくして繁忙期に大きく稼ぐか、②閑散期の稼動率を上げる努力をするか、です。ぼくのところのような小さな小さな施設では、後者しか、選択肢はありません。

3.満室になると、けっこう忙しい
 繁忙期には、幸いにも満室となる日がつづくことがあります。ぼくのところは、個室3室、定員5名の、ごく小さなゲストハウスなのですが、それでも3室それぞれにゲストが泊まると、1日のチェックインは3回あります。いつ到着するのか当日になってもわからなかったり、連絡のあった到着予定時間を過ぎてもいつまでも到着せず、長時間、じっと待っていることも、よくあります。
 また、5人分のシーツとタオル類を洗濯するには、洗濯機を3回まわす必要があります。宿のキッチンが自炊してがっつりと使われていて、油を使った調理の跡もあったり、外国人のゲストが靴を履かずに外に出たのか、室内履きで外に出たのか、室内にゴミが多くあったりすると、建物内を元の状態にリセットする清掃に時間がかかります。清掃・ベッドメイキング・洗濯、そしてチェックインだけで1日が終わってしまうような日も、これはこれで宿泊施設運営者としては「幸福な日々」と思うべきなのかもしれませんが、あります。

4.作業をルーティンにしてしまうとラク
 営業を始めて1年以上が経つと、作業の順序や方法がルーティン化していきます。いや、積極的にルーティン化していくべきだと思います。ルーティン化すれば、順序や方法をいちいち考えて組み立てる時間を省くことができますし、作業をやり残したり、やり忘れるといったことが、少なくなります。
 自分で開業直後よりも特に「うまくなった」と思うのが、掛け布団のカバーを付ける作業です。最初は、モタモタとしていましたが、今では短い時間で見栄えよく付けることができるようになった、と感心しています。

 そして最後に、営業を始める前からわかっていて、「やってみてから気づいたこと」ではないのですが、ゲストハウスの運営以外にも「収入の柱」があった方がいい、そしてその「収入の柱は、できれば複数、多ければ多いほどいい」という、まあ、宿泊業に限らずあらゆる事業者にとって当たり前のことも、梅雨と冬季という2回の閑散期を経て、改めて実感しました。
 閑散期でも最低限の稼動率を維持できるように、そしてゲストハウス以外の「収入の柱」をつくっていけるように、経営努力をつづけていきたいと思っています。

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