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☆本#183 不思議とホラーの狭間「化物蝋燭」木内昇著を読んで

時代小説。短編7つ。
ちょっとホラーというかドッキリする話。

印象的なのは、「お柄杓」「幼馴染み」。

前者は20代半ば過ぎのバツイチ女性が主人公。ある日仕事中に自分を見てる年寄りに気づく。それが後に、前世で夫だった人と知る。
この男曰く、自分の生まれ変わりはまた彼女と夫婦になるだろうと。でも、彼自身はまだその人物(自分の生まれ変わりの男)に会ったことがない。
で、主人公は気づく、この男と同じアザのある男を。しかも、その人はこの年寄りと会っていない。
恋愛につながるか微妙な感じで終わる。多分つながるんだろうけど。

読後、結婚生活約53年の原田康子とその夫を想起した。この二人も来世でまた一緒になりそう。単なる想像だけど。エリザベス女王は夫と70年以上連れ添ったけど、これはどちらも長寿だったからで特殊な例だろう。

後者は、女性とその幼馴染との話。
主人公はハキハキした明るい子。幼馴染は人見知りする大人しい子。ある日、幼馴染の父親が事故で死ぬ。主人公の母親は可哀そうに思い、家族扱いする。その後、二人で一緒に奉公に行くことになる。
で、端的にいうと、主人公の恋人を幼馴染は奪う。流れからこれは想像がついた。
そして主人公に、自分の代わりをこれまでしてくれてありがとう、と言う。大人しいと思っていた子はちょっとPsychoな子だった…。父親も事故死ではなく、彼女が画策していた...。

主人公が、心変わりした恋人にさっさと見切りをつける点は潔かった。
表紙の絵を見て、昔読んだ絵本を思い出した。



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