「叶う」と「叶わない」のあいだにあるもの
幼い頃に描いていた夢がまったく思い出せない。
お花屋さん?ケーキ屋さん?たぶん違う。しいて言えばエレクトーンの先生や漫画家には憧れた気もするけど、どちらも中学生になったぐらいで早々に諦めた。習い事もぜんぶ途中でやめた。運動部に入っても補欠だった。何かの目標に向かって頑張る、といった努力が全然できない学生だった。ひとつのことに熱中している子たちがいつも羨ましくてしょうがなかった。
そんな私が小さな夢のカケラを手にした季節をよく覚えている。19歳から20歳にかけて大きな恋愛を