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わたしは馬鹿じゃない

私は難聴です。
突発性であり進行性であり感音性の両側難聴です。

2014年の秋頃に人工内耳手術をして、今は装置を着けて生活しています。

その手術をする前、今より100倍くらい聴こえなかったときの話。



大学3年頃からどんどん落ちる聴力。

その頃はまだ障害者手帳がギリギリ持てないレベルだったので、普通の大学生と同じように就職活動をして、内定をもらい、就職しました。


就職してからも落ち続ける聴力。
正直普通にやってたら、ほとんど聞こえない。

メールやチャットツール、スケジュール、資料、ありとあらゆる文字で読める情報を常に頭にパンパンに詰めてあった。
内線電話も誰からかかってくるかわかるように座席表を貼り付けたり、番号覚えたり。
他にも色々工夫してました。


話しかけられたら、そういった情報を頼りに、口元、表情、状況をフル回転で考えて考えて考えて聞き取っていました。

そうするとまぁ、わりと聞き取れた。


後から病院の先生に言われたけれど、わたしは聴力検査の結果に比べて、その結果よりも会話の聞き取りができた。

聴力検査の結果では、全て筆談しないとわからないくらい聞こえないけど、実際の生活では聞き返したり状況を考えながらギリギリ会話ができるかできないか、くらいだった。

ただ、聞き取れてるのに言われてることが理解できなかった。

理解するのに時間がかかった。

脳に入ってきた言葉は知ってる言葉なのに、そこからなんて返したらいいか答えを出すのに時間がかかった。


言われたことを理解できてないなら、聞こえてないんじゃないのと思われるかもしれませんが、説明が難しいですが本当に聞こえてるのに理解が出来なかった。

極端な話、「おはよう、今日はいい天気だね」と聞こえているのに、それに何と返事していいか考える時間が必要だった。

「お疲れ様、昨日出してくれたあの資料だけど、あれで概ねオッケーだから、ヘッダー付けて10部印刷しておいて」と言われただけで大変。

昨日出した資料、資料、、、、あぁあの資料ね、、で、、、ヘッダーをつける、、、印刷する、、、、10部、、、、


普通なら考えなくても理解できることなのに、考えて考えて考えてやっと理解できるイメージです。

そしてそれを言った人はもう目の前にいないのに、「いつまでに?」とか「あの会議に必要なら15部では?」とか疑問が出てくる。


わたし馬鹿になっちゃったのかなぁ。


この思いは心底苦しかった。

幼い頃から勉強はそこそこ出来たし、部活ではマネージャーをしていたけれど、そこでも仕事ができるねって褒められていた。

大学での成績も相当よかったし、プレゼンで賞も取った。アルバイトもどこで何やっても優秀という評価を得られていた。

だから学生の頃から働くのは自信があったし、夢は大きなオフィスビルで働くことだった。
働きたくて働きたくて仕方がなかった。


でも実際は聴力障害を持ち、言われたことを理解できない状態だった。

もしその時、もっと聞こえなかったらこんなに悩まなかったと思う。
ギリギリ聞こえるからこそしんどかった。


わたしは馬鹿じゃなかったはずなのに。
働くことには自信があったのに。
耳が聴こえない上に馬鹿になっちゃった。


ずっとずっとどうしようもなく悩んでて。


「わたし馬鹿になっちゃったんでしょうか」と言語聴覚士の先生に相談した。

先生からは、聞き取りに集中しててそこに脳のキャパシティを持っていかれてるから、頭が悪くなったわけではないよと言われた。



少しほっとしつつも、そうすると今度は、

わたしは馬鹿じゃないのに。馬鹿だと思われる。

って思い悩んだ。
自尊心との戦いだった。

今の返答に変な間ができた。馬鹿だと思われた。
簡単な言葉なのに聞き返した。馬鹿だと思われた。
聞き間違えて返答間違えた。馬鹿だと思われた。



あんまりにつらくて、どういう時だったか忘れたけど、年はそこまで変わらないけどお母さんみたいに注意したり優しくしたりしてくれる先輩に言った。

「耳が悪くて何よりつらいのは馬鹿だと思われることです。わたし馬鹿じゃないのに。」



そしたら先輩が、

「馬鹿だなんて一回も思ったことない。新卒で入社してからずっと、頭のいい、賢い子だと思ってたよ。馬鹿じゃないよ」

って言ってくれた。


本当に本当に嬉しかった。
就職してからずっと、毎日ずっと悩んでた。

自尊心がズタズタで、それでも自分を保つために、自分で自分に「わたしは本当は馬鹿じゃない」って繰り返し思っていたのを、初めて他人に言ってもらえた。

本当に救われた。


わたしが吐露したのを覚えててくれていたのか、わからないけど、先輩が退職されるときにいただいた手紙にも書いてあった。

自分に自信が持てた。
だから今の自分がいます。

感謝の気持ちでいっぱいです。
先輩の言葉に救われました。
ありがとうございました。

#note #エッセイ #思い出 #先輩 #会社 #難聴 #とは #人工内耳 #君のことばに救われた

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アラサー社会人。重度の感音性難聴。けれどもそれは“私のほんの一面よ” 基本的にポジティブに生きてポジティブな文章を書いていきたいです

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コメント (15)
初めまして。ギリギリ聞こえてる状態が一番辛い  よくわかります。痛いほど。でも聴力はこれ以上失いたくない。葛藤してます
良い先輩を持たれたし、ご自身の頑張りもあって幸運ですね。励みになりました
流れ雲流れ星さん
はじめまして、コメントありがとうございます!聴くことは諦められないからこそつらいですよね。今まさに葛藤されている状態なんですね。私は心底つらいときに、有川浩先生の「レインツリーの国」という小説を読んでいました。誰もわかってくれない辛さが、小説の中にありました。もしお読みでなければ、短めですし、おすすめです。またお話できればと思います。
レインツリーの国を昨日と一昨日で読破しました!一気に。読んでみた感想はめっちゃ面白かった!です。恋愛小説として。難聴者の聞こえにくさの表現もとてつもない勘違いですが私のことモデルにしたの?って錯覚する位良かったです。
実は、、、、
過去に難聴者の女性がでてくると言うので、紹介を受けた事がありました。汗 読むといいと。

でも、なんとなく読むと辛い気持ちになって余計に落ち込んでしまいそうで、その時は本を探すこともしませんでした。
で、いつの間にか忘れていたのですが、
みみみさんに勧められて、読んでみようと思い読んでみました✨
本当にご紹介ありがとうございました!
自分のnoteにも感想を書いてみようと思います。
流れ雲流れ星さん
コメントのお返事遅くなりすみません!感音性難聴の聞こえが本当にリアルですよね。おすすめした本を読んでいただき、ポジティブな感想をいただけて嬉しいです!有川浩先生の小説は本当にどれも面白いです😊流れ雲流れ星さんの感想も読みました!そちらにまたコメントさせていただきますね!
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