話が聞き取れない人の中で起こっていること
あなたは、他人と話している時に
「本当に、話聞いてた?」と言われたり、
「それ、この前言ったじゃん」と言われて
「いや、聞いてないんですけど」
と人ともめることが頻繁にあるでしょうか。
または逆の立場で
普段から人の話を聞いていない人が身近にいて、イラついたり、
とんちんかんな受け答えをする人が居て、困っているでしょうか。
もし、上記のような形でコミュニケーションに難しさを感じているなら、私のように「特殊な言葉の聞こえ方」が原因で、言葉がうまく届いていない場合があるかもしれません。
・自分では聞いてる「つもり」
こんにちは。
ひきこもり歴4年目、
アスペルガー症候群のmokuです。
私は日頃、人から
「本当に、話聞いてた?」と言われたり、
前もって相手が伝えていた情報なのに
「聞いていないです」
「初めて聞きました」
などと言っている、いわば「話を聞いていない困った人」です。
実は、自分では30年以上、
この事態に気付けませんでした。
きっかけは、人から「よく会話が飛ぶよね〜」と言われた事です。
?
私は真面目に会話をして、話を飛ばしている意識が全くありませんでした。
一体どういうこと…?
腑に落ちなかった私は会話を録音して、後で聞いてみる事にしました。
すると…
「私の記憶にない会話がいくつかある…!」
このときに初めて、自分が
会話で、聞き取れていない部分が沢山あると知りました。
しかも厄介な事に、
聞き取れていないはずの相手の言葉に、
「うん」とか「そっか〜」
なんて相槌まで打っているではありませんか。。
(いやいや、何テキトウに返してますのアナタ…)
なぜ、こんな事が起きているのでしょう。
・私の頭の中で起こっていた事
私はまず、
聞き取れていない時に、自分の中で何が起きているのか、観察してみる事にしました。
そこで以下の7パターンがある事に気付きました。
私が実際の会話で聞こえている様子を、絵を交えて記します。
(※これらは、なにか知識を要する小難しい会話ではなく、日常的なレベルの会話の中で起こっています。)
ここまで書いて、私は思いました。
みなさんも学生のころ、
朝礼で校長先生の話が始まると
「早く終わらないかなぁ」と他の事を考えたり、
別の音に気を取られて話を聞いていなかった…
なんて事、1、2回はあるんじゃないかなと思います。
私はそれを、
ごく親しい人の、割と必要な話にまで頻繁におこなっているみたいでした。
ちなみに自分が興味のある話だけは、環境が静かであれば、聞き取れている事も多いです。
いや、失礼すぎんか…!
人の話を無意識レベルで選別し、ほとんど聞き流しているという事です。
これ、相手からしたら話してて、とても嫌になるだろうなぁ。
治せるのなら治したい。
どうすれば良いんだろう。
・聴覚情報処理障害?
まずはネットで調べてみよう…
そう思い、「言葉が聞き取れない」で検索するとNHKの下記のサイトが引っかかりました。
“聞こえているのに 聞き取れない”
https://www3.nhk.or.jp/news/special/lifechat/post_52.html
わ、見事に私のことだ!
記事を読んで、そう感じました。
ちょうど下記の動画の1分目から、私が普段、どのように言葉が聴こえているのかを体験頂けます。
https://m.youtube.com/watch?v=ZcfTlpMGCJM
今までみんな、
こういう途切れ途切れの言葉が聞こえてくるものだと思っていたので、
飲み会で「よく相手の話が聞き取れるな〜」なんて思っていたのですが、多くの方はちゃんと聞こえていたのですね笑
もっと早くに知りたかったです。
その聞き取りにくさは、聴覚情報処理障害(APD)という名前がついていました。
・アスペルガーは「言葉が聞きとれない」?
私はこれまでに2度、言葉の聞き間違いで、会社を辞めたりクビになっています。
そんな訳で、働くのをためらい、引きこもっていました。
でも、障害年金も出ないし、家はかつかつ。
やっぱり家族の負担を減らすために働きたい…!
「診断を貰えれば、就職活動の際に理解してもらえるんじゃないか。」
そんな淡い期待をこめて、私はこの辺りでは一番大きい大学病院の耳鼻咽喉科にかかりました。
そこで、先生に一番最初に聞かれたのは
「精神科の方で何かお話を聴いていますか?」
?
精神障害と関わりがあるんでしょうか…
先生によりますと、
・最近になってこの「聴覚情報処理障害」が知られるようになってきた。
・まだ未知の事も多く、対処方法が無い。
・発達障害の方に多い。
という事でした。
そ、そうなんだ…
念のため、後日、静かな場所で一般的な聴力検査などをしましたが、どれも正常値。
とはいえ、検査の合間に機械音がする部屋で問診をすると、言葉が聞き取れていない事が多かったので
「おそらく、聴覚情報処理障害でしょう」と言われました。
ところが地方の大学病院のため、正式な検査が確立しておらず、診断書は出せないようでした。
ほんとうに最近知られてきた感じなのですね。
聴覚情報処理障害(APD)は発達障害の方にも多い…ということで、
私の場合は
集中力のなさや、音の処理の段階で、脳が優先順位をつけられていないのかも、と。
正直、口頭でのやり取りに挫折しまくっていた私は、手話を覚えようかとも思っていました。
しかし、集中力不足が原因で聞き間違えているのなら、流動的なコミュニケーション(言葉が保持できないもの)では解決が難しいのではと思いました。
・「話を聞いていない人」に話を聞いてもらうには
コミュニケーションとは、
お互いの感じている事を言葉で交換し合う事だと思います。
そのためには一度「相手の言葉を受け取る」という作業が必要です。
ところが私の場合、耳からの言葉のインプットがうまくいかず、相手の言葉が受け取りづらい事がわかりました。
そのせいで対面や口頭でやり取りをする際
「察せない人」「相手の気持ちがわからない人」になってしまっているのかな、と思いました。
また、「察せない人」「相手の気持ちがわからない人」というのはアスペルガー症候群の典型的な特徴だと言われていますが、
その大元は「言葉が聞き取れていないから」というのもあるのでは?と現時点では思っています。
というのも、
私は昔から、文面でやり取りをすればコミュニケーションがスムーズにいくのです。
絵や文面など目に見えるものでインプットすると、耳で聞くだけでは分からなかった事が、すんなり理解できます。
たとえば
「ご飯だよ〜」と後ろから声をかけられても上の空なのに、
「ご飯だよ」と書かれたメモを置かれると
「ありがとう、今行くね」と動けます。
吹き替え映画は
シラケた顔で見ていたのに、
字幕付きの同じ映画に変えると、
内容が理解でき、号泣しています。
また、歳を重ねたり、いくらか私の障害を理解して支えてくれる人と言葉の交換方法を変えることで、「察したり」「気付いたり」とできる事が増えています。
これは単に、
日常で受け取れる言葉が大幅に少なかった結果、人とのやりとりの経験値の蓄積が、通常に比べ遅かったのではと思っています。
さらに、自己紹介記事では、勉強が得意なのにコミュニケーションが苦手と書きました。
これは「勉強はマイペースで取り組めるものでかつ、テキストなどがあって目で理解できるもの」だからなのかな、と推測しています。
このように、「話を聞いていない人」の中には「聞き取りが苦手な人」が居るかもしれません。
そんな方への話を聞いてもらう方法の一つとして
「文字や図や絵で伝える」など、アプローチの仕方を変えてみると、解決する場合があるのかもと自分なりに思いました。
文・絵 : moku
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