見出し画像

週末に美術館として図書館へ行く。認識を広げる意外な方法。圧倒的すぎる小学館「世界美術大全集」。

イントロ

皆さん、小学館「世界美術大全集」をご存知でしょうか。
その名のとおり、世界の美術を集めた本です。

よくある美術全集でしょ?

そうです。しかし、日本で出版されている美術全集では、もっとも規模が大きな、日本最高峰の美術全集です。西洋編と東洋編があり、西洋編は28巻、東洋編は17巻です。日本での史上最高の美術全集といってもいいでしょう。
※ それぞれに総索引巻があります。
※ 一覧を記事の下に載せています。

そのサイズはなんとおよそA3サイズ、30cm✕42cmの大判で、4kgもの重量があります。

1冊は3万円します。西洋編を揃えるのに97万円掛かります。西洋・東洋の全巻だと135万円!!!ですね。

そんなの買えませんよね。

図書館に行けばあるのです。

※ ほとんどの市立図書館に所蔵されているはずです。お住まいの市の図書館になければ、隣の市立図書館にはあるはずです。わたしの住んでいる市では、隣接している全ての市立図書館に所蔵されていました。

驚くべきことは、網羅性、そして、すぐれた印刷。

たとえば、ルネッサンスで3巻あります。しかも、A3サイズで印刷されています。一般的な美術入門書では見えない細かな色彩や書き込みまで体験できます。

ところで、大塚国際美術館に行かれたことはありますか?
大塚国際美術館では、1000点もの絵画が原寸大で再現されています。印刷ではなく、絵画を3次元的に読み取って陶板に焼き付けているので、絵の具のタッチまでわかります。システィーナ大聖堂が原寸大で設置されています。そこではミケランジェロの絵画を大聖堂にいるような空間で鑑賞できます。数年に一度は訪れたい美術館です。わたしは何回か行っています。

でも、その大塚国際美術館でも約1000点なのです。

小学館「世界美術大全集」だと、いくらでしょうか?

総索引によれば、西洋編約14000点、東洋編9647点。
桁違いですよね。

これだけの美術品を一挙に、市立図書館で鑑賞できるのです。

携帯するもの

集中して閲覧したいです。余計なものは持って行きたくありません。

「鑑賞のための西洋美術史入門」とメモ帳だけを持っていきましょう。
美術史の本がないとよくわからなくなるのです。また、知らない画家さんや作品に多く出会うはずです。その場で、メモ帳して後で調べましょう。スマホはできるだけ使用を控えます。小学館「世界美術大全集」には、そもそもネットで調べられる情報を凌駕しています。スマホで調べる意味がないのです。

気づくことがあるはずです。

こんなにあると思わなかった。

小学館「世界美術大全集」を、ざっとでもいいので見通すと、何に気づきます。

そして、ポッと何か分かりそうと、その仄かな兆しを探し始めるはずです。

基準を知る

茂木健一郎さんによる「基準を知る」という動画を見てほしいです。

動画では、"Gravitation,Misner & Thorne & Wheeler & Kaiser,2e,2017"、略してMTWが挙げられています。この本、1万円ほどします。翻訳書だと26,400円します。物理学科の学生でもほとんどの学生は持っていません。市立図書館にまず置いていません。
※ ただ、このMTWは迷信を解く手掛かりになります。「一般相対性理論は難しくて理解できている人は世界に数人しかいない」と思われている人がいまだにいます。このような教科書(MTWは学生向けの入門書です)がある事自体が、その迷信が間違いであることを示しています。わたしだってMTWを持っていますし、読んでいます。興味のある方は書店で立ち読みしてみてください。一般相対性理論であれば、Dirac(ディラック)の一般相対性理論 (ちくま学芸文庫)がオススメです。天才物理学者Dirac(Wikipedia)は文庫に収まるように書いてしまったのですから、これもまた驚異です。

「基準を知る」ために"Gravitation"は一般の方には、その名のとおり重すぎます。仮にみたとして、ピン来ないと思います。

「基準を知る」ためのもっとも適したテキスト

一般の方にとって、この小学館「世界美術大全集」は、「基準を知る」ためのもっとも適したテキストになりえます。

日本にはイギリスやフランス、イタリアなどにあるような大規模な美術館がありません。大塚国際美術館があるくらいです。このため、日本では歴史を感じつつ美術を鑑賞する、いわゆる「素養」が身につきにくい環境なのです。手軽に世界と歴史を感じにくいのです。

小学館「世界美術大全集」は大英博物館クラスの博物館の役割も果たしてくれます。西洋編第2巻 "エジプト美術"を開けば、「エジプトと言えばピラミッドとツタンカーメンのマスク」しか思い浮かばない人には衝撃を受けるはずです。小学館「世界美術大全集」は全巻を通して、美術品だけでなく、建物や調度品も多く収録されています。東洋編は、この博物館的要素が色濃いです。始皇帝の兵馬俑も多くのページを使って紹介されています。

小学館「世界美術大全集」西洋編・東洋編を一巡した時、ビフォアアフターであなた自身で自覚できる違いを感じられるはずです。

きっと、認識の範囲が大幅に拡がり、世界を捉える解像度がより精細になっています。

ぜひ、皆さんに小学館「世界美術大全集」を体験してほしいです。

最後に

皆さんにお願いがあります。

小学館「世界美術大全集」を図書館に見に行く際、本を丁寧に扱ってください。決して、ページを破ったりしないようお願います。ページの欠損があったとしても、公立図書館で書い直しになることはないでしょう。ページ欠け、欠損などがあると、未来数十年にわたって、その市の教養レベルが下がることを意味します。これから成長していく若い人たちにも、大切な資産を引き渡していきましょう。

また、図書館の方には、小学館「世界美術大全集」は館内閲覧のみ、つまり貸出禁止にして、大切に保存できるように検討していただきたいです。

ところでわたしの叶えたい夢

その一つが小学館「世界美術大全集」を買い揃えることなのです。単に揃えるだけでなく、閲覧に相応しい環境づくりも含まれています。小学館「世界美術大全集」を書棚に悠々と収められて、読む際に余裕ある机とスペースがあり、作品を眺めながら静かに時を過ごせる空間、このような環境をぜひ作りたいと予定しています。定価だと100万を優に超えますが、中古なら手に届きそうなんです。環境づくりはまだまだこれからです。

美術書を持っておきたい人へ

人気のあるルネサンス時代と印象派の本を持っておきたい方はこちらの2冊がオススメです。

A4サイズと大きく、印刷は美術本として鑑賞に相応しい美しさです。構成、網羅性も優れています。ユーズド市場で数千円で出回っています。

絵画の見る方法

絵画の見方をレベルアップするにはこの本がオススメです。この本について、記事を書きました。こちらもよろしければご覧ください。

世界史に関しての記事も書いています。お手軽に世界史を学び直せる方法を紹介しています。こちらもオススメいたします。

参考

西洋編一覧

  1. 先史美術と中南米美術 (1995/12)

  2. エジプト美術 (1994/4)

  3. エーゲ海とギリシア・アルカイック (1997/4)

  4. ギリシア・クラシックとヘレニズム (1995/10)

  5. 古代地中海とローマ (1997/6)

  6. ビザンティン美術 (1997/8)

  7. 西欧初期中世の美術 (1997/2)

  8. ロマネスク (1996/4)

  9. ゴシック1 (1995/2)

  10. ゴシック2 (1994/10)

  11. イタリア・ルネサンス1 (1992/12)

  12. イタリア・ルネサンス2 (1994/12)

  13. イタリア・ルネサンス3 (1994/2)

  14. 北方ルネサンス (1995/7)

  15. マニエリスム (1996/9)

  16. バロック1 (1994/6)

  17. バロック2 (1995/6)

  18. ロココ (1996/8)

  19. 新古典主義と革命期美術 (1993/10)

  20. ロマン主義 (1993/6)

  21. レアリスム (1993/12)

  22. 印象派時代 (1993/8)

  23. 後期印象派時代 (1993/3)

  24. 世紀末と象徴主義 (1996/2)

  25. フォーヴィスムとエコール・ド・パリ (1994/8)

  26. 表現主義と社会派 (1995/4)

  27. ダダとシュルレアリスム (1996/12)

  28. キュビスムと抽象美術 (1996/5)

  29. 別巻 総索引 (1997/10)

東洋編一覧

  1. 先史・殷・周(2000/08)

  2. 秦・漢(1998/08)

  3. 三国・南北朝(2000/10)

  4. 隋・唐(1997/12)

  5. 五代・北宋・遼・西夏(1998/11)

  6. 南宋・金 (2000/03)

  7. 元(1999/09)

  8. 明(1999/05)

  9. 清(1998/03)

  10. 高句麗・百済・新羅・高麗(1998/06)

  11. 朝鮮王朝(1999/11)

  12. 東南アジア(2000/12)

  13. インド(1)(2000/05)

  14. インド(2)(1998/12)

  15. 中央アジア(1999/02)

  16. 西アジア(2000/01)

  17. イスラーム(1999/07)

  18. 別巻 総索引 (2001/02)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?