アドバンスドな熱力学(非平衡系を含む)
のまとめです。
この記事で言うアドバンスドとは、下記を前提として、その先の熱力学のユースを指します。
エントロピーや熱力学的関数
およびそれらを使った平衡・相転移の基礎
この1,2については、田崎熱や清水熱が最適です。ここであえて触れる必要がないと思います。
書籍のリスト、まずはコレ
熱力学の入り口としてエントロピーや熱力学的関数があり、熱力学の本領発揮のステージとして平衡・相転移があります。
以下のこれらは、熱力学の力を平衡・相転移で使っていく、というスタンスです。
田崎熱や清水熱、もしくは三宅 熱で、熱力学の基礎は習得した。
でも、「久保亮五編,大学演習 熱学・統計力学〔修訂版〕,裳華房」が解けない。とくに"第4章 相平衡および化学平衡"。
コアな理由は、久保演が、一般的な学生にとっては難しすぎるのが原因です。
しかし、第4章が解けない理由は、単に、物理の熱力学の書籍で化学平衡を取り扱わないからです。
熱力学の力で、物理現象を解明する。
それは化学平衡にも及ぶ。
をトコトン追究します。
物理のアプローチでは、どうしても数理面で整然さを求めてしまう。
その執着はややもすれば、熱力学の真なる力を知らずに、熱力学を修了とするかもしれません。
※ 熱力学の数理については
田崎熱や清水熱を買う前に、アトキンス 物理化学要論を一度開いてみるのをお勧めします。
原田化学熱力学とアトキンス物理化学要論 は、"熱力学で、すべきこと、できること"、この2つ平行線を遠近法的にキャンバス内で交差するように記述されています。
熱力学演習書 久保演をムリに買わなくていい
久保演を買わないと、と、使命感でつい買ってしまいます。
久保演を、学科の誰かが持っているでしょうし、持っていたとしても解けない問題ばかりです。
解ける問題が載っていて、解けるレベルで発展的内容が収められている
で十分です。この演習書で院試にも対応できます。
アマゾンで安価で売られていますよ。
さらにアドバンスドに(非平衡系を含む)
鈴木増雄 (翻訳)『統計物理学ハンドブック―熱平衡から非平衡まで』朝倉書店,2007
鈴木増雄 先生は、学生に忖度なく、容赦なき難解さで、物理学で可能なことを記述してくれます。
この本は、統計力学でも、基礎的な内容ではなく、アドバンスな不可逆過程や非平衡系が取り扱われています。「岩波書店 現代物理学の基礎 5 統計物理学」の現代版です。
この書籍の熱力学の箇所は、(公理的な意味ではなく)、熱力学を若干わかっている人向けに、数理面で高度にまとめられています。
を圧縮したと言ってもいいでしょう。
さらにアドバンスドに(非平衡系を含み、かつ啓蒙書のような)
人類は熱力学の概念を生み、そのことによって人類はなにを究明したいのか。この2冊には、地平線を遠く見渡す恍惚さがあります。
いずれも公理的熱力学とはベクトルの異なる、外向きの熱力学です。
この2冊は、
の論考をさらに深めています。
とくに『プリゴジン,現代熱力学』は、プリゴジンの熱力学、非平衡、散逸構造に関する業績を、教科書としてまとめられています。
プリゴジンは多く著書があります。ある程度の物理学の素地がある方には、こちらの3冊が読みやすいです。
おヒマでしたら
も覗いてみてもいいかもしれません。
あれ? 現代って、劣化していない?
なーんて感じるかもしれません。
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