見出し画像

「自分ではタイミングが選べない」。その悩ましさとつきあい続ける女性の人生

はたらく女性の健康とキャリアをサポートする「mezame」では、毎回ステキなゲストを招いて開催するセミナーをシリーズでスタートさせました。

記念すべき第1回のテーマは「女性の“はたらく”悩み、どう乗り越える?」

聞いてほしいお話が満載なので、ログ形式の記事でレポートします!

《第1回》はたらく女性の健康とキャリアセミナー
2021年3月26日(金)開催
【テーマ】
女性の“はたらく”悩み、どう乗り越える?
【ゲスト】
・江尻綾美さん
コニカミノルタ株式会社
・山中菜詩さん
中外製薬株式会社
【モデレーター】
・松岡澄江
株式会社キャリアポート代表/国家資格キャリアコンサルタント


《ゲストプロフィール》

▋コニカミノルタ 江尻綾美さん

スクリーンショット 2021-06-14 22.48.59

【これまでのキャリア】
2003年に大学院(工学部)を卒業し、コニカミノルタに入社。コピー機や複合機の操作パネル部分の開発設計の部署に配属となり、その後、ソフトウエア開発のプロセス改善や効率化業務を担当。さらにその後、製品のライフサイクル全体での環境に配慮した製品開発を支援する業務を担当しました。
転機は2013年。社内のアイディア創出活動に参画し、新規事業の検討をおこないました。“オフィスのヘルスケア”をテーマにオフィス環境下でのストレス緩和や、生産性向上につながるアイディアを検討していましたが、次第にストレスと月経周期の関係性に着目するようになり、PMS(月経前症候群)を初めとした月経周期にまつわる不調を抱える女性のために、体調変化を把握するセルフモニタリングツール「Monicia(モニシア)」を開発。仮説検証やコンセプト評価をおこなってきました。
また、「自分の強みとなる専門性を高めて、よりよいサービスを世の中に届けたい」とのおもいから、大学院の博士課程に進学。人間工学領域の中で、どういうサービスの在り方が良いのか、女性に響くサービスとはどういうものなのかという研究をおこない、1年前に博士号を取得しました。

【プライベート】
夫と2人暮らし。コロナ禍の現在は、夫婦ともにテレワーク中心のはたらきかたをしています。最近はまっているのはアウトドアや自然に触れる時間。これは夫と共通の趣味で、最近はアウトドアグッズ、とくに灯りにかんするものをいろいろ買いました。キャンドルやランタンに火を灯し、ベランダにアウトドア用の椅子を並べてゆったりしていると、気持ちが落ち着いて穏やかな時間が過ごせます。のんびりする時間を大切にしています。

【今日伝えたいこと】
入社後、私自身も体調を崩して必ずしも順調なキャリアを歩んできたわけではありません。当時の自分は経験が浅くスキルも乏しい状態でしたが、「自分の経験を社会に役立てたい」とのおもいで新規事業を進め、さまざまな経験を得ることがスキルアップにつながってきました。
大学院博士課程に進学したのは30代なかばになってからです。今日ご参加いただいている方のなかにも、体調やライフイベントなどで思い通りのキャリアが描けない方、あえて緩やかなキャリアを選択された方もいると思いますが、「何か始めたい」と思えばいつからでもキャリアは築ける、目指して構わないのだということが、少しでも伝えられたらと思っています。

*Moniciaのサービスは2021年5月31日をもって終了しました。

▋中外製薬株式会社 山中菜詩(なうた)さん

スクリーンショット 2021-06-14 22.49.29

【これまでのキャリア】
大学で国際関係学を学んでいたこともあり、卒業後すぐに就職をせず、国際協力の現場を見たくて海外NGOにインターンとして参加しました。帰国後、就職活動をおこないましたがまだ就職氷河期が続いていて、新卒志向の強い日本で第二新卒の扱いになった私の就活はかなり大変でした。
大学で統計を扱ったことがあるという経験から、医薬品開発の統計解析の仕事に就くことができました。その後、海外と日本で医療支援をおこなっているNPO法人、医療データの会社を経て製薬会社に籍をおき、現在は患者さんやご家族、患者さんの周りの方々にどのようなサービスが提供できるかを考えています。
私の転機は、前職で3人目の子どもを出産して育休復帰したとき。もとの担当ではなく事業開発に異動になり、医療データと気象データをかけ合わせてぜんそくリスク予報を開発するという運命の出会いがありました。ただ、異動当時は運命というよりは“青天の霹靂”だと思っていました。元の担当に戻りたかったという気持ちの方が強かったんです(笑)。でも、後になって「あれが運命の出会いだった」と思うようになりました。

【プライベート】
中学1年、小学2年、保育園年少という3人の子どもと、大学時代の同期だった夫の5人家族に、最近ハムスターが加わりました。これがやんちゃなハムスターで、ガリガリ、グルグルとうるさく、我が家はますます静寂がなくなってしまいました(笑)。
私もキャリアが順調だったわけではありません。ずっと成長し続けられたわけでもなく、時に苦しんだり悩んだり、軌道修正しながらここまでやってきました。子どもたちには、母の背中を通してはたらく楽しさや意義を見せられたらいいと思っています。実際にはジェットコースターのような日々でバタバタではあるのですが、仕事はずっと続けていきたいと考えています。

【今日伝えたいこと】
この10年ほどで、はたらきかたや家族の在り方がさまざまになってきて、選択肢が増えたことはうれしいと感じています。でも、女性ならではの悩み…女性特有の体調不良やライフイベントによる制約などはあまり変わっていません。(それが原因で)悩んだり落ち込んだり迷ったりというのは私もそうでした。みなさんも日々いろいろなことがあると思いますが、今日は共感できたり、少しでも明るい気持ちになっていただけたらいいなと思います。

《パネルディスカッション》

自身の経験や雑談から生まれた“仕事の芽”

――今日ゲストは、ヘルステック分野、ヘルスケア領域でも活躍されているお二人です。まずはそれぞれが開発されたものの概要を教えてください。

山中:医療データを扱っている前の会社では、ぜんそくに限らず、医療情報をどう切り出して何に役立てるかということをおこなっていました。
あるとき「気象と連動している体調の変化ってあるよね」という話題になりました。天気が悪くなるときや気圧が低くなってくると体調が悪いなど、いわゆる“気象病”といわれるものです。
喘息はそのひとつで、気温や気圧が変化するタイミングで咳が出やすくなることが多い。そこにフォーカスしたのがぜんそくリスク予報です。雨が降るとわかっていたら傘を持って出かけるように、「咳がでるとわかっていたらあらかじめ備えられるのでは?」という発想です。
気象と関係する症状ってぜんそく以外にもたくさんあるんです。そういうものを探して「そこからどういうものを生み出そうか?」と考えられるポジションに付けたことは私にとっての転機にもなりました。

画像3

江尻:自分が以前体調を崩した際、症状のあらわれかたや頻度を確認するために、日々の体調を記録していたことがありました。その結果、月経前に症状が出やすいということがわかり、体調改善につながった経験があります。
その後、自分の原体験も参考に新規事業の検討を重ねていくなかで、月経前症候群(PMS)の対処には、自分の症状を理解することがとても大切だということを教えていただく機会がありました。

その後、PMSの治療や啓発に熱心な京都大学の婦人科の先生との共同研究により、Moniciaの開発を進めていきました。Monicia自体は日々の体調記録をおこなっていくアプリと、月経周期の女性ならではの体の温度を腹部ではかるデバイスがセットになった製品です。

※Moniciaのサービスは2021年5月31日をもって終了しました。

――「わかっていれば対処できる」が、お二人の開発の大元にあった考えなんですね。さて、今日のテーマは「女性のはたらく悩み」です。ここからは、お二人が仕事をしてきたなかで感じた違和感やお悩み、仕事と生活とのバランスなどにどう対応し、乗り越えてきたのかをうかがいます。

役割が多いからこそ生まれる“悩み”

江尻:体調を崩した後、どうやって自分らしいキャリアを実現していけば良いのかを試行錯誤してきました。Moniciaの事業化を目指すようになってからは、「(江尻さんは)自分のやりたいことをやっている人」という印象を持たれることが多くなっていった時期がありました。
「やりたいことをやっている」という言葉は、「好き勝手やっている」「自分をアピールしたい人なんだ」というネガティブなイメージにもなります。製品開発のお話をさせていただく機会も増えたのですが、その内容が曲解されたり、「あの人は自分とは違うんだ」と思われたり。それで、(現実の自分との)ギャップに苦しみ、落ち込んだ時期がありました。
私たちは、これまでの自分の経験をもとにして相手をみる傾向があるのかなと思います。「こんな人なんだ、こんな人なのかな」と思ってしまうこともあれば、相手から「こういう人だ」と思われることもあります。でも、実際には1人ひとり、いろいろな考え方があって、いろいろなバックグラウンドがあって、目指す働き方があって。
自分が知っている相手はその人の一部分でしかなく、時間が経てば自分が変わることもあるし、相手が変わって見えることもあるかもしれません。ですから今現在の私は、誰かを「こう」と決めつけず、ありのままを理解して一緒に働いていくことを意識しています。

画像4

――自分の価値観だけで判断しないということでしょうか。お子さんが3人いらっしゃる山中さんも、いろいろな転機があったと思います。

山中:子どもが生まれるたびに、毎回産休育休をとって復職するのですが、育休復帰すると毎回以前と状況が変わっているわけです。ですから、毎回悩みながら仕事に戻っていくということは本当にあります。
女性のキャリアってここが本当に難しいのですが、自分ではタイミングが選べないことが多いですよね。努力だけではどうにもならないこともあります。思ったタイミングで子どもが授からないこともありますし、そもそも世の中にはお子さんがいらっしゃらない方もいます。不妊治療で苦労されている方もいますよね。女性には、自分だけでは制御できないことが多々あって思い通りの選択ができない。そういうことが関係なく働いている人を見ると、やはり「いいな」と思ってしまいます。
私は、保育園や学童のお迎えも最後になってしまうことが多かった。もっと早く帰って子どもと過ごしたい、でも自分一人の時間もほしい。「それって私が贅沢なの?」と自己嫌悪になったりして、日々悩みはつきません。

――会社に入って最初のお仕事が、ご自身が望んだ領域ではなかった江尻さん。その配属についてはどう感じましたか?

江尻:私は、生活者がより良い生活が送れるサービスが作れるのであれば、領域は関係はなく働いてみたいという気持ちがありました。ですから、ユーザーの使い勝手に直結する部分の開発に携わるぶしょだったので、配属先の仕事に対して、とくに不満はありませんでした。
ただ、体調を崩してしまった経験から、「自分がどうありたいか」は、その後よく考えるようになりました。

▶▶《後編》に続く!

(構成・文/阿部志穂)

“mezame”は、
はたらく女性の健康とキャリアを
サポートするプログラムです

画像5

さんぎょうい株式会社が提供する“mezame(めざめ)”は、産業保健師と国家資格キャリアコンサルタントがタッグを組み、

*健康知識とキャリアプランニングの基礎研修
*個別のキャリア面談によるモチベーションアップ
*ライフステージ別・職級別の健康とキャリアを考えるセミナー等

をおこなう支援プログラムです。

女性特有の周期的なカラダの変化、年代やライフステージごとに変わって行く役割、体調、かかりやすい病気…。ウィメンズ・ヘルスをふまえて“はたらく”を考えれば、女性従業員のパフォーマンスは今以上に向上し、女性自身もなりたい自分、叶えたい人生に近づくことができます。

女性活躍推進施策、健康経営の第一歩としても最適なmezame。経営者のみなさん、人事・HRご担当のみなさん、ぜひ導入をご検討ください!

ご相談、お申し込みは下記リンクよりお願いいたします。




この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?