療法:『無理しない』なんてできない。

●「無理しない」なんて、私にはできない。

先日クライアントから相談を受けました。

「ある本に無理してはいけないとかかれていたので、無理しないようにしているのですが、色んなことに対してモチベーションが全然上がりません。」

とてもデリケートな相談だと思います。

「無理」という言葉は、一般的な使われ方として「頑張ること」という意味で使われているのでしょう。「無理してでもやって」=「頑張ってやって」といったところでしょうか?

でも、「無理」という言葉の意味は「理(ことわり)を欠くこと」ですので、頑張る/頑張らないという意味合いは、本来持っていません。

世界は理不尽の固まりです。どんな行動を取るにしても、判断をするにしても、理(ことわり)が明確になっていない方が多いでしょう。それゆえに「無理をしない」という行動を確保するには、相当な精神力の強さと行動力が必要になってきます。

私は、無理しないなんてできません。

みなさんはどうでしょう?本当に無理しないで生きることが、できると思いますか?

●「視点や立場」そして「思考」

人は行動や判断を求められたとき、そこには必ず視点や立場・責任が存在します。

Aさん「この仕事、明日の朝までに仕上げておいてもらえますか?」
自分「●●●・・・・。」

Aさんの発言には、どんな考えや思いがあるのでしょう。パッと考えただけでもいくらでも思いつきます。そして、それはあくまで自分の持っている客観的思考に過ぎません。

・上司として、指示を出している。
・この仕事が、明日の朝までに仕上がらないと会社が危ない。
・Aさんが、その仕事の後を担当しているので都合がいい。
・私に対する嫌がらせである。

ここでは、「はい、分かりました。」とだけ応えると、きっとあなたは便利ないい人だなという印象を持たれるかもしれません。また、「いいえ、できません。」とだけ応えると、きっとあなたは言うことを聞かない人だという印象を持たれるかもしれません。この質問に、YES/NOで応えてはいけないのです。

自分の視点で、時間や力に余裕はあるのか?を考え、Aさんの視点で、なぜ明日朝までなのか、何か理由があるではないか?といったことを考えます。

次に、自分の立場として、その仕事をすべきか、Aさんの立場としてその仕事はさせるべきものなのか?などを考えます。

そして、それらふまえた総合的な結果として、「仕事を受けるべきかを判断する」というわけです。だって、自分にとっても、頑張ってやらないといけないことってありますよね?あなただけにしかできないこともきっとあるはずです。

・・・だからといって、質問を投げかけてきたときにあれこれ聞くと、Aさんはとても不快に思うでしょう。そこで必要なことは・・・・

「少し今立て込んでいるところなので、10分ほどお時間いただけますか?改めてお話を聞きに伺います。」

という言葉です。Aさんに「私は忙しい」という間接的な暗示をいれることができますし、自身の思考する時間を確保することができます。また、この10分を待てないほどの喫緊の仕事であれば、Aさんはやって欲しい理由を話すのではないでしょうか。コミュニケーションとは頑張って判断することではありません。落ち着いて考える時間を確保する工夫をしてみましょう。

考えもせずに、「発想」や「刹那の意見」で行動を決断すると、行動した後に必ず後悔や"しこり"が残ります。そこに、何らかの関係性をや理(ことわり)を含めること、そして、「思考」を加えることで、必ず納得感が生まれます。

無理をアピールする必要も無いし、卑下する必要も無い。「そっと頑張って結果が出たら、それはうれしい。結果が出なくても、頑張った自分には経験が残ってる。でも、良い結果を出したいな!」と思う思考論理が「モチベーション」に繋がるものなのですから。

●「のんびり無理して生きていく」

思考力は使わないとドンドン退化していきます。そして、「二極化」(良いか悪いかの2点判断)が進みます。二極化は、思考を遣う必要がありませんので、とっても楽ですね。でも、思考はどんどん凝り固まっていくでしょう。あなたを良い方向へ変化させることはできません。

もし、あなたが、自分で「悪いところが変えたい」と思うのであれば、色んな視点を持ち、たくさん思考してください。自分で判断ポイントを決めて、予定を決めることから始めましょう。

人間の生きる時間は短いと言われていますが、私には、1年でも10年でも十分長いと思います。そんなせかせかするようなことじゃない。

のんびり無理しながら、生きていけばいいんじゃないでしょうか。私は、無理しない生き方はできません。でも、あえて無理をしようとも思いません。「そっと」考えて「そっと」行動して「そっと」無理して「ゆるやかに」生きていきましょう。

そして、心が疲れてしまったときには、ご相談いただければ幸いです。癒やしと変化を一緒に作っていきましょう。

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