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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

これまで書き落としたことのまとめ,2023年11月3日


https://note.com/meta13c/n/n7575b6c0826b

この記事の注意点などを記しました。

ご指摘があれば、
@hg1543io5
のツイッターのアカウントでも、よろしくお願いします。
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注意 

これらの物語の重要な展開を明かします。

特撮テレビドラマ

『ウルトラマン』
『ウルトラマンガイア』
『ウルトラマンメビウス』
『ウルトラマンギンガ』
『ウルトラマンギンガS』
『ウルトラマンR/B』
『ウルトラマンタイガ』
『ウルトラマンZ』
『ウルトラマンデッカー』
『ウルトラマンブレーザー』

小説

『オタク王子と作家令嬢の災難』

『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』(web原作,書籍)

漫画

『ウルトラセブン ゴードの巻』
『らーめん再遊記』
『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』
『真の安らぎはこの世になく シン・仮面ライダー』
『血戦のクオンタム』
『オタク王子とベストセラー作家令嬢の災難』
『鋼の錬金術師』
『決してマネしないでください。』

テレビアニメ

『鋼の錬金術師』(2003)
『ケロロ軍曹』

特撮映画

『シン・ゴジラ』
『シン・ウルトラマン』
『シン・仮面ライダー』

はじめに

 
 以前から書きたかったことのうち、書けなかったことがいつの間にか蓄積したので、まとめます。

「弱いことと悪いこと」を区別する軍人や元経営者

2023年11月3日閲覧

 『NARUTO』のうちはイタチや『美味しんぼ』の山岡について、「弱いことと悪いことの区別」について書きました。
 その意味で、『鋼の錬金術師』原作の軍人のオリヴィエや『らーめん再遊記』の元ラーメン経営者の芹沢は、区別が出来ています。
 オリヴィエは、この作品の国の軍上層部が国民の大多数を錬金術のエネルギー源にする計画を進めているのを途中で知り、止めようとしたのですが、それを「国が変わるために必要な痛み」と主張した上層部の1人の手を剣で刺し、人質にしました。
 しかしその1人は痛がりながらも、「私を見捨てて戦え」という趣旨の命令を部下に出し、オリヴィエは「腐っているが根性なしではない」と評価しました。しかしそのあとオリヴィエ以外のキャラクターに殺され、「悪いことをしたのなら強くても許されない」と明示されたと言えます。
 また、『らーめん再遊記』の芹沢は「シニカル」と評価され、経営者としてこずるいところもありました。しかし、自分よりラーメンの実力で劣る店主がブームで自分より売り上げで優っている頃に見下した発言をしたことについて、「無能は許せますが卑劣は許せませんね」とまとめています。
 もっとも、芹沢がそれ以上にひどくやり返していたのを忘れていたと判明しましたが。
 いずれにせよ、強さと道徳心のある人物だからこそ、「弱いことと悪いこと」の区別が出来るか重要になります。

「排他的論理和」とラテン語

2023年11月3日閲覧

 排他的論理和について以前扱いましたが、書籍で調べて分かったことがあります。
 たとえば「食堂でカレーかラーメンを食べる」のとき、「カレーだけかラーメンだけ」とみなして、「両方食べる」を含む想定をしないことが多いと言えます。
 このような「か」、「あるいは」、「または」の使い方を「排他的論理和」と呼びます。
 ラテン語では、どちらかだけを指す「aut」と、本来の論理和で両方も含む「vel」があり、後者が「∨」の記号の起源だそうです。
 英語でも、プログラムなら「exclusive or」という「排他的論理和」の文法があるそうですが、どうも一般的ではないようです。

『オタベス』とウルトラシリーズの「二重の秘密」

https://twitter.com/hg1543io5/status/1583387567634141184?s=46

2023年11月3日閲覧

2023年11月3日閲覧

2023年11月3日閲覧

 『オタク王子とベストセラー作家令嬢の災難』と『シン・ウルトラマン』の共通点を幾つか挙げました。
 今回は、「二重の秘密」という意味で紹介します。
 『オタベス』では、中流貴族令嬢のフィオラが、人気の小説家「リーテ・ラーストー」の正体であることを隠し、親しくなったファンの王子にも話していません。
 また、それを知るフィオラの家の侍女のマイナは、終盤で「転生」していたことが判明するものの、フィオラにも隠していました。
 このような「二重の秘密」は、ウルトラシリーズにも幾つかあります。

 『ウルトラマンメビウス』では、主人公のミライがウルトラマンの正体を隠すだけでなく、隊長のサコミズも終盤で明らかになった秘密がありました。
 『ウルトラマンギンガS』では、前作『ウルトラマンギンガ』からの主人公であるヒカルが、ウルトラマンギンガであることを、前作からの知り合いである科学者の友也には知られているものの、新しいウルトラマンであるビクトリー=ショウの正体は友也にもしばらく隠していました。
 『ウルトラマンR/B』では、ウルトラマンの正体を隠すカツミとイサミの兄弟に、妹も秘密を持っていました。こちらは自覚があまりなかったようですが。
 『ウルトラマンタイガ』では、防衛チームではなく民間の警備会社の主に4人が活動しますが、主人公だけでなく、他の2人も正体について秘密がありました。
 『ウルトラマンZ』では、ウルトラマンの正体を隠す隊員の主人公の上司の隊長も、視聴者にはかなり早くから分かるものの、重大な秘密を持っていました。
 『ウルトラマンデッカー』では、主人公の隊員がウルトラマンとしての正体を知ったAIに隠すように頼むものの、同じ論理で別の隊員の単独行動を隠し、「秘密が多いですね」と言わせています。また、隊員に協力する科学者の秘密こそ大きな展開の鍵でした。
 『ウルトラマンブレーザー』では、主人公の隊長がウルトラマンに変身するのを秘密にしているものの、何故か家族に、防衛隊に所属していることを隠しています。

 秘密を主人公以外も持っている、あるいは主人公が何重かの秘密を持っているというのは、何か考える余地がありそうです。

『シン・ウルトラマン』にもさらなる秘密があるか逆算する

 そして、『オタベス』との共通点を考えている『シン・ウルトラマン』では、防衛チームに当たる禍特対の神永と融合したウルトラマンが「だましてはいない、言わなかっただけだ」という微妙な態度でしたが、他の秘密も考えられます。
 まず、この作品世界の人類が、ウルトラマンの光の星に作られた生物兵器である可能性です。つまり、ウルトラマンは「神の一族」のような存在かもしれないのです。
 また、防衛チームに近いといっても、「制服組」より「背広組」で指揮官だと言える神永が、ウルトラマンと融合する前に何故わざわざ子供を1人で助けに行ったのか、そこに「二重の秘密」があるかもしれません。外星人メフィラスが禍威獣を目覚めさせていたこと、原典『ウルトラマン』でメフィラス星人は子供に話しかけていたことから、神永が助けた子供が既にメフィラスの影響を受けていて、禍威獣にもかかわり、指揮官として止めるつもりだったのかもしれないと推測しています。

 『オタベス』とも比較して、何か考察出来そうです。

「自由」の意味は「freedom」か「liberty」か「消極的」か「積極的」か

2023年11月3日閲覧

 「自由」の意味について、本来「どちらでも良い」であるべきなのを、「ある不自由と逆の不自由」にすり替わっていないか、と考えた記事を書きました。
 私は日本人で、西洋の価値観にも詳しくないので、「自由」の「freedom」と「liberty」の区別、「からの」「消極的自由」、「への」「積極的自由」の区別にも詳しくなく、その辺りに鍵があるかもしれません。

地球温暖化と天気予報とカオス理論

https://twitter.com/hg1543io5/status/1712035793219543500?s=46

2023年11月3日閲覧

 地球温暖化について、私は懐疑論で迷うことがあったのですが、その1つへの反論があることをツイッターで書きました。
 「天気予報も難しいのに地球温暖化のことなんて分かるのか」と『ケロロ軍曹』アニメ版にあるのを、2009年の書籍の「やかんでお湯を沸かすときに、天気予報は何秒後にどのようなあぶくが出るかで、地球温暖化は何分でお湯が蒸発するかのようなもので、予測の精度が根本的に異なる」という記述を紹介しました。
 地球環境研究所のページには、「カオス理論において、位相空間の状態ベクトルで気候を扱うと、天気予報は状態ベクトルの変化、地球温暖化はアトラクタの変化に当たる」とあります。
 いずれ私のカオス理論の知識も踏まえて、地球温暖化や気候変動について扱えるかもしれません。

エントロピー増大と生命

 エントロピーの増大は、様々な自然現象や科学技術で重要になるようです。
 まずエントロピーはエネルギーについて熱力学で生じる数値であり、電気や光などのエントロピーの低いエネルギーから、熱などの高いエネルギーへの変換は出来るものの逆は難しく、確率的に増大する一方になります。
 このため、発電などのエネルギー変換には効率の限界があります。
 全てのエネルギーは熱に向かって行き、宇宙全体のエントロピーが限界になると戻れないとされます。
 しかし、物理学者のシュレディンガーによると、生命は負のエントロピーを食べるとされました。負のエントロピーは物理的に有り得ないので、現在ではエントロピーの排出をするとされます。そのようにして、確率的に難しい低エントロピーの状態を自分の内部で保つのが生命の特徴だとされます。
 また、地球もエントロピーの低い高温の太陽光を吸収して、エントロピーの高い低温の光を発するので、エントロピーを追い出して自分の内部の状態を保つそうです。
 生命に限らず、エントロピーを追い出して内部を低く保つ構造を作り出すのは、「自己組織化」とも呼ばれる現象にかかわるようです。

結晶や対流とエントロピー

 私はこれについて、幾つかの根拠から、「対になる構造」に、エントロピーを低く保つ鍵があるとしました。
 まず、ある種の結晶は、自然に「秩序」を生み出します。「秩序」がエントロピーの低さと必ずしも関連するか分かりませんが、結晶を破壊するのは明らかにエントロピーの高い、戻れない状況でしょうから、結晶構造にエントロピーを低く保つ何かはあるでしょう。そして結晶は、プラスとマイナスの電気の組み合わせで成り立ちます。
 また、エントロピーを低く保つ構造として、鍋でお湯を沸かすときの、対流があります。熱で密度の減少した部分のお湯が浮き上がり、そうでない部分のお湯が沈む2つの対立することで、六角柱などの独自の構造が生まれます。
 これについて、『創発の生命学』では、対立するものが新しいものを生み出すヘーゲル哲学との関連を示唆しています。
 さらに、生物の細胞は水になじむ極性分子と、油になじむ無極性分子の対立する構造により、様々な物質を分離させられます。

ロジスティック写像の規則性

 先述したカオス理論、わずかな変化が結果の大きな変化をもたらす例として、ロジスティック写像があります。
 X(n+1)=aX(n)(1-X(n))
 という数式で、X(1)が0から1、aが0から4までの値では、増減を不規則に繰り返すこともありますが、何故か増減が周期的になることもあります。それは、カオス理論の中に、対になる構造による規則性があるのかもしれません。

遺伝子とエントロピー

 また、まだ充分に調べられませんが、生物の遺伝子にも、エントロピーにかかわるものがありそうです。
 エントロピーにおいて、コーヒーとミルクのように液体は混ざる一方で基本的に、水と油などを除けば分離しないのを、エントロピー増大のたとえに使うことがあります。しかし、生物の遺伝子はそのように混ざる一方ではありません。
 たとえばA型同士からO型が生まれることがあります。
 これは、血液型の遺伝子は2個で1組になる仕組みがあり、遺伝子が「AA」、「AO」でA型、「BB」、「BO」でB型、「OO」で O型、「AB」でAB型になるので、A型同士でもAO同士ならOOの遺伝子に合流することがあるためです。
 そもそも本川達雄さんによると、「遺伝子」の「子」は、「量子」、「原子」のような種、それ以上分離出来ないものという意味合いがあり、それ以上細かい単位で混ざり合わない限界があるのです。
 よって、A型とB型だけの人間の国でどれほど世代を重ねても混ざり合いAB型だけになることはなく、AB型同士からA型とB型が生まれるように、遺伝子は混ざり合う一方にならない、エントロピー増大とは別の論理で考える必要があります。
 これも「対になる構造」がエントロピー増大を防ぐのかもしれません。

苦痛により記憶を読み取る

 小林泰三さんの『AΩ』と『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』(以下『ギフト無限ガチャ』)の関連を幾つか扱いましたが、「苦痛を体験させて記憶を分析する」というくだりが双方にあるのを連想しました。
 前者では未知の素粒子による生物の複製を作り出す凄惨な場面で、それがキリスト教原理主義との接触で状況を複雑化させます。
 後者では主人公を神とする部下による情報を敵から得る能力で、こちらは元々行いの悪い敵への制裁を兼ねて正当化されています。私はこの作品の厳罰にイスラーム社会の要素を連想します。

『シン・仮面ライダー』の「少数」の「幸福」同士の対立

 『シン・仮面ライダー』では、社会や人類全体に不満を持つ少数の人間の「幸福」、「救済」のために多くの人間に害をなすショッカーが敵ですが、その「少数派」同士が争ってもおかしくなく、一部の「少数派」にはその自覚があります。
 人間を直接絞め殺すことを幸福とするクモオーグ、人間の「弱者」をヴィルースの疫病で減らそうとするコウモリオーグ、毒や針で大量殺人をしようとするサソリオーグ、人間を全て操ろうとするハチオーグ、敵討ちにこだわり他のオーグを狙うK.Kオーグ、人間全ての魂に当たるエネルギーを「嘘のつけない」世界に連れて行こうとするチョウオーグなどです。
 K.Kオーグは、オーグを観察するケイに、「ごめんな」と言い、チョウオーグは「止めないのか?」と確認しています。

「訳あり」同士の配慮

 このような人物の複数集まるときに、事情の異なる人物同士が尊重し合えるのか、という疑問は物語でも少なく、「多数派が配慮しないのが悪い」で済ませるものも多いとみられます。
 『鋼の錬金術師』原作では、少数民族の異教徒を多数殺害した軍に所属する北方軍のオリヴィエが、その血を部分的に引き継ぐマイルズを部下にするなど、「差別している余裕などない」という方針でした。他にも「訳あり」の軍人が多く、軍人としても問題の多い錬金術師のエドワードにある程度寛容でした。そのマイルズも、軍属の国家錬金術師であるものの自民族を直接殺してはいない、むしろその反撃に巻き込まれた街のエドワードには複雑な感情があるようでした。
 この北方軍では、「訳あり」の人間同士の配慮がみられます。
 ウルトラシリーズなどを扱い、怪獣を「社会から追い出された少数の人間」の象徴だとみなす『怪獣使いと少年』で切通理作さんは、「彼らは社会に悪意があるわけではなく、社会の秩序や近代化に邪魔だから攻撃される」と扱っています。
 また、沖縄出身で「怨念」などをしばしば扱う上原正三さんの脚本のウルトラシリーズでは、複数の怪獣が登場して人間が慌てる展開が多いとあります。
 しかし、上原さんの映像化されなかった「宇宙人15+怪獣35」の脚本は直接読んでいませんが、その漫画版では、宇宙人に操られる怪獣同士を人間が争わせて勝利しています。全ての怪獣が争ったわけではないようでしたが。
 どうしても社会から離反してしまう存在、人間や怪獣同士が互いを尊重し合えるのか、という疑問に、『怪獣使いと少年』ではあまり触れていません。上原さんは「沖縄の内部にも差別はある」と書いています。『鋼の錬金術師』2003年のアニメ版にはそのような描写がありますが。
 切通さんがのちに書いた『地球はウルトラマンの星』では、『ウルトラマンガイア』で人間の環境破壊に憤るらしい地球怪獣が、終盤で宇宙からの敵に立ち向かいウルトラマンを復活させるために団結したように見えるのを、「共闘の意識があるかは画面からは分からない」と書いてあります。
 「訳あり」、「少数派」が多数派を批判するのは悪いとは言えませんが、彼ら同士が対立しないのか、という疑問の余地はあります。
 『シン・仮面ライダー』や『鋼の錬金術師』原作にはそれがあります。
 上原さんの脚本で初登場したらしいレッドキングは、『ウルトラマンZ』では人間の環境破壊から家族を守ろうとする被害者の扱いでしたが、元々他の地球怪獣を攻撃する傾向があったことが『Z』では曖昧になっています。

 もちろん、『ウルトラマン』のレッドキングが2度目に現れたときに、宇宙怪獣のドラコを地球怪獣のギガスと争わせて人間だけ逃げ延びて、当事者のイデが言ったように、「ずるい人間が怪獣同士を潰し合わせる」、「多数派が少数派を分断させる」可能性はあります。しかし、この回でレッドキングは水爆を呑み込んで、人間は他の怪獣と争わせないようにしたのですが、それでも他の怪獣と考えなしに格闘しています。多数派が分断させるまでもなく、少数派同士が争う可能性もあるのです。

「少数派」の自覚があるとも限らない

 そもそも、「少数派」に自分達がそうである自覚がない場合もあり、「多数派の社会から弾かれた被害者」だと知らずに、他の被害者と尊重し合う意識があるかも断定は難しいでしょう。
 『ウルトラマンガイア』のイザクはそのような生物でした。
 『シン・仮面ライダー』では、そのような「人類の敵」、「社会の敵」同士も「敵」になり得ることが示されています。

「多様性」や「個性」への疑問

 また、『シン・ゴジラ』、『シン・ウルトラマン』を観ますと、これらの『シン』の作品には、「多様性」や「個性」への疑問も感じられます。
 『シン・ゴジラ』では、ゴジラの災害による経済的な変化で得をする人間もいることを「多種多様」と表現しています。また、ゴジラによる被害を招いて行方不明の牧が、同時にゴジラを止めてそこから人間に有益な技術をもたらす可能性も示し、「私は好きにした。君達も好きにしろ」と言い残したのを「変わった人」だと表現しています。
 不幸を利用するなどを「多種多様」、「変わった人」というのは、「多様性」や「個性」は良いことずくめではないという意味かもしれません。
 『シン・ウルトラマン』でも、主人公の仲間の浅見の災難を見せ物にする人間がいるようでしたし、それを批判して妨害するメフィラスは「支配」をしているようなので、「支配に逆らうのは良いことずくめなのか」とも言えるかもしれません。また、「地球の人類は滅ぼすに値する」という外星人ザラブの言動を、人間と外星人が融合した神永は「見解の相違」で済ませています。
 それらの、「多様性」、「個性」への疑問を「少数派同士が争ってもおかしくなく、ある程度は自覚する」形で描いたのが『シン・仮面ライダー』かもしれません。

「ヒトに戻る」かの「多種多様」

https://www.kamen-rider-official.com/zukan/phantoms/1691

2023年11月3日閲覧

https://www.kamen-rider-official.com/zukan/phantoms/1694

2023年11月3日閲覧

 『シン・仮面ライダー』では、怪人に当たるオーグメントが人間の姿に戻れるのかが鍵かもしれません。
 第1バッタオーグは緑川弘が本郷に配慮して「戻れる」ベルトですが、クモオーグはそれを「愚か」と評価しています。特にクモオーグは漫画版で、かなりの異形の素顔になっているらしく、漫画表現でぼかされています。
 コウモリオーグは戻る様子がなく、そもそもマスクをしていないようです。サソリオーグは半分さらしたマスクで、戻れるのか曖昧です。ハチオーグは「チェンジ」して戻れるようになっており、それは本郷に近いと言えます。K.Kオーグはクモオーグと気が合い、のちの大量発生型相変異バッタオーグと同じく「戻れない」ベルトらしく、自分のマスクにこだわりがあるようなので、戻りたくないようです。
 第2バッタオーグ=一文字と彼の能力を「強化型」として生み出したチョウオーグ=緑川イチローは、「変身」して戻れますが、イチローは「切った、張ったは面倒だ。彼に任すよ」と一文字に戦わせ、大量発生型相変異バッタオーグを「こいつら」と呼ぶなど、部下を軽んじているようでした。
 一文字はそれなりに認めるので戻せるように自由を与え、大量発生型相変異のバッタオーグは認めずに戻せなくしたのかもしれません。
 こうしてみますと、「自由」の捉え方が、それぞれの「ヒトに戻れるか」でもかなり異なるようです。
 

『血戦のクオンタム』の「優しさの詰めの甘さ」と化学

 『血戦のクオンタム』では、歴史上優秀であるものの「人嫌い」とされていた科学者のキャベンディッシュが、実は人と接したくても出来ない性格であり、死後少し未来の世界に女性の姿で転生して、ペリルという怪物と戦います。
 作中でキャベンディッシュは使用人への態度を陰で悔やむなど、元々冷たいわけではない人物だったのですが、その使用人がいる家で1人、理解されない化学実験で気体を嗅いでせきこみ、「これは毒性があるかも」と言っていました。自分の命もかけるのは科学に忠実かもしれませんが、ろくに密閉や換気もしておらず、優しくしたかったはずの使用人に安全管理の説明もせず、巻き込む危険性が見えていません。
 また、『決してマネしないでください。』なども踏まえますと、親の遺産で暮らしていて、生涯で一度も働いたことがなかったらしく、『血戦のクオンタム』でも、使用人からみれば、「給金を払ってくれるけど、我々とは別の社会階層の人間」という意識だったとみられます。
 その意味で、現時点でペリルの被害から貧しい孤児を守ろうともしている、貧しい暮らしにも耐えているキャベンディッシュは、「優しさの詰めが甘い」と言えます。

実験室的製法と工業的製法と科学者と労働者

 特に、化学の教科書によると、化学実験には安全を重視する実験室的製法と、効率を重視する工業的製法があるそうです。これは、キャベンディッシュの時代のイギリスに明確な区別があったか、まだ私には調べても分かりません。
 産業革命により、キャベンディッシュの知り合いの煙突掃除をする人間も含めて、労働者の待遇が過酷だったこと、工場からの煤煙や排水で自然環境も含めて荒れていたことは、その当時の価値観しか知らないキャベンディッシュがどう捉えていたかも、まだ劇中からは分かりません。
 さらに、キャベンディッシュは自らの身も軽んじていたものの、科学者が一部の貴重な人材として、比較的安全な実験室的製法で研究したものが、工業などで役に立つとしても、実際に作業をする労働者は効率のために危険な工業的製法で化学反応などを行っているのが現代の社会の常識かもしれません。
 その辺りで、キャベンディッシュ自身が危険な目に遭うのと、その知識で多くの人間が工業により危険な目に遭うことの差異や関連も、今後描写されるかもしれません。

『血戦のクオンタム』と『シン・仮面ライダー』

 また、『シン・仮面ライダー』の本郷は、「人を守る」ために人間の怪人となったショッカーと戦うものの、なるべく相手を傷付けたくない意識があります。追い詰めた相手に投降を促すのはともかく、まだ弱っていない相手に加減してしまうのを、その相手の一文字に「優しさと弱さは紙一重だぞ。あんたが手抜きして殺されたら仲間はどうなる?」と言われています。
 また、本郷は大学時代に父親の警察官が犯罪者を撃たなかったことで殺されたことに苦しんでいたものの、「無職」でも趣味のバイクをする余裕はあったので、学費や生活費について、経済的には困っていなかったかもしれません。
 これは漫画版や映画の緑川弘が、自分が生き残ることで誰かを守る「後先」を考えていないのにも似ています。
 その意味で、『血戦のクオンタム』のキャベンディッシュと『シン・仮面ライダー』の本郷は、「経済的に困っている状況ではないが人間関係に苦しむ」、「優しさの詰めが甘い」意味で似ているかもしれません。

まとめ

 今回は、意外な要素がまとまったかもしれません。

参考にした物語

特撮テレビドラマ

樋口祐三ほか(監督),金城哲夫ほか(脚本),1966-1967,『ウルトラマン』,TBS系列(放映局)
根本実樹ほか(監督),武上純希ほか(脚本),1998 -1999(放映期間),『ウルトラマンガイア』,TBS系列(放映局)
村石宏實ほか(監督),小林雄次ほか(脚本) ,2006 -2007 (放映期間),『ウルトラマンメビウス』,TBS系列(放映局)
アベユーイチほか(監督),長谷川圭一ほか(脚本),2013 (放映期間),『ウルトラマンギンガ』,テレビ東京系列(放映局)
坂本浩一ほか(監督),小林雄次ほか(脚本) ,2014 (放映期間),『ウルトラマンギンガS』,テレビ東京系列(放映局)
武居正能ほか(監督),中野貴雄ほか(脚本),2018,『ウルトラマンR/B』,テレビ東京系列(放映局)
市野龍一ほか(監督),林壮太郎ほか(脚本),2019,『ウルトラマンタイガ』,テレビ東京系列(放映局)
田口清隆ほか(監督),吹原幸太ほか(脚本),2020,『ウルトラマンZ』,テレビ東京系列(放映局)
辻本貴則(監督),中野貴雄(脚本),2022-2023,『ウルトラマンデッカー』,テレビ東京系列(放映局)
田口清隆ほか(監督),辻本貴則ほか(脚本),2023-(未完),『ウルトラマンブレーザー』,テレビ東京系列

小説

日下部聖,『オタク王子と作家令嬢の災難』魔法のiらんど(掲載サイト)
https://maho.jp/works/15591074771453312177
2023年11月3日閲覧

明鏡シスイ,『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』,小説家になろう(掲載サイト)
https://ncode.syosetu.com/n9584gd/
2023年11月3日閲覧

明鏡シスイ,tef,2021-(未完),『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』,ホビージャパン
小林泰三,2004,『AΩ』,角川ホラー文庫

漫画

中村宏治・一峰大二(著者),2017,『ウルトラセブン 宇宙人たちの地球侵略計画』,マイナビ出版(一峰大二,2007,『ウルトラセブン ゴードの巻』,実相寺昭雄・上原正三,「宇宙人15+怪獣35」
久部緑郎(原作),河合単(作画),2020-(未完),『らーめん再遊記』,小学館
作画/大前貴史,原作/明鏡シスイ,キャラクター原案/tef,2021-(未完),『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』,講談社
山田胡瓜,藤村緋二,石ノ森章太郎,庵野秀明,八手三郎,2023-,『真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』,集英社
佐々木善章,大地幹,2022-(未完),『血戦のクオンタム』,コミックDAYS連載中
日部星花,一宮シア,『オタク王子とベストセラー作家令嬢の災難』,(BOOKWALKERなどに連載)
荒川弘(作),2002-2010(発行),『鋼の錬金術師』,スクウェア・エニックス(出版社)
蛇蔵,2014-2016,『決してマネしないでください。』,講談社

テレビアニメ

水島精二(監督),會川昇ほか(脚本),2003-2004,『鋼の錬金術師』,MBS・TBS系列(放映局)
吉崎観音(原作),山本裕介ほか(監督),池田眞美子ほか(脚本),2004-2011,『ケロロ軍曹』,テレビ東京系列

特撮映画

樋口真嗣(監督),庵野秀明(脚本),2022,『シン・ウルトラマン』,東宝
庵野秀明(総監督・脚本),2016,『シン・ゴジラ』,東宝(提供)
石ノ森章太郎(原作),庵野秀明(監督・脚本),2023,『シン・仮面ライダー』,東映

参考文献

切通理作,2000,『地球はウルトラマンの星』,ソニー・マガジンズ
切通理作,2000,『怪獣使いと少年』,宝島社文庫
佐藤直樹,2014,『エントロピーから読み解く生物学 めぐりめぐむ わきあがる生命』,裳華房
室田武,1983,『君は、エントロピーを見たか?』,創拓社
都田潔/著,2009,『自己組織化とは何か 自分で自分を作り上げる驚異の現象とその応用 第2版』,ブルーバックス
山口昌哉,1986,『カオスとフラクタル』,講談社ブルーバックス
著者/J.ブリッグス+F.D.ピート,訳者/高安美佐子+山岸美枝子,2000,『バタフライパワー-カオスは創造性の源だ―』,ダイヤモンド社
森肇,1995,『カオス 流転する自然』,岩波書店
丹波敏雄,1999,『数学は世界を解明できるか:カオスと予定調和』,中公新書
明日香壽川,2009,『地球温暖化 ほぼすべての疑問に答えます!』,岩波書店
佐藤直樹,2018,『創発の生命学 生命が1ギガバイトから抜け出すための30章』,青土社
シュレーディンガー/著,岡小天/訳,2008,『生命とは何か 物理的にみた生細胞』,岩波文庫
高橋昌一郎(監訳),川辺治之(訳),2013,『スマリヤン 記号論理学 一般化と記号化』,丸善出版株式会社

地球環境研究センター,「ココが知りたい地球温暖化」,Q16

https://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/1/1-1/qa_1-1-j.html

2023年11月3日閲覧

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