模試校正(高校生向け英語)
先日納品した模試の校正が「素晴らしかった」と褒めていただいた。
校正者がフィードバックをもらうことはめったにない。驚くと共にとても嬉しい。
模試校正とは
模試校正に要求されるスキルは教材校正とほぼ同じである。
とはいえ、毎年大学入学共通テスト等において、どこかの教科でなんらかの不適切な事項が見つかっている。新聞等で発表されるので、誰でも知っている。
テストの校正というのは採点を左右する、すなわち受験生の将来に直接関わるので、ひとつのミスも許されない。
本番の試験ではない、模擬試験(模試)校正をするにあたっても、同じ緊張感が必要だ。受験生は、模試の成績を元に受験スケジュールを組んでいくのだから、もちろんミスは「あってはならない」。教材校正者にとって、ほんとうに恐ろしいのが模試校正である。
とはいっても、模試校正で要求されるスキルは教材校正とほぼ同じだ。異なるのは、よりも高い注意力が必要になるということだろう。というわけで模試校正について少し書いてみよう。
模試校正のスキル(教材校正と同じだが、さらに高い精度が求められる項目)
「気づかなければいけない」項目
●英語のスペルや文法事項のミス(ツールでスペルチェックはかけるが、それだけでは拾えないミスもある)
●アキや英数字につき、全角と半角の違い
●不適切な問題(たとえば、ジェンダー差別などがニュアンスとして含まれていないか)
●問題が成立しているかどうか(「この条件からは答えが導けない」問題というのもままある)
「確認しないといけない」項目
●正答としている選択肢はひとつだけに限定されるか(正答以外に、解答になり得る選択肢がないかどうかをチェックする。設問文には「最適と思われる選択肢を選びなさい」と書いてあっても、「最適ではないが、これも正答になり得る」選択肢があったら、校正者が指摘しないといけない)
●和訳問題の解答が逐語訳になっている(ひとつひとつの単語について訳語が対応しているか。「教材翻訳」になっていないといけない。 https://note.com/merlin_witch/n/n0452b2d79716 ここが、いわゆる「翻訳」とは異なるところ)
●解説に間違いがないか。わかりやすく書かれているか(解説の不備を指摘し、代案を出せるかどうか)
●解説で、錯誤肢(誤った選択肢)についても間違いの理由が書かれているか
こういうことをやっているのが模試校正である。
わたしの仕事のなかで、最もミスが許されないのが模試校正であろう。自分の脳と目をいつもメンテナンスしていないと、模試校正には対応できない。
というわけで、今日もしっかり運動しよう。
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