英検3級から翻訳校閲者になるまで #6
一昨日 https://note.com/merlin_witch/n/ne906c1ba2191 の続き。
大学で『毎日レッスン! 実践英会話』という授業を毎日受け、フリートークをしていたことを思い出してきたので、少し書いておこう。英会話の話である。翻訳に英会話は必ずしも必要ではない。だがわたしは教材の仕事もしているので、「英語が話せない」では通用しなかった。そこで「英会話」の授業を受けることにした。その後はどうなったのだろう。
日本語が口から出てこない!
この講座を3か月ばかり受講して、毎日3コマ英語を話すようになってきたときだ。ひとり暮らしで日本語を話す相手もいない。午後からは毎日出版社のオンサイトに行っていたけど、仕事上のやりとりをたまにするだけで、誰かと何かを話すということはない。ここは静かな編集部であり、ほかの人の会話もあまり聞こえてこなかった。 つまり、毎日使う言語がほぼ英語オンリーであった。
そんなある日、いつものようにスーパーで買い物をしていた。
有人レジで支払うときに「端数の小銭があります(ので、お釣り出すのちょっと待ってね)」というせりふがある。たとえば「あっ23円あります」といった具合だ。
それが口からでてこない。「お金」って日本語でなんていうんだっけ、えーとこんなときなんて言うんだっけ?と、頭の中が真っ白になっていた。
結局、言葉を使わずお金のやりとりだけでその場を離れたのだが、思わず「ガッツポーズ」が出た。ああ、やっと「日本語を忘れる」ところまで来たか……。
毎日毎日英語しか使わない、それも講師の元でディスカッションする授業がある環境にいれば、国内留学のような形になる。きっと英語が話せるようになるはずだ、とは思っていた。だがそれが思ったよりも早くやってきた。
ここからは早かった。教室でも臆せずに英語が話せるようになり、日本語で前もって準備しなくても、授業やフリートークの時間にも、講師や周りの学部生たちと英語でコミュニケーションがとれるようになっていった。
英語でハロウィンパーティ
この授業で楽しかったことをひとつ挙げると、10月下旬の「ハロウィンパーティ」だ。この日は授業ではなくcostume partyをする、つまり「仮装してきてね」と予め言われていた。
わたしは100円ショップで買ったとんがり帽子をかぶって魔女に扮した。講師や他の人も、着ぐるみを着たりお面をつけたり、派手なメイクをしたりして、ちゃんと「仮装」している。
Werewolf(いわゆる「人狼ゲーム」) をしたり、目隠しをして、目・口・鼻といったパーツを並べてかぼちゃの顔を作る、日本の福笑いのようなゲームがあったりした。
飲み物は予め持ってくるように言われていた(BYOB)が、お菓子は教室に大量に置かれており、自由に食べてよいということだった。マッド・サイエンティストやネコに扮した講師と写真を撮るのも楽しかった。
そんなパーティも終わった1年の締めくくり、最後の評価となるプレゼンもこなしたときには、「あれ!? けっこうわたし英語しゃべれるじゃん!?」となっていたのである。
英語を話せるようになる究極のコツ
今まで何をしても英語を話せるようにはならなかった。それが、1年間英会話に通っただけで、炭酸飲料の栓を抜いたように話せるようになるなんて。我ながら驚愕したが、珍しいことではないらしい。
脳のなかに「日本語脳」と「英語脳」があると、どうしても「日本語脳」が優先して使われてしまうので、「英語脳」がうまく機能しない。だが「日本語脳」が使われない状態にしておけば、「英語脳」がきちんと働いてくれるということらしい。
理屈は聞いたことがあったけれど、まさかそれが自分に起こるとは思わなかった。「日本語を使わず英語だけで生活」していれば、英語は話せるようになる。これは確かにそうだと確信した。
なお、ライティングの方は日本語を忘れることはなかった。これはもちろん、毎日日本語で原稿等を書いていたからではあろうが、「話す」と「書く」とでは、脳の使用部位が違うからではないかと思っている。
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