良いも悪いも
寒い冬が明けて、春が訪れました。僕は春が一番好きです。黄色や青色に白やピンクといった色の花があちらこちらで咲きだす風景は、僕の心も色付けてくれる。ワクワクするし、やる気になってくる。そして、何よりも桜を見るのが好きです。この世界を明るくしてくれるような感じがしてならないのですから。
しかし、ある人は言うのです。私は、春が来るたびに憂鬱な気持ちになるんだと。大切な人と別れたのは丁度、桜の咲く季節だったそうです。桜が散っていく様がその別れを思い出させてしまうから、悲しくなるものだと。
僕は夏が、ちょっぴり苦手です。あの暑さに毎度毎度くたくたになってしまう。仕事をしても汗だくになってしまうし、あの日差しの強さに意欲も失いそうになるから。
しかし、ある人は言うのです。夏はワクワクして解放的になると。あの日差しを浴びると生きている実感がわくものだと。何だか元気になるそうです。
僕は秋になるとちょっぴり切なく感じてしまいます。僕のおばあちゃんは秋に亡くなってしまったから。あの優しさやおばあちゃんの笑顔を思い出す。僕は頑張っているよと秋の夕暮れを眺めていると、自然と言葉として出てきてしまう。
しかし、ある人は言うのです。秋の夕暮れをみると、希望が持てると、どんなに苦しい毎日でも、あの夕日をみると、また明日も見たいと思えるのだと。
僕は冬が苦手なんです。自分の誕生日があるから。僕が全てを失ったときに、鬱になり、入院した先の病院のベットの上でクリスマスもお正月も誕生日も迎えた。その時の、苦しさや孤独さを思い出してしまうのです。だから、僕はSNSのプロフィール欄に自分の誕生日を入力することが出来なかったくらい。出来れば、自分の誕生日は何気ない一日のようにして過ごしたいと願うのです。
しかし、ある人は言うのです。冬が何よりも好きなんだと。一年で一番オシャレができるし、クリスマスは賑やかで、お正月は気持ちを新たにしてくれる。温泉に浸かりながら雪景色を観るのが何よりも好きで、冬になると必ず旅行にでかけるのいだと。
春も夏も秋も冬も。晴れも雨も。これらは、ひとつの出来事にすぎないのです。そこに良いことと辛いことにわけるのは、人間だけなんです。
出会いや別れも同じ。良い出会いもあれば悪い出会いがあります。良い別れもあれば、悲しい別れもあります。それは、出会いと別れという出来事に僕らが感情を付けているだけのこと。
そして、それらをどう捉えるのかはみんなそれぞれで、過去の経験によって判断している。
これまで、僕は自分の経験から、良いものだけを好きになり、愛してしまうようになっていた。だから、自分の中で、受け入れられるものと受け入れられないものと分けてしまうようになっていた。
それは、自分自身も同じなのです。僕は前向きな自分だけを好きになり、後ろ向きな自分を嫌い否定してしまっていたのです。
この四季を感じて思うことがあるんです。どの季節も楽しんでいこうと。辛い経験をしたかもしれないけど、見方を変えれば好きな部分が見えてくる。同じように僕自身もそうなのです。自分の嫌いな部分も好きになっていこうと、自分自身の見方を変えていけば、きっと好きになれるはずだから。
未来は自分で選ぶことも出来ないものだし、これから良い事も辛いこともまっているかもしれない。その中で自分の人生を愛し自尊心を持つことができるようになれるのは、全てを受け入れて、前を向いていくことが大切なのだから。
今日は桜が満開です。これから、桜が散り始めていくにちがいない。だけど、その散り際の美しさは何とも言い難いものです。夏の青々とした桜も見事なもの。そして、葉をしゅう色に染めていく様も心を動かすものがある。そしてなにより、春の向けて少しずつ蕾を膨らまかしていく姿は、生きることの力強さを教えてくれ、希望にもなる。
四季を通してみる桜を僕自身と重ねていこうと思うのです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
メルシー
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