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お酒の種類、何ならいいの?の質問が・・・

お酒ならビールか日本酒、焼酎、どの種類がいいの?。糖尿病や肥満で食事療法中ですが・・・。大抵この質問が多い。

お酒で血糖値は上がるのでしょうか?
お酒のエネルギー量は、お酒に含まれる糖質とアルコールの合計です。お酒の中の糖質の量によって血糖値は上がりやすく、アルコールは血糖値を上げる働きがほとんどありません。

エネルギー(カロリー)全体に占める糖質の割合が多いのは、ビール、日本酒、ワイン、の順です(日本食品標準成分表2015(七訂から算出)。
焼酎は、アルコールだけでできていて糖質を全く含んでいません。ウイスキー、ブランデー、ウオッカも蒸留酒の特徴として同様です。

理屈では、同じエネルギーの飲酒後の血糖値は、ビールを飲んだ時が最も高く、その次が日本酒で、焼酎では全く上がらないことになります。しかし、飲む量は人によって、お酒の好みで異なりますから、飲む分量で異なります。
お酒は、ご飯より糖質が少なく血糖値が上がらないから糖尿病には悪くない、と考えている人が多いのですが、必ずしも正しくないと私は考えています。

飲酒習慣と糖尿病の関係
アルコールそのものでは血糖値が上がらないので、飲酒習慣があっても糖尿病が発症したり悪化したりしないはずです。これに関する世界各国の研究のまとめを見てみました。

1日当たりアルコール23g、日本酒にして1合(ビールでは大瓶1本弱)を飲んでいた人が糖尿病になる確率は、飲まない人よりも35%ほど低くなっています。
出典:データ栄養学のすすめ

しかし、アルコールの量がそれ以上に増えてくると、徐々にお酒を飲まない人と近くなってきます。いずれにしても飲酒習慣があっても糖尿病が発症するとは言い切れないのでなんとも不思議です。

一方、お酒の種類別に糖尿病の発症を調べた研究を見てみると

糖尿病を予防してくれるお酒の筆頭はワインのようです。糖尿病を予防してくれる何かがワインに入っているという推測です。強い抗酸化力を持った物質なのか・・・・ワイン好きの人たちが食べている料理やワイン好きの人たちの食べ方の方に秘密があるという考え方があり・・・現在研究が進められています。
出典:データ栄養学のすすめ


糖尿病の人が飲酒習慣で気を付けたいこと!

お酒に含まれているアルコールは、肝臓で処理されます。肝臓は他にも、糖質を放出して血糖値が下がりすぎないように調節する働きをしています。肝臓が優先してアルコールの処理のために働いていると、同時に糖の放出がうまくいかず血糖値は上がらなくなります。糖尿病の人には、けして結構なことではないのです。
したがって、糖尿病で血糖降下薬やインスリン注射を行っている人は、アルコールを飲むことで糖が肝臓から放出されないために低血糖に陥ることがあります。必ず主治医に相談する必要があります。
もちろん健康な人はこの限りではありません。

ほとんどの人で問題になるのは、飲酒時のつまみや食べ方です。飲みながらいつまでも食べている、お酒には脂っこく味の濃いものが美味しい。そして、飲酒後にラーメンに餃子やチャーハンを付け加えて食べることで過食傾向になってしまうのです。このことが続くと、糖尿病のコントロールにもっとも悪い影響を与えます。
たとえ、糖質ゼロ・糖質オフのお酒に切り替えても、つまみで過食傾向の人は結局のところ同じだということです。

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お酒を飲むから主食(炭水化物)を減らそう?
主食の炭水化物は栄養がありますが、お酒のアルコールは栄養がありません。お酒を飲みたいからごはんやおかずを減らす、これは間違った考え方です。あくまでも、お酒は嗜好飲料で食事とは別物で、飲酒をしても適切な食事は必要です。

結論
お酒の種類は何ならいいの?の冒頭の答えは、嗜好飲料としてはどれも一緒です。種類で飲み方を変えても無駄だということになります。
また「お酒は糖質が少なく、血糖値が上がらないから、糖尿病には悪くない」と考えるのは、あまりにも短絡的です。
しかし、アルコールは悪者ばかりではなく、リラックス効果や人とのコミュニケーションにも欠かせないものでもありますから、適正な食事とともに、たしなむ程度にしたいものですね。




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