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稀代のコンテンツメーカー(齋藤孝)に学ぶ!オリジナルのコンテンツを量産する秘訣。

とにかく多作なコンテンツメーカーといえば、私の中では齋藤孝氏だ。書店に行っても、齋藤氏の本の数の多さは半端ではない。そして、今でも定期的に各社から新刊が出続けている。リリース数だけではない、本の品質がそれなりに、いつも安定しているところがすごいところだ。(齋藤孝ゴーストライター説もあるくらいだ。私は本人が書いていると確信している。)

齋藤孝氏がオリジナルコンテンツを量産する秘訣はどこにあるのだろうか。私もkindle作家の端くれとして、定期的にコンテンツを出したいので、齋藤氏のメソッドに倣いたいと思っている。そこで役立つのが、この本だ。一見、いわゆる三色ボールペン法の焼き直しの一冊に見えるが、オリジナルコンテンツを量産する方法を読み取れる。

三色ボールペン読書法とは?

この本は、三色ボールペンを使って本を読み込んでいく勉強法を解説している。まだご存じない方のために説明すると、三色のボールペン(緑・赤・青)を使って本にラインを引きながら、読み込むという齋藤氏のオリジナルメソッドだ。

赤→誰から見ても大事なところ(本のテーマ・著者の伝えたいこと)
青→まあまあ大事なところ、要点になるところ
緑→主観的に面白いと思ったところ

重要なのは「緑」の使いドコロだ。自分が、面白いと思ったところは、著者によると自分の「暗黙知」をくぐらせて引っかかったところだ。そこが引っかかったというのは、自分でも気づいていない何らかの意味がある。

読めば読むほどアウトプットできる

「その人の脳というフィルターを通したものは、
情報に出会ったその瞬間から、もう整理も活用も始まっている。」(P23)

3色ボールペン方式で本を読むというのは、単に理解の助けとしてマーカーを引くのとは全然意味が違う。著者が指摘するように、女子学生の中には何十色も使ってノートをカラフルにして自己満足に浸る人もいるけど、それは「記憶」ひいては「活用」の助けになってはいない。

齋藤氏の三色ボールペン法は、積極的に「緑」の箇所を引いていくことで、自分の「脳」の中で共鳴する何かを引き出すことを目的にする。いわば、どんな活用法があるかを考えながら本を読んでいる状態を作るのだ。

「すぐに使えるよ!」ということを、脳に教えながら、レディ(準備)の体勢を取る読書法だ。


インプットの時点で仕込みまで終わらせる

「私の仕事の鉄則は、絶対に後戻りしないところまで形にして終えておくことだ。素材は、仕込み済みの、焼く寸前のところまで必ずもっていっておく。ほかの仕事でどんなに時間に追われていようが、その企画に実現の見込みが薄かろうが、とにかくそこまではもっていく。・・・三色方式は「仕込み」だ。情報を読みながら、それを活用するときのことを想定して仕込みをしておくというやり方なのだ。」(P28)

著者は、ここで仕事に活用するための読書を、料理に例えている。ゼロから料理を作り始めるよりも、仕込みをしておくと、いざ料理をつくるときは
圧倒的なスピードで質の高いものができる。

これはたとえだけど、主婦の料理と、男性が休日に作る料理は全然質が違う。主婦の場合、料理に使える常備菜や、スパイスや引き出しが多いのでどんどんアイデアが湧いてきて、それを実現するための手段もすぐにある。だから、短時間で素早く、質の高いものを作り出せる。男性が休日に料理をしようと思えば、すべて材料を買い揃えるところからやらないと進まないので、これは言わずもがな。

本を読む際の仕込みというのは、齋藤氏のメソッドで言えば、緑色のラインを引くということ。自分の中の「面白いぞ!」というフィルターを通しているので、忘れないだけではなく、どこで使おうかというイメージもできた状態になるとのこと。

齋藤氏は相当の読書家で、読むたびにどう使うか、自分の中でのイメージを相当に絞り込んだところまで完成しているので、いざというときに、その情報をアウトプットできるのだ。おそらく出版社から話が来るたびに、そのテーマにそった情報をあっという間にアウトプットしながら一冊を書き上げるのだろう。アウトプットありきのインプットの極みだ。

自分だけのテーマを持って読み込むことがコツ

著者の専門は、身体論と教育論だが、そのテーマにそって読み込むことも活用するための読書術の方法といえる。

「私の研究テーマのように、自分の固有のキーワードを持って常にそれをチェックしていると、その資料が自分にとってどれだけ価値を持つものか、
どれだけかかわりを持つものになるか、ということがクリアに見えてくる。」(P122)

「テーマ」とは、別の言葉で言えば「切り口」もしくは「立ち位置」と言える。これこそ、著者の大きな武器だ。単に読んだものをそのまま流用するのではなく、自分のジャンルにしっかり取り込んだ上で自分のオリジナリティを表現する手段として使っていくのだ。

たとえば、著者のテーマのひとつに「技化」がある。私が初めて齋藤氏の著作に触れたのは、確か、呼吸入門だったような気がする。

当時の私は整体に興味を持ち読書をしていて出会った一冊だった。長年、考えてはモヤモヤとして理解できなかった呼吸法の真髄も、著者の手にかかると「技」として表現され得る。そうすると誰でもマスターできるようになる。

たとえば、この「技化」というのが、著者固有のテーマ性であり、切り口になる。この特有の強みを持っているので、どんな本を料理しても、それをそのまま自分のオリジナリティのある著作に変えることができてしまう。抽象的な著作からも「技化」という具体的なノウハウに落とし込んでアウトプットしてしまうのだ。

著者は、これを森林や山の中を、獲物を狩るために入っていくハンターと、通常の登山客の違いに例えています。目的意識がはっきりしている人にとっては、単なる読書も、仕事の一環となるわけです。

仕事の本質とは、アイデアを生み出すこと

「私は仕事の本質とは、アイデアを生み出すことだと考えている。その人固有の着想、思いつきをビジネスの場に提示する。人が自分の内側に情報をくぐらせることで生まれた、新しい考えを提示する。これが仕事だ。」(P168)

三色ボールペン方式で読めばどんなものにも「緑」があることがわかる。興味深い点や、自分の中で共鳴する点だ。その部分を掘り下げることで、どんな仕事も、自分の固有の味を持つ、オリジナリティのあるものになる。齋藤氏にとって、他の人の本は「媒介」に過ぎない。その本を用いて自分自身のひらめきを得るのだ。三色ボールペン方式は、著者の成功法則そのものでもあるようです。

さて、最後に著者がアイデアを出すために行う具体的な引用の「技」について紹介したい。以前にも、この記事で少し触れたが、この技こそ、いくらでもコンテンツを量産できる力。インプットをアウトプットに変える方法なのだと思っている。

齋藤孝のアイデアの源泉!「三題噺」の力

キーワードは「三題噺」だ。落語には三題噺という方法がある。脈絡のない3つの素材を用いて、それをつなげて、ひとつの噺を作るのだ。人によって、それをどのようにつないでいくのかに、オリジナリティが表れてくる。この方法を読書からのアウトプットに応用する。

「複数の本から引用したい文章というものを何種類かもってきて、パソコンに打ち込む。そして、それを繋いでいく地の文章を作る。まさに「三題噺」的な編み出し方をよくやるのである。」(P179)

「三種類なり四種類なりの引用文を繋ぐのは、引用したくなったという自分の暗黙知なのである。だから、それを繋ぐ線が見えた時には、もうオリジナリティが出たものであるといえる。」(P180)

「こんなものを組み合わせてしまって、まとまったひとつの文章、文脈として完成させることができるだろうか」そんな不安を感じるくらいのほうがいい。そこには暗黙知として何かが繋がっていると信じる。そしてそこを繋いでいくラインを見つける。そうしたときに自分独自のものの見方とかアイデアというものが浮上してくる。」(P180)

三色ボールペンで色をつけながら本を読んだ後に、特に「緑」の箇所を抜き出していく。異なる素材から抽出された3つの箇所をもとにしながら、ひとつのテーマで語るというトレーニングだ。

これと、これ?つながるかな?と思っても、とにかく書き出してみる。やがて、意外な切り口でまとまる。著者が言うように、すでに「暗黙知」のフィルターを介しているのでその部分を選んだということに、書き手のオリジナリティが出ているわけだ。そこに自分の独自の文章を加筆していくことで、オリジナリティのある文章を構築していくことができる。

齋藤氏の本を読むと、ほとんどが引用で構成されていることが分かるが、とにかく面白い引用がこれでもか、これでもかと繰り出される。それで、齋藤氏の本を読みながら、齋藤氏が得た知見をどんどん学び取ることができるのだ。その引用は、他の本とあまりかぶらない。これがすごいところだ。

実例として、少し前にご紹介した・・「偉人たちのブレイクスルー勉強術 」なんて、ほとんどが偉人伝からの引用でなっているんだけど、それを「決め球」としての勉強法という「テーマ」で括っているので、十分に学べるオリジナルの著作となっているのだ。無数にコンテンツを生み出したいコンテンツメーカーになるなら、著者のこの方法は試してみて、損はないだろう。

やがて、訓練を積むことで、自分オリジナルの(引用一切なくても)どんどん文章を生み出していくことができるようになるだろう。なんか、それ、他人のふんどしで相撲をとるようで嫌だ!オリジナリティが無いよ~という人に考えてもらいたい箇所がある。

アイデアとは異種配合の力

「アイデアとは誰もが思いつきえなかった素晴らしく独創的なものというよりは、既存のものに対してバランスよく緑を配合することで、新たな形をとるものが大半だ。なにもないところから、突然、生まれてくるものではない。むしろ、何かを元にして、それをどううまく組み合わせたり、ひと工夫加えたりして新しいことが考えられるかという能力だと言っていいだろう。」(P169)

もはや、誰も考えていないテーマ、ジャンル、コンテンツなどない。どんなものも、二番煎じ、陳腐なものになるリスクが常にある。では、何が作品をオリジナリティのあふれたものにするかというと、三色ボールペンで言う「緑」の箇所だ。そして、それを組み合わせる感性。

これは面白いと思った部分(それが、すでに人によって違うのでオリジナリティ)を3箇所組み合わせることで(その3箇所を選び、どうつなげるのかにオリジナリティ)他の誰とも違う、自分だけの切り口を見出すことができるのだ。

著者はこの「三題噺」的コンテンツ作成法を、いたる箇所で説明し公開していますが、同じように実践している人は、余り見かけない。それだけ本を読めて、なおかつアウトプットに使える人も少ないのかもしれない。

出版社のニュースリリースを見ていて、また、齋藤氏の新作本が出ていたので「この人は一貫しているな」と思った次第だ。その1/100でも真似ることができれば、kindle本のリリースも全く困らなくなるんじゃないか。そう思って、本を読んでは、noteを書いているが、まだまだだなぁ。

目指せ、齋藤孝先生~!だな。

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq