ペンギンのぺ

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寒暖差←無理

太宰いきる沈むインク壜くもり酔う黒塗りの言葉たち 春ゆらぎ雨くらげ幾星霜われるさざなみ 夏なきがらゆれるカーテン影みなも 「そういえばこんな人がいたよな」とほんのり記憶に残る人間になりたかった。そんなふうに生きるには、大事な人が増えすぎた。贅沢で幸せで死ねなくて煩わしい。 バスの窓から見えるくだもの屋の店内すべてオレンジ色 みかんの季節 死体を乗せた車を走らす高速道路で聴きたい音楽 遠い月のにおいも手触りも案外身近なものと似ていたら素敵だ たとえばシートベルトのさ

    • 生と死と不自由と自由

      フィクションとノンフィクションのあいだって便利な言葉だ。 鬱にならない人の特徴って、うまくストレス発散できるとか栄養と睡眠ちゃんととって日光浴びてるとかいろいろ言われるけど、いちばん重要なのは今生きてる世界を疑わずに居られるかどうかだと思ってるし私には無理! 置かれた場所で咲くのは立派だけど自分が咲ける場所を探すのも大事よね 私は愛されているということを事実として認めてて、愛してくれる人たちのために自分を否定せずにいるだけで、別に自分は自分のこと好きじゃないなと思いあた

      • 下書き以上ツイート未満

        宇宙から見た空ってどこだろう。海の中にいる感覚なのかな。 眠りに落ちる瞬間頭に浮かぶものを掴めない マンションの通路に漂う他人の家のおふろのにおい、自宅の玄関を開けるよりもずっと「帰ってきた」感がある ペダンチックという言葉の響きが好きだけれどそれそのものがペダンチックで使いづらい 自分のことはどうでもいいのに誰かが死ぬのは怖くてわがまま 戦争は戦争にしか止められないなんて思いたくない 時間が足りないというより体調が悪くて寝込んでいる時間が長すぎる お昼休みにひ

        • ふわふわとふわふわの衝突

          遠くを見る 目の疲れを癒したくて遠くを見ようとした。バスに揺られる時間と、バス停から自宅まで歩く時間で目を休めようと思ったのだ。それは無為にブルーライトを浴びるより有意義にちがいない。思い立つまま、名案とばかりに顔を上げて気が付いた。避けようのない近さに情報があふれている。困ったな。 決めたそばからスマホを頼るのはなんとなく悔しくて、目を瞑って考えてみる。遠くって、どこだろうか。 目を開けば視界いっぱいにごった返す光や文字に勝手にピントが合ってしまう。開けた大通りの奥に視線

        寒暖差←無理

          とりあえずここで考えるよ

          どうしてみんな、当たり前みたいに生きているんだろうか。働くこと、学校へ行くこと、食べること、あくびをすること、死ぬこと、今ここに生きていること。そのすべてに疑問を持たずにみんな生きている(ように見える)。それが当たり前だからという顔をして、世間を絶えず騒がすニュースを横目に流しながら、気晴らしをしたりなんかしつつ、なんとか上手くやっているらしい。 どうして?と問う。 どうしても何も……と困られてしまうとわかってからは、誰にも答えを貰えないその問いは降って積もるだけになって

          とりあえずここで考えるよ

          シンクをレトルトカレーのパウチが情けなく泳いでいる

          もちもちのプリンとふわふわのクッキーを食べる夢を見た 友人から届く愛に救われて生きている。同じだけ返せているか不安になったりする。ビスコに貼られたメモ。ころんとした字の『つよくなあれ』。つよくなりたい。 宛先が正しくても届くとは限らない 教科書デコなるものを知り平成に思いを馳せる ケーキを食べたい。ろうそくの代わりにたいやきが刺さっていたらうれしい。 誰も幸せになれない声ばかり大きくなっていく世界からみんなを仕舞ってしまいたい、みんなというのはみんなです 水の音で

          シンクをレトルトカレーのパウチが情けなく泳いでいる

          宛先が正しくても届くとは限らない

          お元気ですか。いま好きなものはなんですか。近頃あなたの琴線に触れた本や音楽はありましたか。かなしい思いをしていませんか。笑える場所と泣ける場所の、どちらも手の届く場所にありますか。いつの日か聞かせてくれた夢はもう叶いましたか。 わたしはあまり後悔をしない性格ですが、あなたとの縁が些細なことで切れてしまったこと、ひいてはその縁を繕う努力をしなかったことを、今でもすこし悔いています。 思えば当時のわたしは、大切なものに真正面から向き合うのが怖かったのでしょう。傷付けることも傷

          宛先が正しくても届くとは限らない

          言葉はやがて腐敗するらしい

          しし座流星群は午前2時。寒くないベランダ。明るい月。星は流れない。夜が長くて爪を塗る。ゴッホの絵みたい。ごきげん。好きなラジオ。布団に戻る。しずか。端から焦げるような不安。焦燥?焦げると焦るは同じ漢字。もうすぐ朝かも。いやな夢で起きる昼。 金木犀の香りのヘアオイル。空の青さ。通り過ぎて行った秋、アポ無しで来る冬。かっぱのぬいぐるみ。屋上。やわい陽射し。ごろごろ言う猫。思いついたことすぐ消えていく夕方。 痛くて起きる朝。それぞれの好きな音楽をかけておしゃべりをするおだやかな

          言葉はやがて腐敗するらしい

          ここは知らない街

          もういいやぁ、の気持ちを抱えて実家を出て、うっかり遠いところまで来てしまったのが去年の秋のこと。 地元よりもうんと日の短い冬を越えて、遠い土地でもやさしい色をした桜が散るのを目で追って、わたしを知る人がいないこの街で暮らして、半年が経とうとしている。 半年経っても、この街は知らないことでいっぱいだ。猫避けにもならない高さのフェンスに囲われた小学校。その古い校舎や、何故だか病院のにおいがする図書館の裏にはスナックが連なっている。笑っちゃうほど派手にカスタムされたバイクの群れ

          ここは知らない街

          🏠

          家に帰りたくなくてフラフラすることが増えて気が付いた当たり前のことがある。帰る場所がないと行くところが無い。 ネカフェもカラオケもホテルも断じて安くなくて、それはお財布に厳しいっていうシンプルな問題ももちろんあるんだけど、それ以上に、「お金出さないと居場所がないのか」って事実にかなしくなってしまう。 「いる」だけなら24時間営業のファミレスとかファストフード店とか、最悪屋外でもいいのかもしれない。でも、帰りたくないというだけで、あたたかい場所は欲しい。 友達や親戚は頼る