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ガラスの欠片が何十年も漂流して丸くなっていくのは、たまらなくいとおしい。

STORY02 :漂着ゴミでつくるアクセサリーブランド「UMIUMI」

つくり手のストーリーを通じてつかい手と“いとしさ”を共有するエシカルオンラインショップ「メルとモノサシ」に掲載中のブランドストーリーをnoteでもご紹介しています。ブランドさまへのインタビュー記事です。

ガラスの欠片が何十年も漂流して丸くなっていくのは、たまらなくいとおしい。

漂着物のガラスや陶器のかけらを拾い集め始めたのは、すごくすごく小さい時からで、私自身にも記憶がないぐらいです。

公園では石を拾って遊ぶような子どもだったみたいで。海に行っても海ではなく浜辺で、貝殻やガラスのかけらをよく拾っていました。そういう子ども時代を過ごしたので、私にとって海に行って浜辺で漂着物を拾うことは特別なことではなく、大人になっても普通に「あ、キレイ!」という感じで集めていて。もう実家の私の部屋には大量に溜まっています(笑)

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UMIUMIを始めたのは、仕事の関係で半年間ほど宮古島に住んでいた頃。やっぱり海に行く機会が増えて、海はすごくキレイなんだけど、浜辺を見ると流れ着いたゴミがすごく目立っていたんです。子どもの頃に訪れた時にはキレイな海という印象があったのに大人になって改めて見ると「あれ、こんなにゴミがあったっけ?」と、結構ショックでした。

観光地として取り上げられているようなビーチは誰かしらが掃除しているからキレイなんですけど、地元の人しか知らないようなところは、ペットボトルが「え?こんなに?」って驚くほど山になっていることが多くて。中国や韓国が近いので外国のゴミもたくさん目にしました。

島内のビーチクリーン活動にも参加してみたんですけど、数時間かけても1回では到底終わらないほどの量なんですよ。「このままだとキレイな海を保てないだろうな」と感じたのが、UMIUMIを始めるきっかけでしたね。

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元々、趣味でビーズアクセサリーをつくっていたんです。これまで海辺で集めてきたものを使えたらいいなぁ、ってなんとなく思ってはいたけれど、どういう形でやるかは決めていなくて。宮古島は漂着物をたくさん集められる環境だったこともあり、本格的にUMIUMIとして漂着物を使ったアクセサリーづくりを始めました。

当初の材料は、貝殻が多かったです。宮古島のビーチにはガラスもあるけど、どちらかというとペットボトルとか大きいゴミの方が多くて。それにやっぱり、宮古島の貝殻はキレイなんですよね。

でも、貝殻や珊瑚ってゴミではないじゃないですか。それが自分の中でずっと引っかかっていて。やがて、自然のものではないガラスや陶器を使った方がいいなぁと思うようになり、そういうものをちょこちょこ集めてつくるように。この頃から「海岸のゴミをなくそう」というテーマをはっきり出すようにしました。

仕事をしつつ、その間に制作をするような感じでしたね。オンラインショップを中心に販売していました。

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大阪に帰ってきてからはイベント出店が増えたのですが、お客さんの反応が2パターンにはっきり分かれておもしろいんです。シーグラスを知らない方が結構いらして、みなさん「これは何?」というところから入るのですが、「ゴミがこんなにキレイになるんや」って驚く方と、「じゃぁ拾ったらタダでつくれるんやね」という反応の方がいらっしゃいます。後者は大阪特有なのかな(笑)言われたときは衝撃的だったんですよ。

それで、「ゴミだからタダよね」「自分でつくればいいよね」って思われないようなクオリティにしないといけないなって。最初は本当にシンプルなデザインでつくってたんですけど、それだとどうしてもそういう風に捉えられてしまうので、パーツを組み合わせたり金箔を塗ったりと試行錯誤をくり返し、ブランドイメージを固めていきました。私にとっての成長期でしたね。

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漂着物の丸いガラスって、この形になるまでに本当に何十年って月日がかかるんですよ。最初は割れて尖ったガラスのかけらが、だんだんだんだん波に揉まれてこんな風に丸くなっていく。それが私にはもう、たまらなくいとおしくて。

その間よく海の中にいられたな、この小ささで生き残っているのがすごい!って。指輪に使っているようなすごく小さいものもあるんですけど、こんなサイズで丸く残るのも本当にすごいなと思って。そういうのを見つけるには、砂の中から探さないといけないので難しいんですけど。

探すときはいつも砂浜を掘っています。大きいものだと歩いていても見つけられるんですけど、小さくなればなるほど砂の中に埋まっていたりするので、もう座り込んで(笑)私は結構丸いものが好きなので、必死で探すんですけどやっぱりなかなかなくて。すごく丸いシーグラスを見つけると、それは大切に選り分けてしまいこんじゃいます。

UMIUMIのピアスやイヤリングは全く違うものでペアをつくるので、「この丸さにはこの丸さを組み合わせたい」とこだわって選びます。陶器だとすごくかわいいのに相方がなかなか見つからないことも。全然違うところで拾ったもの同士がカチャっと合うときは、めっちゃ楽しいです。組み合わせを考えるのは、私がアクセサリーをつくる上でポイントですね。

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もうすぐ子どもが生まれるんです。子連れだとイベント出店ってあまり現実的ではないのかな、ちょっと方向転換していった方がいいのかな、とは考えていますね。

こないだ、額縁をつくる夫と合同で展示会をしたんですが、今までとは違う感じの方たちが購入してくださったんです。額縁を見に来られた絵描きさんや作家さんは、シーグラスや漂着物に興味があったわけではないので、いろいろと話を聞いてくださったり、会場の近所の方々が「普段海に行っても見いひんけど、今度行ったら見てみるわ」と興味を持ってくださったり。今までとは違う印象を受けました。

やっぱり、シーグラスの存在を知らない人ってすごく多いので、知っている人よりも知らない人に広めていけたらいいな、と。アップサイクルやハンドメイドに興味があるお客さんが来てくれるイベントへの出店もいいけど、全く違う分野の方に興味を持ってもらって、漂着ゴミのことを知ってもらえたらいいな、って思い始めています。その方が何かが生まれそうやなって感じがしているんですよね。

▼▼漂着物でつくるアクセサリーブランド「UMIUMI」ストーリー本文はこちらからお読みいただけます▼▼

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