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【詩】生きた屍

私は存在しているのか。
喜びも、悲しみも
何処かへ消えていった。
私の中に心は存在しない。

疲れた肉体だけがベッドに横たわり
乾いた空気が肉体を包む。

食べることも、
寝ることも、
愛し合うことも忘れた
生きた屍。

怒り狂い、泣き叫んで、
心を喪失してしまったのか。

嫉妬、憎悪、絶望に蝕まれ、
愛はもう宿らなくなったのか。

私の中に心は存在しない。
空洞になってしまった私の体。
この肉体の存在に絶えられず
涙を流すこともなく目を閉じる。


この詩は2005年に強度のうつ病を患い、回復して1年後ぐらいに書いた詩です。当時の私は、五感をすっかり失い、何を食べても味がしない、好きな音楽を聞いても何も感じない、何を見ても反応しない、香りの区別もつかない、喜怒哀楽もわからない、睡眠を取らなくても眠くならない、そんな状態でした。もちろん、何かを考えるなどは無理で、考えようとすると頭がフラフラしてくるだけでした。当時、唯一考えられたのは「死」です。どのようにしたら死ねるか?行く先々で、自分がどのように死ぬか、死ねるか、考えました。薬と心理カウンセラーのお陰で、少しずつ元気にはなりましたが、当時の担当医が言ったように、癖になったようにストレスが溜まると鬱は戻ってきます。でも、そんな時は「心の風邪」と思ってゆっくり休養するようにしています。それでも時々薬に頼らなければならない時もあります。
この2005年を境に、私の自分の心を知る旅路が始まります。

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