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【詩】

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心に浮かんだまま書き殴られたものたち。
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2022年9月の記事一覧

「高台の蟻」

いつもの場所で一服していると

一匹の蟻が登ってきた

ここには餌はない

只の鉄塊の塔である

それでもここに登ってきたのは

何かを得たかったのだろうか

餌ではない、何かを

孤独の蟻よ、何を思う。

「火種」

ゆらりふらりと 燃え盛り

千度に近い その塊は

踏み潰される迄 燃え続く

やがてその 小粒の焔は

生き延びようと 何かを燃やし

そして軈ては 全てを焼く迄

燃え続く事を 止めはしない

全てが灰に なる前に

小粒の火塊で ある内に

その足裏で 踏み潰せ

深夜起き 身体動かぬ 九月朝

先輩の 買い出し補助し 珈琲屋

通院日 煙草を流す 秋風や

完治せぬ 病と付き合い 夕涼み

家事終えて ほっと一息 ナポリタン

明日からは 残暑と共に 着るスーツ

今日の日を 纏め呟く 五七五

僕は、その曲を知らない。

何故か、君が口ずさむその曲は

何故か、何処かで聴いた記憶がある

何処で聴いたか覚えていないのに

確かに何処かで聴いた記憶はある

何故だろうか

どうして聴いたことがあるのだろうか

分からないまま、日々は光陰の如く

朧気なまま過ぎ去ってゆく。