Ōおー

映画&美術ファン。漫画を描いたりしています。

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最近の記事

感想「ゴドーを待ちながら」:棺桶に入ってゴドーを待つ

戯曲「ゴドーを待ちながら」を読んだら、予想と全く違う形で胸に刺さった。 せっかくだから、この戯曲を読んで考えたことを書いてみたい。 これは私の幼少期の話だ登場人物 <主人公> ヴラジーミル(ちょい理屈くさい) エストラゴン(ちょい抜け作) <脇役たち> ポッツォ(暴君) ラッキー(ポッツォの召使) 男の子 「ゴドーを待ちながら」は、本当に「ゴドーを待つ」だけのお話。 内容は「こちらが理解しようとしたそばから振るい落としてくる」たぐいの、意味の掴めない会話の連続。 ゴドー

    • 最近考えたこと:欲望はどこへ行くのか?「BLの元祖」と「ピアニスト」を鑑賞して

      ※かなり性的な内容を取り上げます。 ※映画「ピアニスト」(2001)を全編に渡ってネタバレします。 私は1年と少しの間、長編の二次創作BLを描いています。 描くからには読み応えのある大作にしようと懸命にやっておりますが、そもそもが「性欲をガソリンにして描きたい物語を仕上げる」という不純な動機からスタートしているので、どう転んでも下らないような気もしています。(別にそれでもいいんだけども…) 私は一般的な二次創作の動機になる、カップリングやキャラクターへの”推し”文化に全く

      • 創作日記:「何が一番大事なのか」

        漫画を描き始めて1年経過。 ストーリーを1話にまとめ、完成させる作業を8回踏破。 有難いことに、二次創作の連載には毎回感想をくれる読者がついて、340人もの人が(私にとっては凄く多い)連載をフォローをしてくれた! つまり340人が次のお話を待っている! 嬉しい!! それで、そろそろ自己満足だけの状態から「他者からの視点」をより意識するようになってきて、「私が描く漫画にとって、何が一番大事だろう?」と考えていた。 結局、最初から分かっていた事かもしれないけれど 「何を

        • 創作メモ:「大人になる」ということについて…

          漫画ばかり描いています。 いま描いているのは趣味で2つ。 1つはオリジナルの一次創作で、美大を舞台にした学園もの。 2つ目は有名少年漫画の二次創作。 どちらも長編で、2〜3話まで完成させて公開しています。 1つ目は完結まであと2年くらい、2つ目は3年以上かかるんじゃないかなと思っています…漫画はとにかく時間がかかる。 漫画を描き始めたのは去年(2022年)の6月くらい。完結したのは未だに短編1本だけです。 なんでこんなことをしているのか?力を入れているのは二次創作の方

        感想「ゴドーを待ちながら」:棺桶に入ってゴドーを待つ

        • 最近考えたこと:欲望はどこへ行くのか?「BLの元祖」と「ピアニスト」を鑑賞して

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        • 創作メモ:「大人になる」ということについて…

          「エロ本描き」によって「創作筋」を取り戻した話

          こんにちは。 ここのところ、自分専用の性的サムシングを拵え続けているŌおーと申します。 性的サムシングなんてボカしてますが、言ってしまえばBL二次創作漫画です。 (画像は出さないので安心してください) 「描きたいし、まあ途中でやめても良いから描いてみようか」 と始めたのですが、偶然にもこれが良い効果を及ぼしたみたいでして… 漫画に限らず私の創作熱は、学生時代に「進学しなければ」「就職しなければ」の呪いにかかった時に死んでしまい、 10年まともに「自分が納得できるもの」

          「エロ本描き」によって「創作筋」を取り戻した話

          日記 「恥部丸出し」のお話

          急に思い出した会話があって。 それは大学生のころ。 バス停で教授と同級生と3人で、バスを待っていた時のこと。 目の前を老人と老犬(和犬だった)が通った。 犬はしっぽをピンと立てていて、肛門が見えている。教授がひとこと。 「いいねえ、犬は。恥部丸出しだよ」 これだけだと「何の話だ」という感じですが、これには前段の会話があって。 私がいた美大のとあるデザイン学科は、作品を作るだけじゃなく、 というより、学部入学初年度は、作ることそのものよりも「作ったものを他人に説明する

          日記 「恥部丸出し」のお話

          「感動」は、あてにならないという話。

          こんにちは。落ちぶれ美大卒のŌと申します。 今回は、3月に行った展覧会の感想を今さら書いてみたいと思います。 ダミアン・ハースト 桜国立新美術館にて、2022年 5/28まで開催中。 この展覧会をみてきた感想です。 これから「感動しなかったけど、感動した」という話をします。 「”感動しないもの” にこそ価値がある」と思う これは、最近の私の教訓です。 私は、美大では「ただ就職のためだけに」デザインや映像の勉強をしていたので、現代美術には興味がありませんでした。 それ

          「感動」は、あてにならないという話。

          職業体験、マフィア編『グッドフェローズ』

          こんにちは。ミニシアター好きのŌと申します。 今回は、私の大好きな映画をご紹介します。 先日、午前十時の映画祭で鑑賞してきました。やっぱり良かったです。 受賞 アカデミー賞助演男優賞 (ジョー・ペシ|写真左) ヴェネツィア国際映画祭 銀獅子賞(最優秀監督賞) どんな映画? 1970年代のアメリカ・ブルックリンに暮らすマフィア(イタリア系犯罪組織)の構成員たちの25年間を描いた名作。実話に基づく。 「普通」のマフィアの話? マフィア映画の殿堂といえばゴッドファーザー

          職業体験、マフィア編『グッドフェローズ』

          マナーのお願いは100年前からあった… 読書 「映画館と観客の文化史」

          映画館についての歴史を書いた書籍から、気になるトピックをご紹介します。 どんな本? 映画館の歴史を通して、映画の本質に迫る! という1冊。 しかし、雑多な周辺情報がたくさん盛り込まれているので、長くて少々読みづらい。 ここでは印象に残ったことだけをお届けします。  最初の常設映画館 「ニッケルオディオン」 1905年にアメリカで誕生した、いわゆる映画館。 それまでの映画は、都度スクリーンと映写機を持ち込んだ巡回上映師の手で上映されていた。 仮設テントや劇場、

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