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マナーのお願いは100年前からあった… 読書 「映画館と観客の文化史」

映画館についての歴史を書いた書籍から、気になるトピックをご紹介します。



どんな本?


映画館の歴史を通して、映画の本質に迫る!

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という1冊。

しかし、雑多な周辺情報がたくさん盛り込まれているので、長くて少々読みづらい。

ここでは印象に残ったことだけをお届けします。


 最初の常設映画館 「ニッケルオディオン」


1905年にアメリカで誕生した、いわゆる映画館

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カナダ・オンタリオ州トロントにあったニッケルオディオン
「コミック座」(1910年頃)
画像:Wikipediaより


それまでの映画は、都度スクリーンと映写機を持ち込んだ巡回上映師の手で上映されていた。

仮設テントや劇場、ボードビル※ で時々上映される見世物という感じ。


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ボードビル
コメディアンや奇術師、ダンサーが色んな出し物をする劇場。
日本の寄席のようなもので、映画もテレビもない時代にたくさんあった。
そんなにお金持ちじゃない普通の市民が、週末の楽しみに訪れた。


ニッケルオディオンのすごいところ


設備はショボくとも、この時点で現代の映画館の形を完成させていたこと!

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唯一の違いは、当時上映されていたのは無声映画で、スクリーンの横にピアノが設置され、必ずピアニストの演奏とセットで上映されていた点。


100年前の人類のマナーとは…


なんと、設備だけでなく上映前のマナーについてのアナウンスの原型も、この頃から存在。

大声での会話、口笛はお控えください

などの幻燈(昔のスライド。ガラス板に書かれたものを映写機でスクリーンに写す。)が表示されてから上映がスタートしていた!


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📹🚨?

実際どれほどマナーが守られたかは疑問ですが、この本によると、マナーが崩れていくのは1930年代のトーキー全盛からだそう。


それまでの「上映が終わるたびに観客を入れ替える」方式から、

上映中自由に出入りして良く、映画は連続再生。途中から観て、自分が観たシーンまで戻ってきたら帰る

というルールが一般的になってから。

それ以来、映画館は超・雑多な雰囲気になり、この雰囲気は1970年代まで続く。


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1945〜50年の映画館を舞台にした映画
ニュー・シネマ・パラダイス」より


今では信じられないですね…
(↑も楽しそうだけどね。)


「現代人はマナーにうるさい」とはよく言われますが、100年前の人も映画を劇場で気持ちよく鑑賞するための、最低限のマナーは考えていたようです。

映画館が雑多だったのは30年〜70年の40年間だったとすると、
映画120年の歴史の中では、マナーを気にしていた時代の方が長い…かも?


こじつけかも🦆~


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