アホらしい

欲しくてたまらない金木犀の香水がとうとう夢にまで出てきた。

私の夢のなかには決まった場所がいくつかある。
ものすごく急で長いエスカレーターが中央に何本も通っている大きなショッピングモール。外はいつも夜で雨が降っている。地下はスーパーのようになっていた。薄暗くて気味が悪いけれど何故か懐かしい。この場所にいるときはいつもおばあちゃんが夢に出てくる。
覚えているのはこのショッピングモールだけ。
他にも決まった場所があるのは分かるのにそれがどんな場所かはすぐに忘れてしまう。
何故ここだけは覚えているのだろう。

最近よく夢を見る。
懐かしい人ばかり出てくる。
辞めてしまったお店のママ。
仕事終わりによく行った居酒屋の姉さん。
小学校の時怖くて苦手だった先生。

起きているときも昔のことをよく思い出す。
懐かしいと思う。
あの時こうしていたら、なんて思う。
過去には戻れないのに。
自分で選んできた人生なのに。

もう4年想い続けている人がいる。
どれだけ会いたいと願っても夢ですら会えない。
もう連絡を取る術もない。
それでもまだ諦めきれない。
私の想いの強さと夢の中身は関係ないのかしら。

人の縁は本当に大切だとつくづく思う。
何年も仲が良くてずっと関係が続くと思っていた人でも大切にしていなかったがために突然切れてしまうこともある。
一時の感情のままに縁を切った人が自分にとってどれほど大切だったのかを後になって気付くこともある。
後悔しないために。
今、自分を支えてくれている人を大切にする。

私の夢に出てくる人たちはきっと大好きだったのにそれに気付けなかった大切な人たち。
嫌な部分ばかり見て、勝手に嫌って。
私のことを心配してくれていたのに。
ごめんなさい。もう遅いかもしれないけれど。
もう二度と後悔しないように。
ごめんなさいとありがとうをちゃんと言おう。
言わなくても分かるなんて思わないで。

夢はもう会えない人たちに会える場所。
現実ではあり得ないことがあり得る場所。

私は夢が好き。
出来ることなら忘れたくない。
でもいちいち書き留めることはしない。
現実にあったことじゃないから。
特別なものだから。
書き留めて覚えていても何もない。
すぐに忘れてしまってもいい。
夢を残しておいたらそれは夢ではない。
なんて、アホらしい。

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