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「異次元の少子化対策」ってさ、本当に違う次元でやらないでよ。こっちの次元でやってよ!~ヘルスケアWOMAN EPOアーカイブ配信視聴レポ④

「今日はダメな男性の代表として、ボコボコにされにきました」

というファシリテーターの言葉で始まったこのセミナー。


WOMN EXPO 2023のセミナーの冒頭です。
今日は、このセミナーを聴いて特に印象に残ったことや、「あ、あの人が言っていることと繋がったぞ!」と思ったことを、書いていきます。
あの人とは、元明石市長の泉房穂さんや、資生堂社長兼CEOの魚谷雅彦さんのことです。

では1つ目から。

◆1◆当事者の意見をヒアリングする仕組みを~元明石市長の話~

女性活用できている企業は、株価もちゃんと上がっている。
先進国では女性の労働参加率があがっている。だから家計も潤うから少子化も…みたいな話になりまして。

「そもそも保育園、高すぎますしね。3歳までめっちゃ高いですよね。まずこういうったいびつな構造を変えて欲しい。」という話が出ました。
保育料って地域や世帯収入によりますが、年間100万円近くかかるケースも多々あります。ダブルインカムなら年間100万円は覚悟。私立じゃなくてもね。保育料が高いか安いかは、色々な複雑な問題があるのでここでは触れませんが、刺さった言葉はこれ。


「異次元の少子化」ってさ、本当に違う次元でやらないでよ。
こっちの次元でやってよ!


この言葉を聞いた時、最近読んだ本を思い出しました。
前明石市長である泉房穂さんが書いた「社会の変え方~日本の政治をあきらめていたすべての人へ~」です。

泉房穂さんは3期12年間を、明石市長なさっていた方。
明石市独自の「5つの無料化」やインクルーシブ条例など、誰ひとり見捨てない社会に向けた施策を次々に実現してきた。しかも、増税なしに。人口も増え、赤字続きだったしの基金も50億円以上増えた。その想いは、「子どもは未来、誰ひとり排除しない」「冷たい社会を優しい社会に変えていきたい」というもの。

この泉房穂さんが書いた本と、今回のセミナーが繋がった部分はこちら。

行政は新たな施策をする際も、既存の枠で無理矢理片づけようとする。しかも進めるのは、当事者でも支援者でもなく、たまたま居合わせた人材である。泉さんが国会議員時代に衝撃を受けたのが、厚生労働省の障害者施策担当者が「障害者に会ったことがない」という実態だ。傷害がある人の存在すら知らずに育った「優秀」な人たちが政治家や官僚となり、悪意なく様々な法律や施策を推進してきた。明石市では、傷害者配慮条理の検討に際しては身体・視覚・聴覚障害のある当事者に参加してもらい、相互理解をもとに内容を練り上げている。

ー「社会の変え方」泉房穂の内容一部ー


当事者に参加してもらうことが、いかに大切か。
この泉さんの本でも紹介されていましたが、みなさん、この言葉をご存知でしょうか。

私たちのことを私たち抜きで決めないで
(Nothing About us without us)

これは、国際連合の人権条約「障害者の権利に関する条約」の合言葉なのです。当事者の意見を聞くという仕組み、とても大切だなと思いました。

佐野さん(今回の登壇者)が勤める関西テレビも、この7月から不妊治療をしている人のための制度が出来た。その制度を作る際、当事者である佐野さんの話を、仕組みを作る担当者が2時間ほどヒアリングする機会があった。こういうところだと思う。

こういう風に、当事者の意見を聞く仕組みが、今の日本には必要だな、と切実に思いました。


そして、ファシリテーターの方の次の質問も、とても良かったです。

◆2◆経営層の構造と意識が変わらない中で、女性が入ると大変かも?どう思いますか?


これに対する佐野さんの回答も秀逸でした。

前提として数を増やすのはものすごい大切なこと。その上で話します。
おじさんを内面化してしまった女性管理職がものすごく多い。逆にそういう人は、女性であるがゆえにタチが悪かったりする。男性の管理職が、「この人が(女性として)ひとり入っているから大丈夫だろう」となる。でもその
その女性管理職はおじさんを内面化している。だから、本当に女性の後輩の本当の苦しみやどんなことに大変さ、困難さを感じているか、そもそも理解していない。なのに、女イチとしてカウントされていまっている。

これは、グサグサくる人、心当たりが多い人が多いのではないでしょうか。

同世代の友人と話していて「あるある~」と共感することのうちの1つに「先輩ワーママの両立体験談はずっこける」というのがあります。

よく、先輩ワーママの体験談や両立方法を知る機会があるじゃないですか。職場のセミナーでも、ネット情報でもなんでも。そこで、出てくるエピソードがですね…「子どものお迎えは毎日実家の母で、晩ご飯もそこで食べて、お風呂も入ってきてます!」とか「朝3時30分に起きて、子どもが起きる前2時間で家事と仕事を片づけます!」とか。

「両立方法ってそれかーい!」ってずっこけちゃうんですよ。近距離(徒歩かなんなら同居)に祖母がいること前提やないかーい!って。朝3時30分に起きてるのは両立ではなく自分の健康に目をつぶってるやないかーい!って。「すごい!」と思うと同時に「いや…真似できませんわ…」って思うわけで。

私たち(30代)が聞きたいのは、そういう両立方法じゃないんです。知りたいのは、夫婦でどうやっていい感じで両立していくかなんです。外部の力を借りるのはもちろんアリで、私たち世代もガンガン借りたい。保育園も、ベビーシッターも。だけど「根本的には夫婦で育児に積極的に関わりたい」っていう想いがあるんですよ。育児の主体は、あくまでも夫婦でありたい。かつ、朝3時台に起きているなど無理な感じではない方法でやっていきたい。
そんな時に「育児の主体は完全に他の人」「体力おばけ」って聞いても、それは真似でけへんわってなるわけで。

ですが、ここからの佐野さんのお話も身にしみました。

でもそれは同時に、そんな風に男性を内面化していかないと生き延びていかなかったというサバイバル術でもあった、自分もそうなんですけど。
女だったけどオヤジ化してしまっている。
オヤジ化している女性陣にも勉強して欲しい、一緒に語り合いたい。

その通りなんだよなぁ、と。
男性社会だったから。男性を内面化していかないと生き延びていけなかった。そういう時代だったんだよなぁと。

そして、その後のファシリテーターの言葉も、印象的でした。


オトコ達も、男性が少数派になるような環境に放り込まれなきゃね。
名刺をはく奪された時に、あなたはどういうパーソンなんですかって。

この言葉を聞いた時、私はまた、あるエピソードを思い出していました。
資生堂社長兼CEOの魚谷雅彦さんが、同じことを言っていたから。

◆3◆体験が変える「当たり前」~資生堂社長の話~

企業派遣で米ニューヨークにあるコロンビア大学のMBAコースに留学していた時のお話。ここで、多様性を体験した、という話。

・30を超える国から様々な学生がいたこと
・中には「山形弁」を話すアメリカ人もいたこと
・企業経営者を目指すためのMBAクラスのおよを40%の学生が女性であることにも、日本との違いを強烈に感じたこと

たった2年間でも、人の五感の体験によって作られる新たな知覚は大きな影響を受け、当たり前が当たり前ではなくなるようだ

日経新聞2020年9月14日「あすへの話題」

そう、多様性を理解するためには、多様性を理解せざるを得ない環境に身をおくことが一番。本当にその通りだと思います。

ちなみに、魚谷社長のこの「あすへの話題」に書かれてあるエッセイがとても印象的で、スクラップしてちょくちょく眺めております。


女性活躍には、色んな反論があるのも知っています。下駄はいているよね、という声もあるのも知っています。でもそれらの反論を知った上でもやはり、当事者に意見を反映させるためには管理職に一定数女性がいないと始まらないのではないかな、と思っています。そして、あらゆる人が生きやすいように、多様性が認められる世界になるといいな、そう思っています。


このセミナー、今日6/25(日)まで無料アーカイブ配信しています。

企業成長のカギは女性の健康
~ドラマ『エルピス』の佐野亜裕美プロデューサーも登壇!
女性が活躍できない組織はパラダイムシフトができない?~
無料配信はこちら

WOMAN EXPO 2023

メインテーマの詳細は、前回のnoteに書いたので、良ければご覧ください。


日経xwomanテラスにも書いています。
半分ほど削って、2,000字以内にしました!
アンバサダーやってます。
クリックしてもらえると嬉しいです。


<WOMN EXPO 2023まとめ>
◆1◆イベントレポ① →WOMAN EXPO 2023イベントレポ①
◆2◆イベントレポ②→「失敗したことがない」と断言する人の、失敗しないための仕組化が、とても参考になった話
◆3◆イベントレポ③→リーダーに学ぶ!自分らしく働く、キャリアの築き方のまとめ
◆4◆アーカイブ配信レポ①→「迷わない新NISA投資術」お金の話を面白くききたい人へ
◆5◆アーカイブ配信レポ②→京都の一流の毒の吐き手による、本心の伝え方
◆6◆アーカイブ配信レポ③→「健康なくしては仕事も出来ないし、活躍も出来ない」ヘルスリテラシーの大切さ
◆7◆アーカイブ配信レポ④→「異次元の少子化」ってさ、本当に違う次元でやらないでよ。こっちの次元でやってよ!


(3,839字)

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