何者でもないこと、『都会』の孤独
私は何者でもない。
うっかりいい大学を出てしまったから、身近、というほどではなくても、知り合いの知り合いくらいには、すでに「何者か」になりつつある人たちが存在している。そして彼らの顔は大きい。
反して私は本当に何もない(顔は物理的に大きいけれど)。大学院を出て1年は、何者かへの道の続きを歩いていた。しばらくしてコロナ禍が始まった。関係あるのかわからないけれど、それから私は、「何者か」へつながる道を一つずつ絶ってきたように思う。研究も。勉強も。読むことも、書くことも、話す