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今日も、読書。 |思い切り笑える本、お気に入りのシャツたち
2022.3.20 Sun
カラ兄:上巻 372ページ
笑うことは、幸せなことだ。笑顔でいることは、それだけで日々を豊かにしてくれる。
そして、声に出して笑うことは、とても気持ちがいい。些細なストレスなど、どこかに吹き飛んでしまう。私は家で思い切り大笑いすることが好きで、お笑い芸人のネタ番組や、YouTubeチャンネルをよく観ている。最近は、さらば春の光のYouTube動画を観て、笑い転げている。
皆さんは、「笑える本」と聞いて、どんな作品を思い浮かべるだろうか。
「笑える本」と銘打って販売されている本は、世の中に数多くある。しかし、本当に声に出して笑えるような本は、実はごくわずかだと思う。心の中で笑ったり、少しにやけたりすることはあるけれど、思わず笑い声が漏れてしまった、という本は実は滅多にない。
しかし、滅多にないとはいっても、全く無いわけではない。そこで、私がこれまで読んできた本の中で、自然と声に出して笑ってしまったものを、いくつか紹介したい。読書で思いっきり笑って、嫌なことを忘れたいという方は、ぜひチェックしてみていただきたい。
まずは、山本ゆりさんの「syunkon日記」シリーズ。「クリームシチュウはごはんに合うか否かなど」「スターバックスで普通のコーヒーを頼む人を尊敬する件」だ。
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山本ゆりさんは料理コラムニストで、レシピ本をたくさん出版されている。本書は、そんな山本さんの人気ブログから、選りすぐりの記事を集めたエッセイ集だ。
どの記事も、とにかくテンポよく笑える。大阪出身の山本さんの語り口そのまま、関西弁でバシバシツッコミまくる。自分が書いた文章に対して、(なんでやねん)みたいに()を使って自分でツッコむ手法は、革命だと思う。
思わず「そうそう!」と共感してしまう日常のあるあるが取り上げられていて、きっと誰でも楽しめる。そして、何も考えずに笑える文章の中に、たまに心に響く言葉が添えられていたりする。日常生活に疲れたときに読むと、ふっと心が軽くなる。
2022.3.21 Mon
カラ兄:上巻 372ページ
笑える本といえばもうひとつ、さくらももこさんのエッセイもおすすめだ。
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さくらももこさんは、言わずと知れた、「ちびまる子ちゃん」の作者。漫画だけでなく、「もものかんづめ」から始まるエッセイもめちゃくちゃ面白い。一体どうしたらこんな面白い人生が送れるのだろうと、不思議に思うくらいだ。
さくらももこさんの日常を面白おかしく切り取る視点と、独特なワードセンス。そして父ヒロシをはじめとする、個性豊かな登場人物たち。どのエッセイもシュールな笑いに満ちていて、心を空っぽにして楽しめる。随所に散りばめられた、さくらさん直筆のイラストも可愛い。
今回ご紹介したふたつの作品に共通しているのは、どちらも、著者のありのままの姿が、赤裸々に語られているところだ。お笑い芸人にも通じるが、人を笑わせるためには、素の自分を包み隠さずさらけ出すことが条件なのかもしれない。それにしても、水虫や痔の治療とか、飲尿療法の話とか、よく書けるな……と思う。
もうひとつ共通することは、笑いの中にほっこりとした感動があることだ。特に家族とのエピソードの中には、油断すると涙がこぼれそうになるような、心温まるお話が多い。彼女たちのエッセイを読んでいると、人生って、笑いあり涙ありのひとつの物語なのだなと実感する。
2022.3.22 Tue
227日目。
カラ兄:上巻 418ページ
村上春樹さんの長編小説、『アフターダーク』を読む。
語りが独特で、一般的な3人称視点の小説よりも、さらに「神の視点」を意識するような語り口になっている。3人称視点なのだけれど、語りが、あたかもひとりの登場人物として存在しているかのような感じだ。読み手はその語りに導かれるように、物語を追っていく。
まるで小さな箱庭の中を覗き込んでいるかのような、不思議な浮遊感があった。あるいは、3Dモデリングで設計した小さな部屋の中で、ミニチュアの人々が動いているのを、外から眺めているような感覚だった。村上さん、こんな小説も書いていたのだな……今までの長編とは毛色が違って面白かった。
次は、いよいよ『ねじまき鳥クロニクル』を読む。村上春樹作品の大ファンで、「やれやれ」について大学の卒業論文を書いた友人が、最も好きだと太鼓判を押す本作。めちゃめちゃ楽しみだ。
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2022.3.23 Wed
228日目。
カラ兄:上巻 457ページ
下北沢のfuzkueというカフェへ行く。
fuzkueは、柿内さんの『プルーストを読む生活』を読んでから、一度是非行ってみたいと思っていた場所だった。本書の中で柿内さんは、本を集中してじっくり読みたいという時に、fuzkueに行っていた。
Webサイトをご覧いただくと分かるが、とにかく本を読むことに特化したカフェなのだ。
下北沢のBONUS TRACKというスペースの一角にあるfuzkueは、外の喧騒とは対照的な、ゆったりとした静寂の時が流れていた。階段の下の隠れ家のような席に着き、ただただ本を読む。注文したアイスコーヒーとチーズケーキは絶品。評判通り、読書に物凄く集中することができた。
その理由は、聴覚にあるのではないかと思う。店内で耳に入ってくる音が、読書への集中に適しているのだ。店内BGMとして流れる、ゆったりした音楽。かすかに聞こえる、外の人々の話し声。隣の人が本を捲る音。fuzkueで聞こえてくる音は、読書を妨げない、でも心地良さを感じるギリギリのバランスだった。
視覚も良かった。読書に適した、ちょうどよい塩梅の照明。自分の机の上の空間だけが、ぽっとまるく灯されていて、暗闇の中にぼんやりと本が浮かび上がってくるようだった。周囲が暗いおかげで、目の前の本に集中できる。
何時間でもいられるし、何度でも行きたくなる。読書好きには、これ以上なく心地良い空間だった。
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2022.3.24 Thu
229日目。
カラ兄:上巻 490ページ
元村有希子さんの『科学のミカタ』という本を読む。無印良品の紙袋のような、シンプルなデザインの装丁に惹かれた。
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著者元村さんは毎日新聞科学環境部勤務。長年の取材を通して得た科学の知見が、数多く紹介されている。
テーマは多岐に渡り、気象、宇宙、AI、生物多様性、自然災害——と、非常に網羅生が高い。どのテーマも科学者の目線ではなく、取材する記者の目から紹介されているので、文系の私でも読みやすかった。「ポケットに科学を。」そんなキャッチフレーズが頭に浮かぶ、人に科学を好きになるきっかけを与えてくれるような、そんな本だった。
一方で、考慮しなければならない情報があまりにも多くて、読んでいて疲れもした。地球温暖化も、生物多様性も、災害対策も、間違いなく、問題意識を持って取り組むべき課題だ。分かってはいるが、その全てを、何もかも完璧にこなすというのは、相当に難しい。幅広いテーマが語られているからこそ、その全てについて全力で考えようとすると、頭がパンクしそうになる。
そう考えると、新聞記者はすごい。担当のジャンルによる違いはあるだろうが、これだけ膨大な量の情報に、日々仕事で触れているのだ。私の脳の処理能力では、とてもじゃないが追いつかない。情報を次々とさばいていく、技術と思い切りの良さが必要だろう。
世の中、突き詰めていくと、考慮しなければいけないことだらけだ。環境問題、戦争、政治、経済、無視していいことなんてひとつもないけれど、ある程度は無視しないとやっていけないことも事実だと思う。
でも、こういう『科学のミカタ』のような本を読んで、世の中にはこういう問題があるのだと、知っておくことは大事だ。そのうえで、良い意味で情報を切り捨てていく、思い切りの良さを持ち続けたい。
2022.3.25 Fri
230日目。
カラ兄:上巻 490ページ
服の衣替えをした。ようやく暖かい日が続くようになってきて、これも良い機会だと、今シーズンほとんど着なかった冬物を断捨離する。
私が所持している服のほとんどは、大学時代、ファッションに興味があった1年間で買い集めたものだ。社会人になってから買った服は、全体の1割にも満たないだろう。すっかりファッションへの関心を失ってしまったと、少し寂しい気持ちになる。
当時から、服を買うときは、できるだけ長く使えるように、飽きのこないシンプルなデザインのものを選んできた。だからこそ、服をわざわざ買い替えてこなかったという経緯もある。しかし、やはり社会人になって、良くも悪くも落ち着いて来ると、当時は好きだった服でも、今はあんまり…というものが出てきてしまう。
名残惜しさはあるが、心がときめかなくなってしまった服は、まとめて売却することにした。断捨離を始めてみると、驚いたことに、どんどん手放すべき服が出てくる。最終的に、服の総量が半分になってしまった。この思い切りの良さはなんなのだろう。本の断捨離をした時の優柔不断さとは、えらい違いである。
最後に、お気に入りの服紹介などをしてみる。
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私はとにかく、シャツを着る。
シャツが好きすぎて、気がつけば色々な素材、カラー、デザインのシャツが集まっていた。どれも2~3年以上着続けている、愛着のあるシャツたちだ。
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断捨離を終えた後、久しぶりにシャツを買いたくなり、2着お迎えした。ようこそ我が家へ、これからよろしく。
2022.3.26 Sat
カラ兄:上巻 504ページ
国立新美術館へ「ダミアン・ハースト 桜」という展示を観に行く。
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ダミアン・ハーストさんは、イギリスの現代美術家。"Natural History"と呼ばれる、死んだ動物をまるまるホルマリン漬けにした作品や、「スポット・ペインティング」というカラフルなドット絵の作品が有名だ。
今回の作品群のテーマは「桜」。彼の長年のキャリアの到達点として、桜の木の広がりを無数の点で、色彩豊かでダイナミックに描いている。
展示室に足を踏み入れると、白を基調とした、大きな空間が広がっていた。天井が高く、作品と作品の感覚も広い。開放感があり、気持ちの良い展示室だ。
巨大なカンバスに、無数の色が重ねられ、桜が表現されている。白やピンク、青だけでなく、本物の桜にはない、一見すると不自然な色も使用されている。だが、その色遣いによってむしろ、本物の桜に近い、自然の無秩序さのようなものが表現されている。
描かれている桜はどれも、バランスが取れているように見えて、乱雑でもある。パターン化されがちな絵画を、あえて崩し、自然を描くことの難しさを、乗り越えた先にある作品だと感じる。
ダミアンさんは、筆を振って油絵具を飛ばすことで不規則性を出すなど、一見適当にドットを描いているように見えて、緻密な計算のもとに作品を作り上げている。彼の自然を描くことに対する模索は、25分近くに及ぶ壮大なドキュメンタリーフィルムに収められている。
展示の仕方が、ものすごく良かった。本当に桜の木の下に立っているかのような、迫力と臨場感。これは、狭い展示室では、そして過度な装飾のある展示室では、表現できない。美術展は、作品だけでなく展示の環境も含めて完成するものなのだと、実感した。
私は作品と作品の間、白い余白の中にも、桜の枝枝が広がり、色鮮やかな花が咲いているのを感じた。本物の木の力強さや、どこまでも続く広がりが、会場全体に感じられた。とにかくすごかった。
美術館で、お花見。大人数で集まれないこのご時世、ぜひ観に行ってみてはいかがだろうか。
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