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今日も、読書。 |十二国記を読む一週間、初めての読書会

2021.12.12 Sun

人生初の読書会は、とても¹⁰楽しかった。

本が好きな人たちと、本の話をすることは、やっぱり楽しかった。私は誰かと本の話をすることに対し苦手意識があって、それはおそらく、聞き手に気を遣わせてしまっていると感じるからだった。普段本を読まない人にとっては、書名や著者名を聞いても、こういう内容で面白いよと聞いても、ピンと来ないことが多いだろう。よく知らない本について、特別な関心はない中で聞いてもらっている、という感覚。実際はそんなことなくて、たぶん私の勝手な思い込みだが、どうしてもそういう妄想が捨てられず、私は本の話をすることが苦手だった。

勇気を出して参加した今日の読書会では、当たり前だが参加者全員が本好きで、聞き手に気を遣わせているあの感覚が、一切なかった。もちろん知らない書名や著者名はどんどん出てくるが、それをお互い暗黙のうちに了解しているため、気兼ねなく、好きな作品について語ることができる。これは自分にとって嬉しい発見で、本について好きなように語れる場が存在していたのだということに、安心した。今回参加させていただいた読書会には、またぜひ参加したいと思う。



2021.12.13 Mon

165日目。
十二国記を読んでいる。阿選が謀反を起こし戴国を支配したものの、民のための政は行われず、各地は荒廃の一途を辿る。泰麒は阿選のいる白圭宮に乗り込むが、そこには異様な気配が漂っていて……。

驍宗は何処にいるのか。阿選はなぜ政を行わないのか。どうも阿選の謀反はただの謀反ではなく、何か隠された事情があるように思える、とミステリ的に読んでいる。



2021.12.14 Tue

166日目。
十二国記を読む。『白銀の墟 玄の月』第2巻を読む。

民の敵として描かれてきた、土匪の暮らしや戦いがクローズアップされる。窃盗、略奪という悪事を働く彼らにも、彼らなりの事情と正義がある。彼らの行為に賛同はできないが、一面を理解することはできる。

主人公的な立ち位置の武人・李斎も、本来土匪と敵対する立場でありながら、彼らの生活や意思を汲み取ろうとする。このような歩み寄りができる武人は、敵対勢力を一掃する力を持つ武人よりも、実は強い。

身分によって、取るべき立場や行動は自ずと異なる。しかし、少なくともひとつ、全員に共通して言えることが、王座が空位の、現状のままではいけないということだった。先がどうなるのか気になり、本を読む手が止まらない。



2021.12.15 Wed

167日目。
十二国記。戴国の中枢、白圭宮は腐敗している。阿選は奥に引き篭もり、高官たちは一枚岩になることができない。責任の所在が不透明で、命令は下に伝われば伝わるほど曖昧に、目的の知れないものになる。朝令暮改は日常茶飯事。これが会社だったら、最悪の労働環境である。高官たちが腐るのも頷ける。

腐敗しているのは民も同じ。王の不在により荒廃した戴国では、私利私欲に塗れた悪事が蔓延る。彼らは生活のため、愛する人のため、悪事に手を染める。黒い霧に包まれて先行きの見えない生活の中で、もがき苦しみながら、光が差すのをじっと待っている。



2021.12.16 Thu

168日目。
さくらももこさんのエッセイが好きで、『さるのこしかけ』を読んだ。『もものかんづめ』といい、まずタイトルが可愛い。頁を繰ってみれば、おかしなことばかり起こるももこさんの日常に笑い、そして、じんわりと温かい感動に浸る。

ももこさんのような、自分らしい、伸び伸びとした文章が書けるようになりたい。ももこさんのエッセイは、自分の言葉で自分のために書く日記的文章と、他人に喜ばれる言葉で他人のために書く文章とのバランスが絶妙だと感じる。



2021.12.17 Fri

169日目。
久しぶりにミステリを読んでいる。深水黎一郎さんの『最後のトリック』。

メフィスト賞受賞作の『ウルチモ・トルッコ』をずっと読みたいと思っていて、BOOKOFFなどで文庫本を探し回る日々だったが、『最後のトリック』に改題されていることを最近知った。『最後のトリック』だったら、今まで何回もスルーしてきたわ…となり、イタリア語を大学で勉強してきたのになぜ気付けなかったのか…となった。まあ、出会えたのだからよしとする。

面白い設定で、引き込まれる。私は作中に小説が出てくる小説が好きだ。私が読んでいる文章を、作中の登場人物も読んでいるという構造。四方が鏡の部屋の中で、どこまでも自分の姿が続いていくあの感覚になる。

「最後のトリック」が何なのか、この小説の主人公と同様気になって仕方ない辺り、私はやはりミステリが好きなのだと感じる。

今のところ、死人は出ていない。どのように物語が進んでいくのか、展開の予想がつかず楽しみである。



2021.12.18 Sat

『最後のトリック』は良い。ぜひ読んでほしい。私が昨日書いた文章には、誤りがあった。読んでいる途中で書いた文章だから仕方ないが、まさかあんな展開になるとは……。

時々、これはじっくり丁寧に読まないといけないな、という本に出会う。

私は普段、本を速読する。速読と言うと聞こえはいいが、要するに読み方が雑なのだ。読みづらいな、と思う箇所があれば、読み飛ばすとまでいかないが、目で文字だけ追って読んでいない、ということはよくある。これではいけないと思うが、速読はすっかり私の読書スタイルとして定着してしまっている。

それでもたまに、これは速読してはいけないな、と思える本に出会う。そういう本は大抵、最初の数ページを読んだだけで、わかる。本に印刷されている文字を一言一句読み飛ばしてはいけない、雑な読み方をしてはいけないと感じ、隅から隅まで本の内容を吸収しようと試みる。

三浦綾子さんの『塩狩峠』を読み始めたところで、私はそれを感じた。じっくりと腰を据えて、この小説と向き合う必要がある。そう思わせる力が、『塩狩峠』の冒頭にはあった。



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