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これから太宰治を読みたい人へ 〜「太宰治全部読む」を終えて〜

これから太宰治を読みたい人へ 〜「太宰治全部読む」を終えて〜

私は、太宰治の作品を全部読むことにした。

太宰治を全部読むと、人はどのような感情を抱くのか。身をもって確かめることにした。

前回の『地図 初期作品集』をもって、これまで約1年半にわたり続けてきた「太宰治全部読む」が、めでたく最終回を迎えた。

今回は、企画の締めくくりとして、これまでの「太宰治全部読む」の取り組みを総括してみたい。

太宰作品をひたすら読み続けた結果、私は何を思ったのか。

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#18 太宰治全部読む |遂に最終回!作家太宰の誕生前夜

#18 太宰治全部読む |遂に最終回!作家太宰の誕生前夜

私は、太宰治の作品を全部読むことにした。

太宰治を全部読むと、人はどのような感情を抱くのか。身をもって確かめることにした。

前回の『ろまん燈籠』では、日中戦争・太平洋戦争が勃発した時代の短編を読み、太宰の「文学のために死ぬ覚悟」を感じ取った。

18回目の今回は、『地図 初期作品集』を読む。

これまで1年以上にわたって続けてきた「太宰治全部読む」も、遂に最終回。果たして最後に、どのような作品

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#14 太宰治全部読む |作家人生を横断する随想集

#14 太宰治全部読む |作家人生を横断する随想集

私は、太宰治の作品を全部読むことにした。

太宰治を全部読むと、人はどのような感情を抱くのか。身をもって確かめることにした。

前回の『きりぎりす』では、中期の女性告白体小説を中心に、”隠れた名盤”とも言うべき、興味深い短編を数多く読んだ。

14回目の今回は、『もの思う葦』を読む。

目次を開いて驚いたのだが、この『もの思う葦』、なんと49編もの作品が収録されている。一体どのような作品なのだろう

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#13 太宰治全部読む |これぞ”隠れた名盤”、女性の魂を宿して書く

#13 太宰治全部読む |これぞ”隠れた名盤”、女性の魂を宿して書く

私は、太宰治の作品を全部読むことにした。

太宰治を全部読むと、人はどのような感情を抱くのか。身をもって確かめることにした。

前回取り上げた『新ハムレット』では、西洋の古典やフォークロアを題材に、現代人の心情や、太宰の思想をブレンドした、新趣向の小説を読んだ。

第13回目の今回は、『きりぎりす』という短編集を読む。キリギリスといえば、バッタ目の昆虫の名前だが……果たして、どのような作品なのだろ

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#5 太宰治全部読む |ただ、普通でありたかった

#5 太宰治全部読む |ただ、普通でありたかった

私は、太宰治の作品を全部読むことにした。

太宰治を全部読むと、人はどのような感情を抱くのか。身をもって確かめることにした。

前回読んだ『津軽』は、太宰が生まれ故郷の津軽に帰郷し、産物や自然を享受し、友と語らいながら、生家との長年の断絶に区切りをつける、味わい深い紀行小説であった。

そして、太宰治全部読む、第5回にして真打登場。いよいよ『人間失格』だ。

太宰の代表作を挙げよと言われ、多くの人

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#3 太宰治全部読む |桜桃は死の色

#3 太宰治全部読む |桜桃は死の色

私は、太宰治の作品を全部読むことにした。

太宰治を全部読むと、人はどのような感情を抱くのか。身をもって確かめることにした。

前回読んだ『斜陽』では、没落貴族の女性の複雑な心情を自身に降ろす、太宰の”憑依力”が際立っていた。そして、太宰作品を読んでいると、私が書く文章もどことなく太宰調になってくるという、影響力の強さを感じた。

さて、今回取り上げるのは、太宰晩年の短編集。1冊目の『晩年』と比較

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