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「もしかしておばちゃん、あんたの自然の香りの方が、バラの香りよりも芳しいとでも思っているのかい。 いやいやちがうね、おばちゃん、それはちがうね」 2021/02/05

 金曜日がやってきた。とてもハッピー。目が覚めると、シューッという音が静かに聴こえてくる。今日も加湿器が朝まで稼働してくれているようだ。寝る前に寝室に加湿器をセットするので、夜更かしをすると、朝まで水がなくならないという仕組みだ。なので、眠い。

 この加湿器をしっかり使い始めてからもう3、4年経っている気がするけれど、おかげさまでインフルとも縁のない冬を過ごせているのでそれなりに効果があるのだと思う。小さな寝室だと、うまく加減しないと蒸し暑くなるのだけど、ほんのり暖かくなるのも冬にはとてもいい。

 コーヒーを淹れ、すすりながら、携帯を見てなんとなく今日の予定を確認して携帯を置く。今日は終日在宅だ。途中まで読んだ『地下鉄のザジ』を読んでのんびり過ごしたのち、そろそろ時間かと仕事を始める。

 仕事はイレギュラーなことが起きなければそこまで慌ただしくないのだけれど、今月は色々なことが起きるのでなかなか慌ただしく、今日も今日とて時間はあっという間に過ぎていき、それでもこれで1週間も終わりと思えば大抵のことは我慢できる。

 逆に1週間乗り越えて今週もちゃんと働いて偉かったなぁ、と勝手に自分を褒めつつ、夕飯は何かとって1週間を乗り切れたことを祝おうかという気分になりかけたのだけど、娘がカレーが食べたいと言っていたことを思い出すというか、そういうのを忘れられない性分なので、ラストスパートだとばかりに気合を入れてスーパーへ行き、キッチンに向かう。

 じゃがいも、豚肉(私はポークカレー派)、玉ねぎを、切って、鍋につっこみ、煮る。米を研いで、炊く。沸騰してきた鍋を見て何か物足りないことに気がついた。人参。人参のいない鍋はなんとも心許ないというか、沸騰しながらその欠落を訴えてくるような表情がそこにはあった、気がする。

 そういえば、ザジは何歳なのだろうか、長女と同じくらいだろうか、ググってみたら、10歳という設定らしいので、まぁ似たようなもんだった。ザジは何かと悪態をつく。「オケツぶー」って。いい響きだ、「オケツぶー」って。

 上司からあまりにも馬鹿げた事象に対する意見を求められると、わかりやすく、誤解を招かない、簡潔な表現を心がけるあまり「クソですね」ってついつい言ってしまうのだけど、これからは「オケツぶーです」って言った方がマイルドで文学的かもしれない。

「もしかしておばちゃん、あんたの自然の香りの方が、バラの香りよりも芳しいとでも思っているのかい。 いやいやちがうね、おばちゃん、それはちがうね」
レーモン・クノー『地下鉄のザジ』P.14

 このやりとりもじわじわ、いい。「いやいやちがうね、おばちゃん、それはちがうね」、いつか使いたい。

 ザジは学校の先生になりたいらしい。崇高な理念。

「じゃあどうしてなりたいんだい、先生に?」
「ガキどもをしめあげたいの」とザジが答えた。「十年後、二十年後、五十年後、百年後、千年後にもあたしと同じ年になるやつらがいるでしょう、いつだっていびり甲斐のある子供はいるのよ」
レーモン・クノー『地下鉄のザジ』P.26

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