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彼は僕たちと言うべきではないような気がした。わたしの知るかぎりでは、彼は何も失っていなかったのだから。 2020/10/05

 いろんなことが重なっていて慌ただしい月曜日に。

 マーガレット・アトウッド『侍女の物語』を少し読めた。女性が仕事も財産も奪われることになった日の、男性の無自覚さとそこからの関係性の変化も読んでいてヒリヒリする。

どうしたんだい?と彼は尋ねた。
わからないわ、とわたしは答えた。
僕たちにはまだ残っているじゃないか……と彼は言いかけた。でも、彼はまだ何が残っているのかを最後まで言わなかった。ふと、彼は僕たちと言うべきではないような気がした。わたしの知るかぎりでは、彼は何も失っていなかったのだから。
マーガレット・アトウッド『侍女の物語』P.334

 フェミニズム小説みたいに話題になっているのは知っていたけど、最近の作品なのかと思っていたら85年なのね。そして続編の『誓願』が34年後に刊行されて、先日めでたく翻訳された、と。そういうことなんだと今更理解した。世界には34年間待っていた人がいる。自分は、これが読み終わったらすぐに続きが読める。34年の歳月を吹っ飛ばしてしまえる訳で、なんだかちょっと申し訳ないような気もしつつ、すごいことだ。

自分の好きなことを表明すると、気の合う仲間が集まってくるらしい。とりあえず、読んでくれた人に感謝、スキ押してくれた人に大感謝、あなたのスキが次を書くモチベーションです。サポートはいわゆる投げ銭。noteの会員じゃなくてもできるらしい。そんな奇特な人には超大感謝&幸せを祈ります。