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第164話 龍穴と隧道

(りゅうけつとずいどう)


 ある日の夜、ドライヤーを終えてから水分を補給をしていると、お腹の中に赤い珠が浮かんでいるのがチラッと視えた。「おっ?」と思い、詳しく観察しようとした次の瞬間。金色の龍が、子宮の下の方からその珠をくわえて上がってきた。目と目が合った。

 あれ?この金龍、目がスサナル先生だ……。

 この赤い珠には見覚えがあった。以前埼玉県の氷川神社を詣でた際に、クシナダヒメからいただいていたものだ。
 あれから体内に仕舞ったきりその行方がわからなくなっていたと思ったら、こうして龍によって運ばれてきて、久しぶりにその存在を思い出した。
 そういえば、年明けに性被害の女の子に会ったあたりから、子宮の中に金龍の姿を時々見かけていたような気がする。何か関係があるのだろうか。

 そのまま少し内側を“掘って”いくと、いくつかの過去世がぽつりぽつりと出てきては消えていった。その中には、手を縛られ生きたまま海に捨てられて、鮫の餌になったなどという酷いものもあった。魔女裁判だったのかもしれない。
 それから過去世の周辺意識として、かつての恋人だった不動さんが、北欧時代の体躯を求めて現在も筋トレに勤しんでいることや、性犯罪の加害者の一人が現在進行形で地獄を味わっていることなどまでもが不思議と伝わってきた。今、肉体の私は確かにリビングの椅子に座ってはいても、その意識体はユラユラと、アカシックレコードの波の中を漂っているかのようだった。

 あ、こないだの般若だ。あの時の般若って、あれももしかして別の私?

 そんな自分のレコードの中には、例の般若のデータもあった。驚いたことに、あのセッションで地獄道という世界において制裁を与える存在だと思っていた赤い顔の般若もまた、私自身の別レイヤーだったということがわかった。つまり般若は、私の男性に対する怨念の権化そのものだったのだ。
 そしてそこから派生して、さらにこんな感情が浮かび上がった。

 女であるというだけで、性搾取されるし馬鹿にされるし虐げられる。生理も妊娠も出産もあって、身体でも生活でも損をしていて制約も多い。悔しい。女になど、生まれなければよかった……。

 そんな想いが出てきたというのに金龍の目はどこまでも優しく、その眼差しに慰められた。
 するといつだったか、スサナル先生から「もうすでに持っている。」と言われていた私の勾玉とはおそらくこの赤い珠のことだろうとの確信を得た。

 そしてその日の明け方、この“龍”が出てきたことで、それに対して“根底に嫉妬を湛えた存在”が再び姿を現した。

……

 夢の中で私は、バスに乗っていた。舗装されていない道なのかゴトゴトと座席は揺れたが、だからといって居心地の悪いものではなかった。
 あきらが幼稚園に入る前のママ友、あみちゃんとせいこさんとが次のバス停で待っている。降車して彼女たちに会いに行きたいと思っているのに、一方ではなんだかそうしてはいけない気がして、結局一人バスに乗り続けることを決意した。
 ハイヤーセルフから、いつものように会うことを止められたのだろう。

 終点まで行くと、残っている乗客は私一人きりだった。降り立ってから目の前を見ると、ゴツゴツとした岩肌に、人ひとり分の大きさの洞穴(ほらあな)があいていた。

 ついさっきまで、彼女たち二人を古い次元に置いてきたことに対して罪悪感を感じもしたけど、この洞窟を見た時にはなぜだか「それでよかったのだ」と思い、高次元の導きの正しさに安堵した。

 隧道の中は真っ暗で先が見えない。想念で松明(たいまつ)を作り出すと、それを片手にこの暗闇を突き進んでいく。
 そして気がつくと肩の上には、あのトカゲのぬいぐるみを纏ったレプティリアンの意識体がちょこんと載っていた。今回この子が仲間として同伴してくれることに、並々ならぬ心強さを感じた。

「行こう、トカゲ。」

 そうして奥の、固く閉ざされた扉の前までやってきた。  



(参考)

第62話 『豊穣の女神』

第154話 光の彼と三種の神器

written by ひみ

⭐︎⭐︎⭐︎

実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

⭐︎⭐︎⭐︎

あんなものに睨まれたらひとたまりもないと思っていた般若が、私だったとわかった時の衝撃!彼女は私でありつつ、本当に恐ろしい、根深い存在だったの。
それほどの重たく恐ろしい闇を抱えてよく生きてたなというか、よく生きてられたなと思います。

光と闇のどちらにしても、自分の4次元のキャパを感じるたびけーこと二人、「うちらよく肉体に収まってるよね。」と、当時話していました。

あのねー。ルシファー(ルシフェル)だけが堕天の代表みたいに思われてるけど、みんなそう。多くのマスターや天使だって闇を探求し、学び、統合して今がある。その人の目いっぱいを学ぶって決めて生まれているんです。
……ってなると、他人の人生にグチグチ言って囚われてる時間てもったいなくない?

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←今までのお話はこちら

→第165話 大きな臓物の部屋

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