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医療 製薬業界|10月の注目記事

クリニファー株式会社でインターンシップをしている大学院生のオダニと申します。
今回は10月の1か月間で、私が興味を持った注目記事を共有します。コメントやアドバイス等ありましたら、ぜひお願いいたします!

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ノーベル生理学・医学賞にmRNAワクチン技術 新型コロナに効果

日刊薬業(2023年10月3日) https://nk.jiho.jp/article/184343

2023年のノーベル生理学・医学賞に、mRNAワクチンの開発につながる基礎技術を開発したカタリン・カリコ教授と、ドリュー・ワイスマン教授が選ばれた。同氏らはmRNA投与後に起こる炎症反応を抑える技術を開発し、mRNAワクチン実用化への道筋を付けた。

mRNAを医薬品に利用するアイデアは約30年前から存在していましたが、コロナウイルスの世界的流行によりそのワクチン開発が急速に進展しました。mRNAを投与することで、体内で目的のタンパク質を合成し、治療することができるようになり、ワクチンだけでなく遺伝子疾患やがん治療薬への応用が期待されています。今後もmRNAを利用した医薬品の開発が加速し、これまで治らなかった病気が治る世界が訪れることを心待ちにしています。

第一三共 米メルクとADC3製品で戦略提携

日刊薬業(2023年10月20日)https://nk.jiho.jp/article/184795

第一三共は20日、独自の抗体薬物複合体(DXd-ADC)技術を用いた3製品について、米メルクと全世界での開発・商業化に関する契約を締結したと発表した。メルクが強みとするキイトルーダなどで培ったがん領域での豊富な経験、専門性、高い開発力に、第一三共のADC技術を組み合わせることで、「最も多くの新たな標準治療を創出できる」と考えている。

がん領域を重点領域に置く多くの企業が、ADC技術の開発に注力しているようです。ADC技術を搭載した医薬品の開発競争が激化している状況を踏まえ、第一三共はメルクを戦略的提携先に選びました。第一三共はメルクから最大で220億ドル(約3.3兆円)を受け取ることができます。
第一三共は2025年度にはがん領域での売上を9,000億円以上、総売上では2兆円を目標としていますが、この大型契約が順調に進めば達成できそうです(第一三共の企業分析はこちら)。総売上が2億円を超える企業へと成長すれば、国内では大塚HD、アステラス製薬を抜き、武田薬品工業に次ぐ2位となります。

沢井が不正、テプレノンカプセル溶出試験で

日刊薬業(2023年10月24日)https://nk.jiho.jp/article/184853

沢井製薬はテプレノンカプセル50mg「サワイ」の安定性モニタリングの溶出試験において不正があったことを認めた。カプセルから顆粒を取り出し、別の新しいカプセルに薬剤を詰め替えて合否判定を行う不適切な試験が2015年以降、実施されていた。

日医工の品質問題による後発医薬品258品目の販売中止に加え、ジェネリック業界最大手の沢井製薬の不正も発覚しました(関連記事はこちら)。今回の不正により工場が止まってしまうと医薬品の供給問題がさらに悪化してしまう恐れがあります。また、医薬品を病院や薬局に届ける医薬品卸業界にも影響を及ぼすと考えられます。
ジェネリック医薬品業界全体の信頼回復に向けた取り組みが求められます。

塩野義 「特別早期退職」に301人応募 募集の1.5倍

日刊薬業(2023年10月31日)https://nk.jiho.jp/article/185046

塩野義製薬が実施した特別早期退職プログラムへの応募者数は301人にのぼり、予定の200人の1.5倍となった。これに対し、手代木社長は「想定の範囲内」とし、これからは海外事業の更なる拡大を目指していく上で、それが可能な人材を中心に採用していきたいと強調した。

塩野義製薬は中期経営計画で「感染症領域を中心としたグローバルでの成長」や「新規事業の確立・成長」などの事業変革を定めており、ロイヤリティ収入を除く海外売上高の成長を目標として掲げています(塩野義製薬の企業分析はこちら)。この目標達成に向けて今回、特別早期退職プログラムを実施したと考えられます。プログラムに応募した301人中200人弱が50歳以上のMRで、来年度は新入社員をベースに営業担当者を増やす方針のようです。MR不要論も囁かれる中、デジタルツールを活用でき、英語も話せるMRが重宝される時代になっていると考えられます。

【4~9月期】住友ファーマ、52.2%減収 計画より赤字拡大

日刊薬業(2023年10月31日)https://nk.jiho.jp/article/185042

住友ファーマが10月31日に発表した2023年4~9月期連結決算によると、売上高は前年同期と比較して52.2%の減少となった。米国での非定型抗精神薬「ラツーダ」の独占販売期間の終了の影響が大きい。また、上期のコア営業損失が658億円で、期初計画の478億円の損失から赤字幅が拡大した。

住友ファーマはラツーダクリフによる経営悪化が続いています。ラツーダを超えるブロックバスターになると期待していた、大塚製薬との共同開発品「ulotaront」は統合失調症を対象とした米国での第3相臨床試験で主要評価項目を達成できませんでした。また、住友ファーマは再生・細胞医療やDX推進に力を注いでいます(関連記事はこちら)が、再生・細胞医薬事業やDX化の成果はすぐに出るものではないと考えられ、業績回復や同社のさらなる成長にはまだ時間がかかりそうです。

【4~9月期】塩野義 売上高・各利益とも過去最高 ゾコーバ浸透で

日刊薬業(2023年10月31日)https://nk.jiho.jp/article/185054

塩野義製薬が10月31日に発表した2023年4~9月期連結決算によると、売上高と各段階の利益が過去最高値を更新した。新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」を中心に、国内医療用医薬品の売上高が大きく伸長したことが要因。

ゾコーバの予想を上回る市場浸透と、継続的な流行に伴うゾフルーザなどインフルエンザファミリーの販売拡大が塩野義製薬の成長を後押ししていると考えられます。ただ、政府はCOVID-19治療薬について、10月以降は9000円を上限に一部自己負担とする対応に改めたため、「ゾコーバ」の売上は落ち着くと考えられます。実際、9月末ごろのゾコーバを含めた3つの経口剤(ゾコーバ、ラゲブリオ、パキロビッド)の処方率は20%超だったのに対し、10月末ごろの段階では12~13%程度に下落しているようです。ゾコーバの更なる浸透のための取り組みが必要だと感じました(ゾコーバはコロナ感染後の後遺症発現リスクを低下させる可能性があります。関連記事はこちら)。


今後も皆様に医療・医薬品業界のニュースをお届けするため、毎週記事を投稿にして参ります。
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