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理学療法士・作業療法士として、医療ITベンチャーで働くってどんな感じ? #mediVRの裏側

理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の就職先といえば、医療機関や福祉施設などが一般的です。でも、「子育てや介護がしやすい職場で働きたい」「これまで培ってきた経験をもっと広く社会に役立てたい」といった理由から、新しい働き方を模索している方も多いのではないでしょうか。

株式会社mediVRでセラピストとして働く村川唯、田丸麻子も、介護老人保健施設からの転職組。民間企業で、しかもベンチャーで働くセラピストって、なかなか珍しいはず。「転職に不安はなかった?」「実際に働いてみてどう?」などなど、ぶっちゃけベースで語ってもらいました。民間企業への転職を考えているセラピストのみなさまの参考になれば幸いです!

村川唯(むらかわ・ゆい):作業療法士  ※トップ写真左
愛媛県生まれ。2010年大阪府立大学総合リハビリテーション学部卒。兵庫県立リハビリテーション中央病院で4年勤務した後、医療法人愛仁会介護老人保健施設ひまわりで7年勤務。2021年4月mediVR入社。おもに導入施設へのオンラインフォローを担当している。作業療法士臨床経験12年目。

田丸麻子(たまる・あさこ):理学療法士
 ※トップ写真右
大阪府生まれ。2009年大阪医専理学療法学科卒。社会医療法人愛仁会関連の総合病院や介護老人保健施設での勤務を経て2017年より同法人 介護老人保健施設ひまわりで勤務。2021年4月mediVR入社。導入を検討している施設へのデモンストレーションや、導入後のオンライン/オフラインでのフォローを担当している。理学療法士臨床経験12年目。

土日祝日休みじゃないと、子どもの学校行事に出られない


mediVRは、VRを活用したリハビリテーション用医療機器「mediVRカグラ」を販売する医療ITベンチャーです。医師の原正彦が臨床現場での経験をもとに機器を開発し、2016年に大阪大学発ベンチャーとしてスタート。カグラは現在、全国の大学や病院、高齢者介護施設などで使っていただいています。

村川・田丸の仕事は、導入施設に対し、カグラの効果的な使い方やリハビリにおけるコツを伝えること。導入先のセラピストや介護職員の方々がリハビリをする現場にオンライン/オフラインで立ち会い、患者さんの動きの変化や課題設定について伝えています。

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————転職前はどんな仕事をしていましたか?

田丸:ふたりとも同じ介護老人保健施設で、私は理学療法士として、村川さんは作業療法士として働いていました。

————転職した理由は?

田丸:12年間同一法人内で働くなかで、もっとスキルアップしたいなという気持ちが強くなっていたんです。それと、中3、小2、4歳の子どもがいるんですが、休みの調整をするのが難しくて。土曜日は出勤だったので、学校行事に参加できないことも多く、土日祝日休みでいいところないかなと思っていました。

そうしたら、村川さんの旦那さんが勤めている会社でセラピストを探しているって聞いて、「じゃあ!」って手を挙げました。

村川:主人も作業療法士で、2年前からmediVRで働いているんです。セラピスト部門をもっと強化したいので人を募集していると聞いて、転職することにしました。最初は「夫婦で同じ職場って嫌だな」って思っていたんですけど、ケンカもしながら一緒に働いています(笑)。子どもが5歳と2歳で、同じ職場だと融通が利くのがいいですね。

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————現在はどんな働き方を?

村川:いまは9時から16時までの時短勤務で、主にZoomなどのオンラインツールを使ったフォローを担当しています。オフィスに出勤しても、自宅で仕事をしてもいいことになっているので、子どもを見ながらミーティングに参加したりしています。

田丸:私は8時半から17時半までの勤務時間で基本は出社しているんですが、導入先との予定が入っていなければ、家のことをやってからゆっくり出社してもいいし、早く帰ってもいいと言われています。三者面談があるから昼で帰って、その後は自宅で仕事したり。以前の職場では前々から「すみません、この日有給ください」とお願いして同僚と休みを調整しないといけなかったから、最初は「本当にこんなに自由にしていいのかな」と不安でした(笑)。

でも、原先生は「やることやっていれば自由にしていいから」と言ってくれるので、それに甘えています。子どもと過ごす時間が増えて、働きやすくなりました。

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————会社の雰囲気はどんな感じですか?

田丸:明るくて自由ですね。ほかの人が大事な会議をしているときにスルメ食べていても怒られないし、「なんかいい匂いする!」ってみんな集まってきて食べはじめたり(笑)。

村川:仲がいいし、楽しいよね。原先生も暇なときはみんなに話しかけて、仕事の邪魔をしてきます(笑)。

田丸:仕事に必要なものをバンバン支給してくれるところも特徴かな? 自宅用のパソコンにiPhoneにWi-Fi、スピーカーにAirPods Proとあらゆるものが支給されて、至れり尽くせりです。AirPods Proなんて自分では絶対買おうと思わないけど、原先生が使ってめちゃめちゃ良かったからって、みんなに配っていて。

村川:ノイズキャンセリング機能があるから、外からウェブ会議に参加するときも聞き取りやすくて助かっています。

田丸:あと、昼食時はごはんとお味噌汁が食べ放題なんですよ。25歳のマッチョ系男性スタッフが持ってきたお弁当を見て、原先生が「それじゃ足りないでしょ、もっと食べなよ」って、炊飯器とお米をオフィスに用意してくれて。私が毎日人数分炊いて、おかずは各々用意して食べています。

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「現状維持」が基本だった老健とは違って、患者さんがどんどん良くなっていく

————仕事のどこに魅力を感じていますか?

田丸:患者さんが良くなる様子が見られるところですね。日々、「こうやったらこう変わるんだ」という面白さがあります。

村川:見るからに良くなるところがすごいですよね。3日前は真横に腕を伸ばす動作ができなかった方が今日はできるようになっていて、「すごい、空間認知も身体動作も上がっている!」と驚いたり。感動でしかないです。

カグラのリハビリは、仮想空間上の狙った位置に手を伸ばす動作を繰り返すことで、姿勢バランスや二重課題型の認知処理機能を鍛えるというもの。手を伸ばす距離や方向性を定量的に指示し、達成度合いを定量的に評価することが可能です。

(ここでmediVR代表の原先生がインタビューに乱入しました)

原:ふたりとも現場での経験が十分にあるから、通常のリハビリで患者さんがどう変化していくか予測がついているんですよね。その予測をぶち抜いて良くなっていくから、驚くのだと思います。

田丸:老健では現状維持が中心で、良くなっていくことって少なかったんです。それがいまは、毎日「この人がこんなに回復するなんて!」という驚きの連続です。

手足も動かないし声かけしても反応がないし、これまでだったら身体の硬さを取るので精一杯だっただろうな、と思うような患者さんが、VRゴーグルをかけると明らかに対象を目で追っていたり、手がぴくっと動いたり、表情がゆるんだり。「時間はかかるかもしれないけど、続けていけばリーチング動作ができるようになるだろうな」と希望が持てます。そういう姿が見られるのが、セラピストとしては一番の喜びですね。

原先生:このふたりは患者さんが良くなることを本当に大事にしているし、患者さんのことを良く見て、患者さんの視点に立って考えることができるんですよ。だから、患者さんへの身体負荷や声かけのセンスも抜群なんです。カグラの使い方も、1〜2か月でマスターしてくれました。

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田丸:原先生が私たちを褒めるときは8割盛っていると思ってください(笑)。

原:全部事実ですよ~(汗)! 僕は立場や経験や年齢を問わず、できている人は評価するし、できていない人にはできていないことを指摘しますから(笑)。

現場を離れて、かえって患者さん一人ひとりの動きをじっくり見られるようになった

————今後、「mediVRにこうなってほしい」と期待することや展望はありますか?

村川:原先生に怒られちゃうかもしれないけど、会社にどうなってほしいとか、カグラが何台売れてほしいとか、そういうことは考えてなくて。ただ、カグラが普及することで、良くなる患者さんが増えるならうれしいです。

田丸:患者さんのQOLが上がること、患者さん自身が「良くなった、うれしい」と感じられること。それに尽きますね。

————mediVRへの転職を考えている人に向けて何か伝えたいことはありますか?

村川:なんだろうな……でも、患者さんは本当に良くなるから、「良くしたい」と思っている方と一緒に働きたいです。

田丸:勉強にもなりますよね。もともと私は勉強嫌いで、ずっと感覚だけで生きてきたんです。でも、mediVRに転職して自分を振り返ったときに、「やってきたことは間違っていなかったな」と自信が持てたり、「自分がもっと頑張れば患者さんはさらにこれだけ良くなるんだ」という気づきがあったりして、すごく勉強になりました。自分のためになるし、それを患者さんにも返せることにやりがいを感じています。

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————どういう部分に対して「間違っていなかったな」と感じたんですか?

田丸:周囲の理学療法士が論文を書いたり学会で発表したりするなかで、私はそういうことをしてこなかったし、老健ではなかなか患者さんの変化が見られなかったこともあって、「PTとしてこれでいいのかな?」「本当に患者さんの役に立てているのかな?」と不安だったんです。

でも、mediVRに入ってからは、患者さんがどんどん良くなっていく姿を日常的に見るようになって。最初は「カグラがすごいだけ」と思っていたけど、原先生や周りのスタッフが「患者さんの観察や動作分析が十分にできていないとその介入はできないよ」とすごく褒めてくれることもあって、「ちゃんと患者さんの動きを見て、動作を分析する力が私にもあるんだ」と思えるようになったんです。それは自分の中で、大きな変化でした。

村川:言い訳になってしまうけど、老健は本当に忙しくて、患者さんのことをじっくり見たり、じっくり動きを評価したりする時間が十分にはありませんでした。いまは、自分の患者さんというわけではないですけど、きちんと一人ひとりと向き合って、振り返ることができる。それがすごくうれしいですね。

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村川:あと、セラピストって世界が狭くなりがちというか、自分が勤める病院や施設以外の人と話す機会が少ないんですよね。ここでは、原先生だったり、営業さんだったり、事務の方だったり、いろんな方とコミュニケーションが取れるんです。セラピストとしてだけじゃなく、自分の人生として考えても、いい経験ができているなって思います。

田丸:ほかのところに勤めているセラピストと接するのも刺激を受けますよね。「こんな病院があるんだ」「こんな体制でリハビリをやっているんだ」と、日々出会いや気づきがあって、楽しいです。そういうことを求めている人には、おすすめしたいですね。

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(インタビューここまで)

2021年7月現在、16人が働くmediVR。新しいメンバーを常時募集中です。mediVRで働くことに興味がある人は、ぜひお問合せいただければ幸いです!

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■株式会社mediVR
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(執筆:飛田恵美子 撮影:山中陽平)


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