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【阪神淡路大震災】新聞奨学生の頃の忘れられない早朝の衝撃

私は専門学校時代、新聞奨学生をしていました。学校に通いながら、毎日、朝夕刊を配達して、給付型奨学金を貰って学業と仕事を両立していました。

1995年(平成7年)、朝刊配達ももうすぐ終わる頃、50ccのバイクのカブに乗って下り坂を通行していると、突然、ハンドルがグラグラと揺れ始めました。
以前、走行中に前輪が突然パンクをしたことがあり、同じような感覚でした。

バイクを降りて前輪を見て触ってみると空気は充分に入っていて、パンクをしていませんでした。念の為後輪も確認してみると、何の異常もありませんでした。

「さっきのは何だったのかな?」と思いながら、配達を続けました。私の配達担当エリアは、住宅街でした。
まだ日の出の時間帯ではなく外は真っ暗でしたが、外に何人か出ていました。それも、ほとんどの人が寝間着に何か上着を羽織った状態でした。

「いつもはこんな時間帯に外にいるのは、私達新聞配達をしている人かジョギングをしている人達なのに、なぜ外に出ているんだろう?」と、不思議に感じました。

配達を終え店に戻ると、先輩が作業場のテレビをずっと見ていました。「何を見ているのですか?」と聞くと、「神戸の辺りで大地震があったみたいだ。さっき大きな揺れを感じなかったか?」と言われました。

テレビを見ていると、神戸の様子が映されていました。まるで廃墟と化したかのような風景でした。映画や特撮モノの作品で見たことのある風景と遜色なく思いました。

チャンネルを変えると、どのテレビ局も地震速報を続けていました。被害の様子が次々と発表されていきます。「こんな事が実際に起こるんだ」と、信じられない心境になりました。
私が居た所は神戸と同じ関西だったので、神戸ほどではありませんでしたが、大きな揺れだったようです。

先輩は先に配達を終え、店で後片付けをしていたそうです。地震が発生してから自室に行ってみると、本棚の本が沢山落ちていたそうです。
私も自室に戻ってみると、先輩と同様、本が落ちていました。そして、固定していたテレビ台が移動していました。

この頃はスマホや携帯電話向けネットサービスは存在していない時代で、しかも携帯電話はほとんど普及していなかったので、現在のようにあらゆる情報を即座に得られる時代ではありませんでした。
とりあえず、テレビでニュースを見続けているしかありませんでした。

私は支店に所属していて、毎日朝食を食べに本店に行っていました。本店では、今朝の地震の話ばかりでした。マンションで配達中に地震に遭い転倒しそうになったとか、バイクを停めていたら勝手に倒れたとか、色んな場面の様子を聞きました。

帰りにコンビニに行ってみると、店の明かりは着いていましたが、閉店していました。外から窓越しに様子を見ていると、店員が棚から落ちた商品を元に戻していました。

支店に戻って、自室の落ちた本や移動した物を元に戻しました。そして、テレビをつけてみると、被害の状況が更に映し出されていました。
神戸だけではなく、淡路島の様子も映し出されていました。家屋やビルが倒壊していて、高速道路が横倒しになっていました。電車の線路はかなり曲がって脱線していました。

想像を絶する風景に現実を受け止めることが出来ず、絶句してしまいました。

近くに住んでいた家族に電話をかけてみました。すると、家族は無事でしたが、家具が動いたり、食器棚の皿などは落ちそうになっていたそうです。扉があったので、床に落ちず割れる事はなかったそうです。

また、神戸に住んでいた親戚は家の中の家具が倒れたりしたそうです。家の中は後片付けが凄く大変だったそうですが、親戚家族はみんな無事でした。

ニュースで交通状況を確認してみると、関西のほとんどの鉄道は運休していました。私は電車通学だったので、学校に行けませんでした。
翌日学校に行って聞いてみると、安全を鑑みて休校になっていたそうです。

午前中、店の様子を見に店長がやって来ました。作業場自体は何の被害もなく、通常通り仕事が出来る状況でした。

同じ店の奨学生で、先輩で神戸出身の人が二人いました。一人の先輩は敷地の塀にヒビが入ったそうです。もう1人の先輩は、家族に怪我はありませんでしたが、家が全壊して、避難所に移ったそうです。

この日の夕刊は通常通り店に届けられ、配達をしました。一面には当然ながら地震の様子が掲載されていました。この日からしばらく、一面には阪神淡路大震災の情報が掲載されていました。

次から次へ入ってくる被害の状況に、ただただ驚くばかりでした。亡くなった方の数が段々増えてきて、怖くなってきました。
そして、広域で火事が発生したり、余震などで建物が倒壊して、二次災害の恐ろしさを感じました。

同じ関西で、割と近くの場所であんな大地震が発生し、「いずれかはここにも大地震が起きる可能性はあるかも」と、普段からの防災が必要だと思いました。


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